志茂の妄想部屋。 -34ページ目

気になる存在との恋の駆け引き 3

久々のうpです。。

リアルに仕事が大変だッ!!

人がたださえ少なくて大変なのに、仕事量が増えるらしい・・・。

これだから上の人って嫌だな・・・。(´д`lll)




とまぁ、愚痴はこれくらいにしまして、

どうぞ読んでやってください(・ω・)/ッ




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「ほら、もう着いたよ」

目を明けるとそこはもう保健室で、少し病院の匂いがする。
先生は、水道の前まで行くと水を出して「まずは、冷やさなきゃね」と言い、僕を下ろした。
言われたとおりヒリヒリと痛い手を水で冷やした。
でも、思いのほか激痛が走り、手を引っ込めてしまった。

「痛いだろうけど、もう少し冷やさないと。じゃなきゃ、処置できないから」

我慢しよう・・と言って、優しくン僕の手を取り、再び水で冷やし始めた。
また、激痛が走ったが先生の温もりを感じたら、次第に痛みなんて感じなくなっていった。

「そろそろ大丈夫かな」

水を止め、用意してあった柔らかいタオルで僕の手を包んで、水気を取ってくれる。
ちょっとしたことなのに、それだけでドキドキしてしまう。
その後、できた水疱を潰さないよう消毒したガーゼを当て、包帯を巻いてくれた。

「一応、応急処置はしたけど、病院に行ったほうがいい。ここから近い病院を知ってるかい?」
「あ、はい。学校から近いっていうと、斉藤医院かな?ソコの先生が校医なんです」
「そうなんだ。さっき言った通り私がしたのは応急処置だけ。だから、ちゃんと診せないと悪化してしまうよ?」

そこまで言われてはほっとく訳にはいかない。

「分かりました」

早退します、と言って僕は、佐倉先生から治療カードを受け取り、職員室へ向かった。
担任に事情を説明して、早退の許しと斉藤医院に連絡を取ってもらった。
バックを取りに教室へ戻ると、四時間目の授業の真っ最中だった。

(そういえば、お昼終わってたんだった)

授業に集中していたクラスのみんなが、僕に目を向けたがすぐにカリカリとノートを取り始めた。

「さっき大津に聞いたが、火傷したんだってな。大丈夫か?」

数学の佐々木先生が手を止め、心配してくれてる。

「これから、斉藤医院に行くので早退します」

大丈夫ですと付け加えると、サイン済みの治療カードを佐々木先生に渡した。席に戻り、
帰る用意をすると、大津が声をかけてくれた。

「医者行くほど、火傷酷いのか?」
「うん、一応応急処置はしたけど、医者に行ったほうがいいんだって」
「そうなんだ。これからは、気をつけろよ」

大津は、心配しながらも注意の声を僕にかけてくれた。ありがとうと一声かけ、教室を出た。
授業中なので廊下は静かだ。教室の横を通るたび、微かに先生の声がする。

(早退って結構気まずいんだよね・・・。)

下駄箱で靴に履き替え、学校を出た。
確か斉藤医院まで歩きで二十分だったはずだ。着くまで痛くなりませんようにと、
お願いをしながら進む。ちょうど校門を出た時、一台の車が僕の前に止まった。助手席のドアが開き、顔を出してきたのは、佐倉先生だった。

「何で先生が?!」
「真島君、乗りなさい。医院まで乗せていってあげよう」
「だから、何で先生がここにいるんですか??」

素直に疑問を投げてみる。
「応急処置したのはいいんだけど、気になってしまてね・・・。この際、ちゃんと処置されるまで見届けようと思ったのさ」

そこまで、心配されてると思うとすごく嬉しい。というか、ここまで他人に心が動かされるのは家族以外初めてだ。車に乗り込むと、先生はハンドブレーキを下ろして、車を進めた。



佐倉先生が雲手する車は無事病院へと到着した。

「斉藤先生、さっきはどうも」
「おう、佐倉先生!」

ここ斉藤医院は、親子代々受け継がれている古い歴史がある病院だ。
小さな個人病院だけど、院内の雰囲気や人柄の温かさが定評で、毎日慌ただしく患者さんが駆けつけている。信頼しているのはうちの学校も同じで、月一度の健康診断では斉藤医院にヘルプを頼んで協力してもらっているのだという。

「どや?学校には慣れたか?」
「えぇ、大体は」
佐倉先生と話しているのは、斉藤医院の長男、斉藤一実(さいとう・かずみ)先生。大学は大阪を選考 していた為、関西弁が抜けきれずに現在に至っているらしい。年は二十九歳だが、とても三十路を目前としている洋には見えない。

「今日は急患とかは入っていますか?急ぎの用で来たのですが・・」
「何や、言うてみぃ」
「うちの学校の生徒が、学食内で火傷負いまして。状況からすると生徒同士がぶつかって、その拍子に起こった事故かと思われます」
「ふ-ん。おい坊、俺の後について来ぃや」
「あ、はい」

言うなり足早に歩き出した斉藤先生を追いかけると、小さな診察室に招かれた。

「どら、手ぇ診してみ」

言われた通りにすると、先程先生に巻いてもらったばかりの包帯が、
スルスル音を立てて解かれていく。

「佐倉先生は包帯巻くのも上手やねんな。・・うん。応急手当も文句なしっ」
「そうですか、ありがとうございます」
「応急処置のお陰で大した事ないで。良かったな、よう効く塗り薬とガーゼ、包帯も出しとくさかい。坊、名前は?」
「真島、朝です」
「じゃあ、トモ。包帯の巻き方とかは佐倉先生からよく聞いて家出しっかりやるように。あと、今日は熱が出るかも知れへん。解熱剤も出しとくから、夕飯の後に飲んでな。それから、水疱が消えるまで、保健室に通って診てもらうこと!えぇな?」
「大体、何日位かかりますか?」
「まぁ一週間って所か。早くて五日やな」
「五日・・・」
「佐倉先生。トモの事宜しゅう頼むな」

もちろんです・・と、佐倉先生は当たり前のように言った。
窓口から薬や包帯を貰い、玄関口まで歩みを進めると、先生にお礼を言った。

「佐倉先生。今日は本当にありがとうございました。お陰で助かりました」
「いいんだよ、保健の先生だからね。当然のことをしただけさ」

微笑む先生の姿がが、午後の穏やかな空に溶けそうになる。

「じゃあ、僕はこれで」

またもや見蕩れてしまいそうになるのを何とか堪えて、踵を返した。

だが・・・、

「ちょっと待って」

言う声に思わず足を止めてしまった。

「良かったら家まで送らせてくれないか?」
「で、でも先生の仕事に迷惑がlll」
「あいにく、今日は私も早退届を出してきたんだ」
「嘘、だってそんな・・・」
「本当だよ。それに君のせいじゃない。実は今日は午後から抜き打ちの避難訓練が行われる予定だったんだ、だから好都合だよ」

(確かに・・)

うちの学校は、避難訓練も並半端じゃない。生徒には一切何も告げず、なおかつ煙やスプリンクラーが作動し、防御扉も閉まる程本格派だ。そして、やはり集会同様、校庭に避難した後は校長先生の長い話に消火実践。更には、非難滑り台の体験など、丸まる三時間半かけて行
われるのだ。

「ちょっと、ラッキーだったかも」
「避難訓練に参加せずに済んでかい?」
「はい。こういう時になんだけど、かなりハードなんですよ」
「へぇ、そうなんだ。今頃、生徒たちは大変だろうね。・・それじゃぁ、そろそろ行こうか」

ニコッと笑顔を向けられて車のドアを促されたら断れるはずもなく、結局再び車の助手席へと乗り込んだ。

「真島君の家は、兄弟は何人いるんだい?」
「弟と妹が一人ずつです」

納得したように先生が頷く。

「どおりで。すごく落ち着いてるから、長男かなっと思ったんだ」
「一応主夫なんで、親変わりとして、努力はしてるつもりです」
「主夫って・・?もしかして、ご両親が・・・」
「・・はい。父と母は事故で他界しました。親戚の所に引き取ってもらう話も出ていたんですけど、父が働いて立ててくれた家がなかなか手放せなくて・・・」
「そうだったのか・・。申し訳ない事を聞いてしまったね」

ごめん・・・と、本当に申し訳なさそうに表情を曇らせる先生に、僕は懸命に「そんな事ありません」と返した。

実際問題、ちっとも不快に思わない。それより驚いたのは、自分がすんなり佐倉先生にこの事を話したと言うことだ。友達の大津でさえ、打ち明けるまで勇気と時間が必要だったのに。
今日で話すのが二回目の佐倉先生に、素直に打ち明ける自分がいた。
先生はきっと、人と話す術を知っているのだろう。穏やかなテンポで、心の奥まで響く様な優しい声が心地良い。先生と話していると、いつもはあまり話さない僕も、自然に次々と言葉を発することが出来る。

「先生って、やっぱりすごいや」
「なぜ、そう思うんだい?」
「話が上手っていうか、聞き上手・・っていうのかな?先生には人を癒す力があると思って。保健の先生にはピッタリだなぁと思います」
「じゃあ、ホストはどうだい?」
「いけると思いますよ」

冗談めかした先生の言葉が可笑しくて、小さく笑んだ。

「やっと笑ってくれたね」

え?っと、顔を上げると先生も小さく笑って、

「真島君、ずっと思いつめた様な顔をしてたから」
「はは・・傷口が痛かったかな」
「きっとそうだろうね」

そう言って先生は、右ウィンカーを付け、コンビニ脇の駐車場に車を停めた。

「こんな場所で悪いけど、これから包帯の巻き方を教えておくからね」
「あ、待ってください」

急いで膝に乗せていた紙袋に手を突っ込んで、包帯を一つ先生に渡した。

「弟くんたちに頼むのが一番だけど、一人でも上手く巻くコツを伝授しようか」
「宜しくお願いします」
「まかせて」

ふわっと降りてきた右手が、僕の頭を撫ぜる。
また、思いつめた表情になっていたのかもしれない。痛みでそうなったんじゃないって事は、自分でも自覚していた。無意識に僕は先生の前で、そんな表情になってしまうのだ。

 先生の優しさ。先生の笑顔。先生の大きな手の感触。

それらが心と身体に、甘い痺れを走らせる。穏やかな波が徐々に浮き立ち初めた気がした。
もしかしたら、先生に初めて会ったその瞬間から・・・僕の心は囚われていたのだろうか―――?




                                         -続く-