『好きなんだ』
唇を離した瞬間・・そう言った。
彼らの歌がチャートを賑わせ始めた頃、
PVに出演した縁で彼らの事務所主催のパーティに出席した。
そこで、初めて知ったんだけど
君は日常会話が出来るくらい、韓国語が話せるんだね。
勝手だけど、そんな君がやけに遠くに感じたな・・。
「この間の写真です」
スタッフさんが持って来た。
写真の中の君は嬉しそうにはにかんでた。
いつの間に撮ったのか、君と彼のツーショットも有ったんだよね。
周りのスタッフが君と彼をからかい始めて・・・
そんな中・・PVが流れ出したんだ。
君の好きな彼らのPVで
君を好きな僕は過激なラブシーンを演じてる。
最悪な気分だった。
真ん中の彼が一緒に飲もうと言って来た。
「マネージャーさんが気になりますか?」
えっ?! 鋭いな、こいつ・・
男でも見惚れるくらい綺麗な顔してる。
どうして彼じゃないんだろう?・・ふっとそう思った。
話せばもっと魅力的な男だった。
「ソウルに来ることあったら連絡して下さい」
そう言われて、番号の交換をして別れた。
田所さんに話が有ると事務所に呼ばれたのは、一ヵ月後のオフの日だった。
「相沢に韓国行きの話が来てる」
話が読めなかった・・
「ヘッドハンティングだな」
韓国?
「相沢の夢は彼らと一緒に仕事をする事、その為に韓国語も勉強したらしい」
夢?彼ら?
彼らの事務所に?
一ヵ月前のパーティで既に声を掛けられたらしい。
「相沢自身、答えが出なくて俺に相談して来たんだ」
・・・君がいなくなる?
キス・・した時・・・君は困った顔して黙ったままだったよね・・
「俺さ、ヒロキに恨まれたくないから言っとくな、
前に相沢との事を忠告したろ?
相沢は仕事以上の気持ちは持ってないからって・・
あれはさ、俺がそんな風にヒロキには言っとくからって、
相沢の本意ではないんだ。
でも、あいつは自分とヒロキの立場を理解してるから
そう伝えて下さいってさ。
ヒロキ、お前・・どうする?」
どうする?って・・・訳が分からなかった。
・・君も好きだって事?
「今日から一週間、相沢は休み取ってるからな。
韓国に行って来るってさ。
向こうからも一度韓国に来てくれって言われたらしいし、
韓国行って考えるそうだ。
明日から新人いれるけど、俺もフォローするから」
事務所を出た後・・整理出来ない頭のまま、車を走らせた。
どうしたらいい?
引き止めたらいい?
でも、夢だったんだよね・・。