一の5 小学生時代
清水景允
信吾にとって、針を使う事には慣れていた。
良く、ズボンに穴が開いた時などお袋の裁縫箱から針と糸を取り出し、当て布をし穴を繕っていた。もちろん妹達のほころび等も直していた。
白い布を帆柱に縫い付けることなど難しくはなかった。
一応、和船の形に舟は出来上がった。
それを、小川に持って行き浮かべた。
適当な風を受け、その舟を走らせた。
舟は、小川の流れに逆らって風下へと進むのである。
信吾は、それを見て心が高ぶった。
しかし、風が強くなると転覆してしまう。
『風が強くても転覆しない舟を作るのは・・・。』
またもや、信吾の頭には課題が浮かび、その解決に考え込んでしまうのである。
『舟の重心を下げれば良い。しかし、重心を下げるには船底に重いものを付けなければならない。重心を下げる適当な物は無い。』
信吾は考え続ける。
『風が強くなれば、四角い帆であれば、帆の上の方と下の方とでは同じ風の強さがかかる。舟は水の抵抗が有るから、同じ面積であればどうしても帆の上の方が先に行こうとするから前のめリになる。帆の上の方の面積を小さくし、下に行くにしたがって面積を大きくしたら、舟が前のめりしなく風を受け走るのでないだろうか・・・。』信吾は考えた。
『そうか、ヨットの帆は下に行くにしたがって面積が大きくなっている。だからヨットの帆は三角形なのだ・・・。』
一人、合点した。
直ちに、三角形の帆を付けてみた。
少々風が強くなっても、舟はスムーズに川下から吹く風を受け川上へと進んだ。
『やったね・・・。』
雪の降る少し前に舟は完成した。
信吾へのいじめは、何時しかなくなって居ることに気がついた。
『そうか、何か夢中になれる物があり、それをつづけていれば周りの嫌なことが気にならなくなる・・・。』
友達の居ない信吾のモノ作りの原点となるのであった。と同時に人と接しなくても気にならない信吾になっていくのであった。
清水景允
信吾にとって、針を使う事には慣れていた。
良く、ズボンに穴が開いた時などお袋の裁縫箱から針と糸を取り出し、当て布をし穴を繕っていた。もちろん妹達のほころび等も直していた。
白い布を帆柱に縫い付けることなど難しくはなかった。
一応、和船の形に舟は出来上がった。
それを、小川に持って行き浮かべた。
適当な風を受け、その舟を走らせた。
舟は、小川の流れに逆らって風下へと進むのである。
信吾は、それを見て心が高ぶった。
しかし、風が強くなると転覆してしまう。
『風が強くても転覆しない舟を作るのは・・・。』
またもや、信吾の頭には課題が浮かび、その解決に考え込んでしまうのである。
『舟の重心を下げれば良い。しかし、重心を下げるには船底に重いものを付けなければならない。重心を下げる適当な物は無い。』
信吾は考え続ける。
『風が強くなれば、四角い帆であれば、帆の上の方と下の方とでは同じ風の強さがかかる。舟は水の抵抗が有るから、同じ面積であればどうしても帆の上の方が先に行こうとするから前のめリになる。帆の上の方の面積を小さくし、下に行くにしたがって面積を大きくしたら、舟が前のめりしなく風を受け走るのでないだろうか・・・。』信吾は考えた。
『そうか、ヨットの帆は下に行くにしたがって面積が大きくなっている。だからヨットの帆は三角形なのだ・・・。』
一人、合点した。
直ちに、三角形の帆を付けてみた。
少々風が強くなっても、舟はスムーズに川下から吹く風を受け川上へと進んだ。
『やったね・・・。』
雪の降る少し前に舟は完成した。
信吾へのいじめは、何時しかなくなって居ることに気がついた。
『そうか、何か夢中になれる物があり、それをつづけていれば周りの嫌なことが気にならなくなる・・・。』
友達の居ない信吾のモノ作りの原点となるのであった。と同時に人と接しなくても気にならない信吾になっていくのであった。