~人は、誰かにとっての登場人物である~ -15ページ目

~人は、誰かにとっての登場人物である~

不動産会社勤務。仕事中にアパートの孤独死に触れ、
「人は、だれかに影響できる」というシンプルな事実に気付きました。仕事や家庭、その他、登場人物としての日常を、気づきとともに綴ります。



花壇に
紋黄蝶を見た
早春のある日

夜の空気が
季節を変えたのを
肌が
思い出している


眠気に任せて
眠りこけていた
冬眠男は
穴蔵から這い出して

空を見上げた


春宵の雨が
掠れた視界に
ピチョンと落ちたのを


雲の上で
三日月が見ていた


風が吹けば
自分の体が
にわかに色めくのを

いつも
ひとつの指標にして

彼は行くだろう



雨が降れば
しとやかに
心癒す時を

何よりも愛し

彼は行くだろう



どこへ?


彼は行くだろう

彼自身の元へ。



ただ
煙り続ける

春宵の雨の中で


窓の向こうの
空に恋をした

洗濯物の
隙間から

雲りない
君を見て

フフって
明日に笑った


笑ったら
空もフフって

そしたら
僕も笑った



嗚呼

グラデーションの
色ひとつを知る度に



ねえ
青い君

僕はますます
空に愛を覚えてる


どんな
魔法の種でも

それ自身だけの力では
地上に這い出ることが
できないから

大地に
胸を借りるよう

ありのままに
潜り込むのだろう


どんな瑞々しい芽も

それ自身だけの力では
伸びることはできないから

雨に
力を借りるよう

一生懸命
背を伸ばすのだろう


どんな
美しい花びらも


それ自身だけの力では
満開になれないから


太陽に
光を借りようと


精一杯
咲いているのだろう



僕は今

種だろうか


芽だろうか



それとも


花だろうか



もしも僕が種ならば
なにも言わず
潜り込むことから
始めよう


もしも僕が芽ならば
一生懸命
背を伸ばすことから
始めよう



もしも僕が花ならば
精一杯
咲くことから
始めよう



もしも枯れたら

大地に魔法の種を
また預けられますように