【No1308】署長シンドローム 今野 敏 講談社(2023/03) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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『隠蔽捜査』の竜崎伸也署長の後任の国家公務員キャリアの藍本小百合氏。

警察幹部たちは、彼女に一目会いたいがために、無理にでも用を作ってわざわざ大森署に訪れてくる。

貝沼副署長ら大森署の関係者たちは、警察幹部らのお世話に少々お疲れ気味・気疲れ気味だ。

 

貝沼副署長をはじめ世話する人々はそれらの大変さを演じている。

 

会う「男」たちは、彼女と目が合うとほんの一秒で一撃必殺。

周りの人は一瞬にしてその虜になり魅了される。

実際に会って拝んで見てみたいくらいに物凄い美貌の持ち主。

とびきりの笑顔で有無言わさず、自分側に引き入れて味方にできる特技をお持ちだった。

330P

今回の署長の采配は、実にシンプルで見事だったのではないか、そして、心地よかった。

だが、とそこで貝沼(副署長)は考える。

今回の署長の采配は、実にシンプルで見事だったのではないか。そして、心地よかったのだ。

そう。間違いなく、規範に従うよりも心地よかったのだ。

藍本署長は、行き当たりばったり見えて、実は、確固とした自分なりの規範を持っているのではないだろうか。

貝沼は思い出した。

署長は昨夜、誰かが幸せになるかどうかが重要だという意味のことを言った。

もしかしたら、その発言が、彼女の規範と関係があるのかもしれない。

貝沼はそう思ったが、これは想像に過ぎない。本当のことはわからないのだ。藍本署長がほほえんだとたんに、すべての事実は曖昧になってしまう。そして、人々は幸福感に包まれるのだ

 

1955年北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の’78年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。大学卒業後、レコード会社勤務を経て執筆に専念する。2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞、’08年『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞、第61回日本推理作家協会賞を受賞。’17年「隠蔽捜査」シリーズで第2回吉川英治文庫賞を受賞する