貧乏学生 1
清水景允
信吾は、卒業に必要とする教科の単位は殆ど修得していたが、卒業論文の指導教授については、まだ決まっていなかった。
そこで、この夏のスクーリングで大学の教務部から説明を受け、教授の研究リストを見せてもらった。
信吾の所属している学部は文学部哲学科であるから、そこに所属している教員が載っている。
哲学と言っても、信吾の場合、科学と結びついた哲学を研究したかった。
リストの中から『科学哲学』と書いてある項目が目に付いた。
信吾は『科学哲学とは何か・・・。』
信吾は、今年のスクーリングに科学哲学の第一人者と言われる沢田允茂教授の『哲学特殊』と言う講座があるので、その講座に受講届けを出した。
一単位であるから一日120分、一週間の講義である。
講義がはじまった。
沢田允茂教授は日本人離れをした顔立ち及び風体で、写真集で見るピカソを思い出させるのである。
先生は「沢田です。君たち哲学を専攻しているが、『哲学』とはどのようなものか教えて欲しい。」と切り出したので信吾は驚いた。
『哲学の先生が、哲学を教えて欲しい・・・。』と言うのである。
先生は、更に続けて、
「この哲学特殊は、君たちが、なぜ哲学に興味を持ったか、と言う事を君たちに講義してもらい、その感想を私が話すと言う形をとります。したがって、60分の中で25分間話してもらい、後の35分間、僕が話します。明日からはじめますから、12名の人達を選ばなければなりません。誰か居ませんか。」と、いうのである。
信吾は、哲学的問題意識が芽生え、この慶応の門を叩いた。この機会を逃すと一生後悔すると感じた。すかさず手を上げた。
先生は「名前は・・・。」と聞いてきたので「富山信吾です。」と答え。「じゃぁ、初回は富山君にやってもらおう・・・。」
この日の120分間はオリエンテーション的なことで終わった。
大学での夏期面接授業(スクーリング)は短期間である。当時、約一月半で8単位を取得しなければならない。従って通学過程では一教科を、半年又は一年かけて修得するのに対して、通信課程では1単位を120分の受講で、一週間で終わらせ60分の試験を受け終了である。
信吾は考えるのである。
『科学とは何か・・・。技術とは何か・・・。そして、それを教える教育とは何か・・・。と言う哲学的問題意識に芽生え、慶応の哲学の門を叩いた。
とてもじゃないが、25分の持ち時間で話せる内容じゃない。
この問題意識をどのようにまとめ話すか・・・。
そうだ、この地球上で抱えている問題について話そう。そして、それを解決するには、哲学しか無い。と結論付けよう。』と考えるのである。
『明日まで時間が無い・・・。
いま、地球上で抱えている大きな問題は環境汚染である。
欧州では、酸性雨による森林破壊が起きていると言う。大気中に大気圏内核実験が行なわれ、放射性物質が拡散している。日本では各地に奇病が発生し、その地域の地名を付けた病気がある。
この、地球上で我々人間は生活できなくなるのでないか・・・。科学技術は、この環境破壊を阻止しようする動きは見えて来ない。
教養の哲学の中に「哲学は科学を含めた学問である。」と書いてある。
であるなら、問題を解決するには哲学しか無いのでないか・・・。と結論付けよう・・・。』
信吾は、明日の哲学特集での発表の構想ができた。
清水景允
信吾は、卒業に必要とする教科の単位は殆ど修得していたが、卒業論文の指導教授については、まだ決まっていなかった。
そこで、この夏のスクーリングで大学の教務部から説明を受け、教授の研究リストを見せてもらった。
信吾の所属している学部は文学部哲学科であるから、そこに所属している教員が載っている。
哲学と言っても、信吾の場合、科学と結びついた哲学を研究したかった。
リストの中から『科学哲学』と書いてある項目が目に付いた。
信吾は『科学哲学とは何か・・・。』
信吾は、今年のスクーリングに科学哲学の第一人者と言われる沢田允茂教授の『哲学特殊』と言う講座があるので、その講座に受講届けを出した。
一単位であるから一日120分、一週間の講義である。
講義がはじまった。
沢田允茂教授は日本人離れをした顔立ち及び風体で、写真集で見るピカソを思い出させるのである。
先生は「沢田です。君たち哲学を専攻しているが、『哲学』とはどのようなものか教えて欲しい。」と切り出したので信吾は驚いた。
『哲学の先生が、哲学を教えて欲しい・・・。』と言うのである。
先生は、更に続けて、
「この哲学特殊は、君たちが、なぜ哲学に興味を持ったか、と言う事を君たちに講義してもらい、その感想を私が話すと言う形をとります。したがって、60分の中で25分間話してもらい、後の35分間、僕が話します。明日からはじめますから、12名の人達を選ばなければなりません。誰か居ませんか。」と、いうのである。
信吾は、哲学的問題意識が芽生え、この慶応の門を叩いた。この機会を逃すと一生後悔すると感じた。すかさず手を上げた。
先生は「名前は・・・。」と聞いてきたので「富山信吾です。」と答え。「じゃぁ、初回は富山君にやってもらおう・・・。」
この日の120分間はオリエンテーション的なことで終わった。
大学での夏期面接授業(スクーリング)は短期間である。当時、約一月半で8単位を取得しなければならない。従って通学過程では一教科を、半年又は一年かけて修得するのに対して、通信課程では1単位を120分の受講で、一週間で終わらせ60分の試験を受け終了である。
信吾は考えるのである。
『科学とは何か・・・。技術とは何か・・・。そして、それを教える教育とは何か・・・。と言う哲学的問題意識に芽生え、慶応の哲学の門を叩いた。
とてもじゃないが、25分の持ち時間で話せる内容じゃない。
この問題意識をどのようにまとめ話すか・・・。
そうだ、この地球上で抱えている問題について話そう。そして、それを解決するには、哲学しか無い。と結論付けよう。』と考えるのである。
『明日まで時間が無い・・・。
いま、地球上で抱えている大きな問題は環境汚染である。
欧州では、酸性雨による森林破壊が起きていると言う。大気中に大気圏内核実験が行なわれ、放射性物質が拡散している。日本では各地に奇病が発生し、その地域の地名を付けた病気がある。
この、地球上で我々人間は生活できなくなるのでないか・・・。科学技術は、この環境破壊を阻止しようする動きは見えて来ない。
教養の哲学の中に「哲学は科学を含めた学問である。」と書いてある。
であるなら、問題を解決するには哲学しか無いのでないか・・・。と結論付けよう・・・。』
信吾は、明日の哲学特集での発表の構想ができた。