助手時代 六
清水景允
現像タンクの蓋を開け、フイルムを取り出した。
まだ濡れているフイルムを窓際で光に透かして見る。
『あっ・・・。写っている。』
白黒反転しているが、確かに土曜日に撮った祖母の姿である。
信吾は心臓が強く鼓動するのを感じた。
フイルムを乾燥させ、次は印画紙に焼き付ける作業がある。
印画紙専用の現像液を調合し、暗室にセットした。
暗室内は、フイルム現像と異なり、印画紙は赤い光に反応しない乳剤で出来ているため薄明るい赤色光の電球の下で現像することができる。
つまり安全光である。
『温度20℃』
安全光の下で温度を確認した。
適正に現像されているネガフイルム(白黒反転しているフイルム)なら引き伸ばし機(写真を色々な大きさに調節する装置)の絞り(引き伸ばし機の光量を調節する装置)6で3秒ほど露光すれば良い。
引き伸ばし機に祖母のネガフイルムをセットし、スイッチを入れた。印画紙を載せる台に祖母の姿が白黒反対に写っている。ピントを合わせる。
一旦、スイッチを切り印画紙を載せ、再度スイッチを入れた。
信吾は、心の中で『1、2、3』と数え、3秒ほどでスイッチを切った。
引き伸ばし機の右側にセットしてある現像皿に、焼き付けた印画紙を入れた。
入れて直ぐには何も変化が無い。
やがて、15秒が過ぎた。
薄ぼんやりと祖母の姿が印画紙上に浮かんで来た。
60秒が過ぎた。
もう現像は進まない。
その段階で印画紙を現像液から引き上げ、停止液に入れる。
停止液には15秒程浸せば良い。次に定着液に浸し、画像を安定させる。
そして、水洗い。乾燥へと進むのである。
写真が出来た。
大きさは12センチ掛ける9センチと小さいものであるが、信吾にとって生まれて初めて作り上げた一枚の写真である。
しかも、カメラにフイルムを装填し、自分でシャッタを切り。そのフイルムを自分の手で現像し、印画紙に焼き付けたのである。
信吾は、その祖母の写真をみて感無量のものを胸に感じていた。
『美しい写真を作ること、それは物理と化学との共同作業が無ければ絶対に出来ない。』それからと言うもの、信吾は理科の実験以外に写真についての研究が、仕事の一部になって行くのである。が、原子力エネルギーのことが常に胸の中に顔を出すのであった。
清水景允
現像タンクの蓋を開け、フイルムを取り出した。
まだ濡れているフイルムを窓際で光に透かして見る。
『あっ・・・。写っている。』
白黒反転しているが、確かに土曜日に撮った祖母の姿である。
信吾は心臓が強く鼓動するのを感じた。
フイルムを乾燥させ、次は印画紙に焼き付ける作業がある。
印画紙専用の現像液を調合し、暗室にセットした。
暗室内は、フイルム現像と異なり、印画紙は赤い光に反応しない乳剤で出来ているため薄明るい赤色光の電球の下で現像することができる。
つまり安全光である。
『温度20℃』
安全光の下で温度を確認した。
適正に現像されているネガフイルム(白黒反転しているフイルム)なら引き伸ばし機(写真を色々な大きさに調節する装置)の絞り(引き伸ばし機の光量を調節する装置)6で3秒ほど露光すれば良い。
引き伸ばし機に祖母のネガフイルムをセットし、スイッチを入れた。印画紙を載せる台に祖母の姿が白黒反対に写っている。ピントを合わせる。
一旦、スイッチを切り印画紙を載せ、再度スイッチを入れた。
信吾は、心の中で『1、2、3』と数え、3秒ほどでスイッチを切った。
引き伸ばし機の右側にセットしてある現像皿に、焼き付けた印画紙を入れた。
入れて直ぐには何も変化が無い。
やがて、15秒が過ぎた。
薄ぼんやりと祖母の姿が印画紙上に浮かんで来た。
60秒が過ぎた。
もう現像は進まない。
その段階で印画紙を現像液から引き上げ、停止液に入れる。
停止液には15秒程浸せば良い。次に定着液に浸し、画像を安定させる。
そして、水洗い。乾燥へと進むのである。
写真が出来た。
大きさは12センチ掛ける9センチと小さいものであるが、信吾にとって生まれて初めて作り上げた一枚の写真である。
しかも、カメラにフイルムを装填し、自分でシャッタを切り。そのフイルムを自分の手で現像し、印画紙に焼き付けたのである。
信吾は、その祖母の写真をみて感無量のものを胸に感じていた。
『美しい写真を作ること、それは物理と化学との共同作業が無ければ絶対に出来ない。』それからと言うもの、信吾は理科の実験以外に写真についての研究が、仕事の一部になって行くのである。が、原子力エネルギーのことが常に胸の中に顔を出すのであった。