【No1264】バカと無知 人間、この不都合な生きもの 橘 玲 新潮社(2022/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

「ああ、そうなんだ」

と気づきがあった2カ所を取りあげてみただけ。

 

22P 自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」

近年の脳科学では、「(自分より下位の者と比べる)下方比較」では報酬を感じる部分が、「(上位の者と比べる)上方比較」では損失を感じる脳の部位が活性化することがわかった。脳にとっては、「劣った者」は報酬で、「優れた者」は損失なのだ。

すべての生きものは、快感を求め苦痛を避けるように「プログラム」されている。

徹底的に社会的な動物であるヒトは。自分が批判されることを過度に警戒すると同時に、集団からの逸脱行為をつねに監視し、自分より上位の者がそれを行うと、「正義」の名のもとに寄ってたかって叩きのめす。それと同時に劣った者に対しては、自分の優位を誇示する(マウントする)ように進化したのだろう。

私もあなたも、こうやって生き延びて子孫を残した先祖の末裔なのだ。

 

152P 善意の名を借りたマウンティング

相手にマウントすると「自己肯定感」が高まってよい気分になり、逆にマウントされると、脳内の大音量で警報が鳴り響く。たとえそれが、「善意」の名の下に行われたものであっても。

この一連の実験は、なぜボランティアに人気があるのかを教えてくれる。善意の名を借りて無力の人間をサポートする側に回ることは、自尊心の低いひとにとって、それを引き上げる最も簡便な方法なのだ。

 

 <目次>

まえがき 

1 正義は最大の娯楽である(なんでみんなこんなに怒っているのか、自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」 ほか)

2 バカと無知(バカは自分がバカであることに気づいていない、「知らないことを知らない」という二重の呪い ほか)

3 やっかいな自尊心(皇族は「上級国民」、「子どもは純真」はほんとうか? ほか)

4 「差別と偏見」の迷宮(無意識の差別を計測する、誰もが偏見をもっている ほか)

5 すべての記憶は「偽物」である(トラウマ治療が生み出した冤罪の山、アメリカが妄想にとりつかれる理由 ほか)

付論1 PTSDをめぐる身近歴史

付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?

あとがき

参考文献

 

1959年生まれ。作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が三十万部超のベストセラーに。『言ってはいけない残酷すぎる真実』で2017新書大賞を受賞