今日の詩『春宵の雨』花壇に紋黄蝶を見た早春のある日夜の空気が季節を変えたのを肌が思い出している眠気に任せて眠りこけていた冬眠男は穴蔵から這い出して空を見上げた春宵の雨が掠れた視界にピチョンと落ちたのを雲の上で三日月が見ていた風が吹けば自分の体がにわかに色めくのをいつもひとつの指標にして彼は行くだろう雨が降ればしとやかに心癒す時を何よりも愛し彼は行くだろうどこへ?彼は行くだろう彼自身の元へ。ただ煙り続ける春宵の雨の中で
今日の詩『窓辺の旅人』窓の向こうの空に恋をした洗濯物の隙間から雲りない君を見てフフって明日に笑った笑ったら空もフフってそしたら僕も笑った嗚呼グラデーションの色ひとつを知る度にねえ青い君僕はますます空に愛を覚えてる
今日の詩『種 芽 花びら』どんな魔法の種でもそれ自身だけの力では地上に這い出ることができないから大地に胸を借りるようありのままに潜り込むのだろうどんな瑞々しい芽もそれ自身だけの力では伸びることはできないから雨に力を借りるよう一生懸命背を伸ばすのだろうどんな美しい花びらもそ れ自身だけの力では満開になれないから太陽に光を借りようと精一杯咲いているのだろう僕は今種だろうか芽だろうかそれとも花だろうかもしも僕が種ならばなにも言わず潜り込むことから始めようもしも僕が芽ならば一生懸命背を伸ばすことから始めようもしも僕が花ならば精一杯咲くことから始めようもしも枯れたら大地に魔法の種をまた預けられますように