トリチウムは自然界(人間も自然界の一員として)に
             どのような影響を与えるか・・・その1    清水 景允
 昨日132回目(2014年12月26日)の金曜広場に参加した時、トリチウムの話をしましたが、その続きをお話します。

 それは、26日の一週間前12月19日金曜広場に参加した後、「未来のエネルギーを考える」シンポジウムに参加した時、講師の先生にトリチウムの新聞報道に関して私の質問からはじまりました。
 その質問は「『泊原発から25年間にトリチウムが570兆ベクレル放出されていた。』と報道があったが、そのトリチウムは人体にどのような影響を与えるのか」と言う内容でした。
 その時、答えていただいた先生は元北海道大学 工学博士 大友先生で、その先生曰く「人体に悪さをすることは確かですが、詳しくは分からない・・・」とのことでした。ところが、後日の金曜広場で、その大友先生(現在、株式会社自然エネルギー研究センター 代表)から、19日の司会を務めていた水島氏(元北海道電力株式会社社員で反原発を訴えている)を通して、1996年9月11日に I T E R ( I T E R : 国際協力による核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設 )に関するトリチウム 問題緊急学習会で使用した小誌(名古屋大学出版会発刊 1995年11月 重水素—トリチウム型核融合炉のトリチウムに関する専門的常識「核融合研究Ⅱ」の抜粋)を私に送っていただきました。
その小誌は、核融合炉に関するもので、核融合炉に火が灯れば膨大な量のトリチウムが発生し、そのトリチウムが環境破壊をもたらす。従って、トリチウムについて事前に学習する内容の資料でした。

 そこで、本日はこのトリチウムとはどのようなものか・・・。と言う事解説し、続きは明日以後、投稿する事にします。

 自然界(人間を含めて)は、いろいろな物質によって構成されています。その物質を小さく分けて行くとこれ以上に分けることができないプラスの電気を帯びた陽子、電気的に全く中性である中性子、中間子、そしてマイナスの電気を帯びた電子に分けることができます。これらの物質を素粒子と言います。この素粒子の陽子のグループを原子核と言い、その原子核の周りを陽子の数と同じ数の電子が回っています。例えば、原子核の中に陽子が1個入っていて、その周りに電子が1個、回っている物質を水素と言います。炭素は原子核の中に陽子が6個入っており、その周りに電子が6個回っています。さらに酸素なら原子核の中に8個の陽子が入っており、その周りに8の電子が回っています。

 中性子は電気的に全く中性(プラスにもマイナスにもなっていない素粒子)で、空間を自由に飛び回っていますが、原子核の中では中間子の働きによって閉じ込められることがあります。その中性子が水素の原子核の中に1個入り込んでしまったのが重水素という水素爆弾の原料となる物質です。
 自然界では中性子の入っていない水素は99.985%、重水素は0.015%存在していると言われています。しかし、極わずかに、水素の原子核の中に中性子が2個入った物質が発見されました。それが三重水素という物質でトリチウムというものです。自然界では余りにも希少な物質でしたので、その含有率も重水素の中に含められ0.015%とカウントされていました。

 上記の通り、水素は1個の陽子の周りを1個の電子が回っている物質でした。重水素も三重水素も原子核の中は陽子1個だけですから、原子核の周りを1個の電子が回っていますので、地球環境では、化学的な性質は、水素も重水素も三重水素も全く同じ働きをします。そこで、重水素、三重水素を水素の同位体又は同位元素と言います。

 この水素の同位体の中で三重水素つまりトリチウムは不安定な物質でβ放射線で出しながらヘリウムに変わって行きます。その量が半分になるのに12.3年かかります。これを半減期というのです。
 このトリチウムは自然界には1950年代以前、降雨中に0.2~1Bq(ベクレル)/l(リットル)含まれていただけですが(自然放射線による大気の中の水素の原子核の中に入り込み三重水素になる)、現在では降雨中1~3Bq/l のトリチウムが含まれています。その原因は、原子炉から排出される冷却水の中に、核兵器実験で作られたものです。恐らく、このまま原発が稼働する限り、このトリチウムは減ること無く増々増え続けることが予想されます。

 次回はこのトリチウムが環境(主に生態について)にどのような働きをするのかについてお話します。

 補足1 核融合エネルギー: 水素原子が二つ繋がりヘリュウムに変化するとき、膨大なマイナス方向に質量の変化が起きる。その減った質量の分がエネルギーに変化する。この反応は核分裂とは異なり放射性物質が発生しないとされて、クリーンなエネルギーと言われて研究せれていたが、重水素がトリチウムに変化するため膨大なトリチウムが発生することが分かって来ました。
 補足2 1ベクレル(Bq)1秒間に1個原子核が壊れ放射線を出す単位
 補足3 原子炉の中ではウラン235やプルトニウム239に中性子が当たり、核分裂を起こし発熱するのですが、その時、三体核分裂と言う現象が起きます。それは二つの大きな原子核を持った物質(セシウムやストロンチウム等)と一つの小さな原子核を持った物質が生成することです。その小さな原子核を持った物質の中にトリチウムと言う物質が含まれて生成される事になるのです。ですから、原発を稼働するとトリチウムはどうしても出来るのです。
 補足4 三重水素は弱いβ線 (18.6 keV) を放射しながらβ崩壊を起こしヘリウム3 (3He) へと変わるベータ放射体  (beta-emitter) で、半減期は12.32年である[21]。
 補足5 二重水素 (D) と三重水素 (T) の核融合反応である熱核反応(D-T反応)は、二重水素同士の熱核反応(D-D反応)に比べて反応に必要な温度・圧力条件が低い。