助手時代 11
                   清水景允
 
 信吾は、アインシュタインの方程式について表面的ではあるが、理学的観点から理解できた。
次に、何故、核分裂すると放射性物質が出来るのか、と言うことを工学的な観点から究明しなければならない。
 原子力の燃料はウラニウムとプルトニウムである。
このうち、ウラニウムだけが自然界に存在し、プルトニウムはウラニウムが核分裂した時、生まれて来る。言わば、人間が作り上げた元素である。
従って、自然界ではウラニウムだけが原子の火の燃料となる。
そのウラニウムには多くの兄弟が居る(同位元素)。
このうち、ウラニウム238は地球上に99.274%が存在し、残り約0.7204%がウラニウム235で、残り0.0056%が影の薄いウラニウムの兄弟である。
 問題は、このウラニウム235である。
このウラニウム235は厄介者で、235同士が集まるとアインシュタインの方程式にあるエネルギーを発散する。しかし、自然界は非常に良く出来ていて、厄介者のウラニウム235の暴走を阻止するように、ウラニウム238が取り囲み、核分裂を止めている。
 しかし、人間はウラニウム235だけを分離する技術を開発したのである。そして、ある一定量に達すると(臨界量)、ウラニウム235は徒党を組んで暴れるのである。つまり、核分裂の連鎖反応である。
 また、安定なはずのウラニウム238が発電のために原子炉の中でウラニウム235が核分裂して行く時、中性子をもらいプルトニウムに生まれ変わってしまい、その生まれたプルトニウムは、ウラニウム235と同じ性質を持つのである。