日本における「情報化社会」とは何か・・・  No.3   清水 景允
 
 前回は科学信仰に基づいた産業社会が今の環境破壊を生み、社会問題を引き起こしていると言いました。そこでもっと具体的に、科学信仰に基づいた産業社会が環境破壊の原因となっていることを原子力産業に目を向けて考えてみたいと思います。

 私達が住む地球上では産業革命以来、環境破壊が進んでいます。工場からの排出される汚染物質が原因と見られる疾病、酸性雨による森林破壊等々、地球上に大きな問題を投げかけました。

 この問題を解決するには表面だけを見ると、ある企業が工場を建て膨大な量の有害な汚染物質を自然界に排出するから、自動車が走り回っているから、だから、そういうことを止めれば環境破壊はなくなる。と言うことになります。しかし、このようなことを全部止めることは、私たちの生活を原始時代に戻すことであり不可能であると同時に、現状のままで放置するわけにはいかないと言う裏表の問題を抱え込んでしまったのが産業革命以後の社会構造です。そのことに気がついた人々は英知を絞って解決に勤めだしました。それがPost Industrial Societyだったのです。しかし、20世紀の中葉からもっと深刻な環境破壊の現象が明らかになってきました。原子力産業による放射能汚染です。この環境破壊はどうして起き、どの方向に進んでいくのでしょうか・・・。

 ご存知の通り、原子力の平和利用(1952年米国のアイゼンハワー大統領が核兵器の悲惨な風景を表面的に眺め、原子力の「平和利用」を訴える)は、原子核の核分裂または核融合によって物質の質量が減り、質量の減った分だけエネルギーとなり、そのエネルギーを電気エネルギーに変え利用するものです。核分裂または核融合によって発生するエネルギーは膨大なもので、1gの燃料(ウラン235または重水素)で広島の上空で炸裂した原子爆弾一個分(約0.7gがエネルギーに変わったと言われている)に相当します。この様に膨大なエネルギーを得ることの出来る科学理論が技術と結びつき、原子力の平和利用を旗印に原子力発電へと開発が進み、商業ベースへと発展して行くのです。しかし、初期の段階では核分裂して生じた危険な放射性物質は格納容器内に溜めておけば良いと考え、頑丈な格納容器を開発し、その中で核分裂を起こさせ熱エネルギーを得ていました。ですが、原子炉を使用している内に科学者・技術者の予期しない現象が起きて来ました。それが、この地球上の自然界で発見することの出来ない物質が原子炉の中で大量に出来ているということです。その新しく生まれる物質が放射線を出す物質なのです。

 この放射性物質は、放射線を出しながら安定した物質(放射線を出さない物質)になろうとしますが、安定な物質になるためには数秒から、何万年何百万年という長い時間を要する物質があります。特に恐ろしいのは長い時間をかけて安定な物質になっていく放射性物質です。その間、放射線を出し続け生態系に問題を生じさせるのです(私のブログに投稿した「 トリチウムは自然界(人間も自然界の一員として)にどのような影響を与えるか・・・。」を参照)。原子炉で生じる放射性物質の中には表面的に除去できる物もありますが、それは、その放射性物質を他の場所に移動させたにしかすぎません。その除去した放射性物質を一箇所に集め管理するだけのことなのです。しかも、そのためには膨大な資金を必要とします。また、一箇所に集められた放射性物質は先にも記しましたが安全な物質になるためには何万年から何百万年という時間がかかります。その間、人間は誰が責任を負えるのでしょうか。まさに負の遺産を子々孫々に残すことになります。そこで、考えたのが地層処理ということです。つまり、臭いものには蓋をするという考え方です。これが、「科学」がなんとかしてくれると信じている人々の考え方なのです。

 この様に考えて行くと、原子力の環境破壊の及ぼす影響は、他の環境破壊物質と違った性質があることが分かってきます。

 次回は比喩的な方法で情報化社会への流れを考えてみます。