見るからに僕より年下の彼は臆することなく話しを続けた
『俺、一度だけ風香さんが泣いてるの見ました
心配だったけど、直接訊けなくて・・
その時に貴子さんから、結婚してると色々有るのよって言われたんです
だから、風香さんからは何も聞いたこと無いです・・・
でも、俺が考えるに・・あの涙の原因はきっとあなたなんです
泣かせるくらいなら、風香さんを自由にしてあげて下さい』
腹が立つとかじゃなく、単に驚いていた
『今日は、やっと晩飯一緒に行けて、半ば強引に酒も付き合ってもらいました
そのまま、どこかに連れ込こもうかとも思ったけど・・
風香さん、ちゃんと歩けないほど酔ってるのにどうしても家に帰るって言って』
「・・風香も君のこと好きなの?」馬鹿な質問をしてみた
『いえ、俺のことなんて男としてみてないですよ
でも、あなたから自由になったら、俺のことも見てくれるかもしれない・・』
返事なんて出来る筈もなかった
眠っている風香の顔を見ながら、さっき言われた事を思い出していた
『・・自由にしてあげて下さい』
自由・・・? 風香、君を手放すことが君の為なのかな?
手放すことなんて出来るんだろうか・・
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ごめんね、優・・
私、起きてたんだ
本当は自分で歩けたの・・でも、酔った振りして困らせたかった
どのくらい振りだろう?あなたに抱きかかえられたのなんて・・
自分でもおかしいくらいにドキドキした
私・・あなたの事がまだこんなに好きみたい
貴子先輩の仕事を手伝うことに決めて、事務所に出向いた日
そこに松坂くんがいた
優と結婚して、仕事を辞めてからは、接する男性は優とたまに潤くん(笑)
正直・・新鮮だった
でも、それ以上の気持ちなんてなかった
だから、今夜・・『俺、風香さんのこと好きです』って言われて困惑した
私・・寂しそうに見えてたのかな?
優以外の人を好きになれれば、こんな想いはしなくて済むのかな?