【No.796】つまらない住宅地のすべての家 津村記久子 双葉社(2021/03) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

人生の岐路は、思いがけないタイミングでやってくるものです。

どこにでもあるような平凡な家族ですが、例えばある家の両親は子どもを庭の倉庫に閉じ込める計画を進めていました。また、あるシングルマザーは小学生の子どもを放置して彼氏にうつつをぬかしていました。さらに、その子どもを誘拐しようと計画している独身男がいました。

つまらない住宅地の一つの路地を挟んだ十の家族にはそれぞれ人には言えない事情や都合、計画がありました。

 

名前表記だったのに別の人の視点になると苗字表記となるなど、なかなか同一人物だとは結びつけず、何度も「住宅地地図」の家の名前と家族構成を見返していました。

初めに各家の家族構成はあるのですが、名前の表記がされてないので内容を見ながらつながりを考えながら流れを理解するのに時間がかかりました。

 

女性受刑者が刑務所から脱走して、住民が協力して交代で見張りを始めることになります。

刑務所から脱走した彼女には事情と計画があったのです

脱走によってシリアスな雰囲気がもたらされるのかと思いましたが、病院で彼女の父親に会うときなどなにかほっこりとした場面がありました。

この脱走犯の見張りのために、笠原家に集まって揚げそばを食べる場面が好きでした。

どこか温かい雰囲気を醸していて安らぎを感じていました。

 

ひとつのきっかけで、つまらない住宅地の住民には、近所との繋がりや絆がもたらされました。

なにかしら人と人との交流は大切だ。

 

1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(改題『君は永遠にそいつらより若い』)で太宰治賞を受賞してデビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞、16年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、19年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞、20年、翻訳された「給水塔と亀」でPEN/ロバート・J・ダウ新人作家短編小説賞を受賞