私には
思い出して
もう一度笑える
過去があります
思い出して
もう一度
熱い気持ちになれる
過去があります
たとえば
高校の昼休みに
友達と
体育館の裏で
ぼんやりと
陽射しを浴びたことや
大学の友達と
酒に酔って
坂道を自転車で
歌いながら下りたこと
雨に濡れながら
はしゃいで
バカになった日
徹夜で
詩を書き続けた夜
個展を訪ねてくれた
懐かしい人の
思いがけないプレゼントに
涙しそうになったこと
私に
過去があるように
あなたにも
過去があるはず
思い出してください
楽しかった
あの頃を
思い出してください
笑い声に溢れた
あの時を
思い出してください
嬉し涙が
流れた時を
思い出してください
大好きな人を
抱き締めた時を
思い出してください
愛に溢れた
日々を
あなたの過去は
思い出してもう一度
素晴らしい
あなたの過去には
思い出してもう一度
輝きを感じる瞬間が
山のように
山のように
山のように
山のように
ある
思い出してください
そして
思い出した
今の気持ちを
感じて下さい
その優しさを
感じて下さい
その笑顔を
感じて下さい
その
胸の熱さを
あなたは
未来の自分へ
それを贈ることができる
未来のあなたは
そんな過去を愛する
今のあなたを愛する
未来は今
どこにありますか?
楽しかった
あの頃を
思い出してください
その時の気持ちを
未来へ
愛を一杯込めて
贈ることが
あなたにはできる
未来のあなたが
また
笑うことができる
愛を一杯思い出して
キラキラ
キラキラと
あなたが笑う瞬間が
増えて増えて
増えて増えて
いっぱい
増えて
そうなったら
私は
とても
とても
とても
とても
とても嬉しい
どうか
生きてください
どうか
愛を一杯込めて
生きていきましょう
僕も
ここで一緒に
生きていいですか
あなたが
笑うのを
想像しながら
涙も滲むけれど
やっぱり
あなたの
笑った顔が見たいから
ずっと
ずうっと
愛を
一杯
愛を一杯
今にたくさん
込めて
生きていくことが
あなた
あなただから
『駐輪場の天使』
新幹線の高架下
駐輪場の天使
黄色いジャケットを着た
駐輪場の天使
うつむき
ため息の
とぼとぼとした
足取りで
素通りすることは
出来ない
彼らが
爽やかなことを
知っているから
どんなに
うつむきそうでも
僕はいつも
天使には
自分から先に
『こんにちは』
と声を掛ける
そう
それも
少し
微笑みを浮かべながら
明るさは
こんなところに
あるものなのだ
そして
うつむいている時間は
日に日に
短くなっていく
今日も
雲間から一筋に差し込んだ
オーロラのような
陽射しに
天使の面影を
感じたりしながら
決して
使うことのない
武器の手入れをして
幾年が過ぎたろう
王より
仰せつかった使命は
この
浮遊城を
守り抜くこと
そういえば
王妃が
ある日
呟くように
言っていた
王は
城のことを
気にかけていたのでは
ありません
この城に仕える
あなた方兵士たちが
光を見失わぬよう
使命を残し
逝ったのです
と
そして
この
浮遊城には
攻めてくるものなど
有りはしない
とも
もう
武器など
持たなくていいのです
私たちは長い間
美しい眺めを
見させて頂きました
いずれ
この城が
地上に落ちた時
愛と感謝以外の
何をもって
世界に顔向けできると
いうのでしょう
王妃様の
仰る通りだ
浮遊城の兵士は
磨いていた槍を
カランと置いた
そして
城壁から
身を乗り出すようにして
下を覗き込んだ
眼下には
今日も青い海と
あたたかな町明かりに
人々の営みが
想起される
ほっと
頬が緩むのを感じ
彼は
着なれた鎧を脱ぎ捨てた
ガチャン
当たり前のように
身に付けていたものが
こんなにも
重たかったのか
今なら
身も心も
鳥のように
風を掴めそうだ
フッと
彼は中空へ舞い上がった
直滑降
一瞬下界を隠した
厚い雲を突き破り
光の尾を引いて
かつて兵士だった人は
地上へ向かった
今宵
下の町では
天使の訪問を
歓迎する
盛大な宴が
町全体をあげて
開かれることだろう
灯火に
飲めや踊れや
浮遊城の兵士は
今や天使となり
人々に
愛と感謝を
存分に振る舞うための
第二の使命を
手に入れたのだ