病院長の娘として何不自由なく育った柊瞳子と脱サラして作家になった和久井亮。
大学時代に恋人同士だった2人が別々の人生を歩み、37年ぶりの還暦を迎えるころに再会した。
今も昔と変わらぬ互いへの思いに気づくのだった。
こういうシチュエーションはあり得るだろうと思った。
互いがまた近づくためには、お互いの家庭の事情が大きな障壁となっていた。
亮が描く現実のような小説と、
瞳子が悩む小説のような現実。
現実と小説の違いはなにか?
思い出は想い出のままとして。
しかもその素敵な思い出は変わらぬままに、二人の心のなかに生き続ける。
終わりに、亮の意志を込めた最後の小説。
この本当の意味を瞳子が知ってしまう。
これがまさに大人向けの恋愛のお話のような綺麗な現実だと感じた。
1960年神戸市生まれ。「おしかくさま」で第49回文藝賞を受賞し、デビュー。他の著書に「断貧サロン」「四月は少しつめたくて」など。
高橋直子名義でも著書がある。
