貧乏学生 5
清水景允
信吾は、キャンパス以外に大きな収穫を得て、この夏のスクーリングは終わった。
スクーリング終了式が終わると、寄宿舎に戻り整理し上野駅に向かった。
上野発青森行きの夜行列車に乗らなければならない。
上野駅からは常磐線と東北本線の二本の鉄路が青森まで続いている。
常磐線の特急列車に乗り込んだ。
日暮里駅を過ぎたあたりから、常磐線は大きく右にカーブする。
進行方向から見て、左側の車窓から東北本線を走る電車の窓の光が目に入って来る。信吾は、じっとその光を見ていた。
信吾の乗った列車は、やがて、東北本線を走る電車と別れ、窓の光は建物の谷間に消えていった。
時間にして十秒も経っていないだろう。しかし、信吾にとって長く感じられた光景であった。
列車は指定席ではあるが寝台列車でないため、中々眠る事が出来ない。
青森に付いたら、連絡船の中で足を伸ばすことが出来る。それまでの辛抱である。
常磐線を走る列車は青森まで続く夜中の鉄路を走り続ける。
三河島駅付近に差し掛かると街灯の光も少なくなって来た。
三河島駅構内で起きた列車衝突事故で多数の人々が犠牲になったニュースを旭川で耳にしていた。
そこを走っている。
信吾は心の中で黙祷を捧げた。
真夜中二時頃、宮城県岩沼駅から常磐線に別れ、東北本線に乗り入れる。それ以後は東北本線を青森まで、同じ列車で揺られる。
寺田澄子は、二週間程前に旭川に帰っている。
寺田も同じ列車に載ったのかな・・・。と思い、寺田の面影を心に浮かべていた。やがて一関駅に到着した。三十秒程の停車である。
早く連絡船に乗りたい・・・。と思いながら列車に揺られていた。
車内放送で目が覚ました。仮眠をしたのだろう。
「間もなく終着駅青森です。」約12時間をかけての列車の旅である。
『これから連絡船・・・。』
「あおもり・・・。」「あおもり・・・。」
プラットホームから聞こえて来る。
信吾は手荷物を持ち、プラットホームに降り立った。
辺りは明るかった。
乗客の大半は北海道に渡る人達である。
手荷物を持ち、連絡船の桟橋を足早に移動して行く。信吾も後に続いた。
連絡船の中は、列車と違い歩き回る事が出来る。
信吾の乗船券は三等船室であるから、窓は吃水線ギリギリで、時たま海の水が窓を洗う。
約5時間の船旅である。
船内には食堂がある。信吾の手持ちのお金がわずかしか残っていない。いま旅の途中である。少しでも手元にお金を残して置きたい。何とか函館までは我慢、信吾は自分に言い聞かせるのであった。
昨日夜、列車に乗る前、上野のプラットホームで月見蕎麦を食べているから、空腹ではあるが、函館までは我慢する事が出来る。
信吾は三等船室で横になり身体を休めた。
連絡船は、青い海の上を函館に向かい進んでいた。
清水景允
信吾は、キャンパス以外に大きな収穫を得て、この夏のスクーリングは終わった。
スクーリング終了式が終わると、寄宿舎に戻り整理し上野駅に向かった。
上野発青森行きの夜行列車に乗らなければならない。
上野駅からは常磐線と東北本線の二本の鉄路が青森まで続いている。
常磐線の特急列車に乗り込んだ。
日暮里駅を過ぎたあたりから、常磐線は大きく右にカーブする。
進行方向から見て、左側の車窓から東北本線を走る電車の窓の光が目に入って来る。信吾は、じっとその光を見ていた。
信吾の乗った列車は、やがて、東北本線を走る電車と別れ、窓の光は建物の谷間に消えていった。
時間にして十秒も経っていないだろう。しかし、信吾にとって長く感じられた光景であった。
列車は指定席ではあるが寝台列車でないため、中々眠る事が出来ない。
青森に付いたら、連絡船の中で足を伸ばすことが出来る。それまでの辛抱である。
常磐線を走る列車は青森まで続く夜中の鉄路を走り続ける。
三河島駅付近に差し掛かると街灯の光も少なくなって来た。
三河島駅構内で起きた列車衝突事故で多数の人々が犠牲になったニュースを旭川で耳にしていた。
そこを走っている。
信吾は心の中で黙祷を捧げた。
真夜中二時頃、宮城県岩沼駅から常磐線に別れ、東北本線に乗り入れる。それ以後は東北本線を青森まで、同じ列車で揺られる。
寺田澄子は、二週間程前に旭川に帰っている。
寺田も同じ列車に載ったのかな・・・。と思い、寺田の面影を心に浮かべていた。やがて一関駅に到着した。三十秒程の停車である。
早く連絡船に乗りたい・・・。と思いながら列車に揺られていた。
車内放送で目が覚ました。仮眠をしたのだろう。
「間もなく終着駅青森です。」約12時間をかけての列車の旅である。
『これから連絡船・・・。』
「あおもり・・・。」「あおもり・・・。」
プラットホームから聞こえて来る。
信吾は手荷物を持ち、プラットホームに降り立った。
辺りは明るかった。
乗客の大半は北海道に渡る人達である。
手荷物を持ち、連絡船の桟橋を足早に移動して行く。信吾も後に続いた。
連絡船の中は、列車と違い歩き回る事が出来る。
信吾の乗船券は三等船室であるから、窓は吃水線ギリギリで、時たま海の水が窓を洗う。
約5時間の船旅である。
船内には食堂がある。信吾の手持ちのお金がわずかしか残っていない。いま旅の途中である。少しでも手元にお金を残して置きたい。何とか函館までは我慢、信吾は自分に言い聞かせるのであった。
昨日夜、列車に乗る前、上野のプラットホームで月見蕎麦を食べているから、空腹ではあるが、函館までは我慢する事が出来る。
信吾は三等船室で横になり身体を休めた。
連絡船は、青い海の上を函館に向かい進んでいた。