『3月文庫Ⅲ』
雲の上で太陽が
光り輝いていることを
君は知りながら
3月の道を歩く
電気をつけた部屋で
静かな時間を過ごしながら
安らぎという
言葉の意味を生きる
約束は
手を伸ばしても
届かない場所にあって
春一番を待つ
その瞳が
潤んだなら
胸に手を当ててごらん
たとえば
指先のあかぎれが
脈に合わせて
じんじんと痛むように
雨が入り込んだ靴の中で
靴下と足の指に
水が染みていくように
寄り添うように
それは生きているから
もう
気づいてあげなよ
梅の花も
また去年とは
違う顔をした
君が通るのを待っている
3月に吹く
心風
一面に
草原を撫でるようにして
さわさわと
行き過ぎている
君は
人差し指を
少し舐めて
その風に
かざしてみるだけでいいんだ