寺田澄子との別れ、そして結婚 3
                     清水景允


 一週間程して、その先生から返事が来た。
彼女の返事は「富山さんとは、慶応を通してのお付合いでした。それ以外、富山さんの事は余り知りません。ですから、結婚と言われてもお受けする事ができません。」と伝えてきたのであった。
一方的な信吾の片思いであった。

  君と歩いた 星の空も
  今は 一人行く 暗い空
  別れ行く 別れ行く
  君の面影
  さよなら さよなら
  夜霧に消えた 君
  君と歩いた あの星 いずこ


  粉雪の
     飛び交う中に
           人さがす
 

 信吾は、気持ちを切り替えるため勤務校でツアーを計画していた冬山登山に参加した。総勢15名のパーティである。
場所は、大雪山旭岳。
冬山は初めての経験であった。
信吾は、パーティの中で若手であった。
宿泊にしていた温泉宿から隊を組、アタックを開始した。
新雪がスキーが取られる。
やがて、その新雪が膝を隠す位深くなりはじめた。緩い斜面である。
リーダが叫んだ。
「ラッセル、10歩交替」
つまり、一番先頭の隊員が10歩雪をかき分け進みルートを確保する。確保したならルートの横にずれ、その場で休み一番後方の隊員の後に着く。そして2番手の隊員が先頭になり、また10歩ラッセルしルートを確保しながらパーティが進むのである。
このようにして「盤の沢」と言う雪崩の多い急斜面に差し掛った。
パーティは少し休みアタックを開始しはじめた。
樹林地帯は過ぎていた。
と、隊の先頭の隊員が叫んだ「静かに登れ・・・。」と・・・。
叫んだ所まで登ってみると、斜面に対して横に亀裂が走っていたのである。