「藤田令伊」さんは、美術館をこよなく愛しています。
今まで世界22の国と地域を訪れています。例えば、ルーヴル美術館やロンドン・ナショナルギャラリーなど世界の主要な美術館には、すでに行かれているということです。
ぼくは、藤田さんほどではありませんが、昔から美術館を見学するのが好きです。
たくさんの人たちに見つめられ、人々の想いを重ねてきたすばらしい作品には魂が籠っています。
現代までに引き継がれている貴重な作品とここまでに至る歴史を思い重ねながらこころがありがたくなるのです。
しかしながら、美術品を鑑賞するときの心構えや態度などに気遣う機会が今まではありませんでした。
ただの我流だったのです。今回よいチャンスに恵まれたと思って感謝しています。
美術品の鑑賞と読書とでは、血肉化するために同じような真理があることを知って驚きました。重要な要素には、普遍的なものがあるんですね。
美術館の鑑賞時だけでなく読書会の時にも活用できます。
例えば、「どんな作品も無節操に楽しむ」「鑑賞したものを反芻し、体験を血肉化する」「いろんな人と意見を交換し、自分の新しい眼を啓く」など。
この本でいうところのこういうことを知ってから、美術館に行くことができればけっこう面白いな。
本の題名のとおり、芸術の知識がなくても美術館を楽しめる方法がわかりやすく書かれています。
おすすめの美術館の中には、富山市にある「水墨美術館」もあります。
<目次>
プロローグ 用事がなくても美術館に訪れる時代がきた
第1章 美術館という箱を存分に楽しむ(美術館のカフェに座れば「人生の景色」が見えてくる、金曜日の夜に訪れると、素の自分を取り戻せる ほか)
第2章 美術館へ行く前に大きな誤解を解く(美術が「わからない人」など存在しない、料理にたとえると解ける美術の誤解 ほか)
第3章 美術館を楽しく軽快に歩く(美術館のパンフレットを有効活用する5つのコツ、美術館を早足で歩くと、好きな作品が見つかる ほか)
第4章 アート作品の見方を劇的に変える(第一印象を信頼しつつ、その限界も知る、一つの作品に3分間かければ見えるものが変わる ほか)
第5章 深く鑑賞する力を手に入れる(シャーロック・ホームズのように作品の細部に目を向ける、作品を「読む」という見方をする ほか)
おすすめの美術館100
◎1962年奈良県生まれ。アートライター。大正大学文学部非常勤講師。アート情報サイト『ARTRAY』主宰。著書に「アート鑑賞、超入門!」「現代アート、超入門!」など。
◎62P「美術がわからない人など存在しない」
もっぱら楽しむために美術を見るのです。「美術がわかる」というのは、あなたが「自分なりの価値観で美術を見て楽しむ」ことなのだとわかります。美術を楽しむために深い知識や鑑定眼は必要ない。必要なのは、「自分の眼」で見て自分なりの価値観で作品を楽しむこと。
◎122P「どんな作品も無節操に楽しむ」美術鑑賞は雑食でいい。食わず嫌いはダメ。
食わず嫌いはその人の世界を狭めます。そもそも美術鑑賞とは多様な美に触れることで、多様な世界を知るのが効用であり魅力だったはずです。
「あれが好きだから、これは嫌い」と決めつけない。美術鑑賞は「無節操」に何でも楽しんだほうが多様な世界を知ることができる。
◎138P「五感をフルに回転して、作品と向き合う」 聴覚や触覚も使い、豊かな鑑賞体験を得る。視覚だけでなく、音、肌触り、味、匂いなど、五感をフルに活用して作品を見るようにすると、より豊かな鑑賞体験が得られる。
◎142P「鑑賞したものを反芻し、体験を血肉化する」見たものの印象を心に留め、蓄積する。あとから思い出して味わい直すようにしてみましょう。
美術鑑賞は「見て終わり」にせず、鑑賞日記をつけたり、誰かと語り合うなど、見たことを反芻して、自分のなかに定着させると価値が増す。
◎153P「作品を『読む』という見方をする」見るだけでは得られないものを発見する。読む見方をしてみると、見るだけのときよりもさまざまなことがわかってきます。また、見ただけではわからなかったことがわかるのは楽しいことでもあるでしょう。読む見方をすると、作品についていろいろなことがわかってくる。見るだけでは捉えられない見出せる楽しみ方がある。
◎「いろんな人と意見を交換し、自分の新しい眼を啓く」ほかの人と感想を交換する。美術を見る眼を広げてくれて面白い。自分とはまったく違う見方や感じ方をしている場合があります。一人で見ている時には気づかなかったこと、感じられなかったことがもたらされるはずです。
