「そっちに行っちゃだめよ」
走り回る子供に
優しく声をかける母
「何があるんだろう」
幼心に
子は思った
開拓者が
切り開いた道で
後に続く者達は
その苦しみを
飲み込みきれず
甘えた空を見ている
道標は
血と汗の染み付いた
誇りまみれの栄光
手を触れかけて
少年はきびすを返した
身の危険より
好奇心
忠誠心より
躍動感
求めた花が
見つかった時の
感涙の染み込んだ
外套を羽織り
風にさらされながら
行けば砂まみれ
止まれば吹き出す汗
振り返れば
息を止めた風景
鼓動に尋ねた
明日のモンタージュ
それは
どうやら
この道の先に
あるらしい
いつも
守られながら
生きて
生きたといえないことを
遥かの昔から
感じながら
自由にならない
両手両足
頭と
一挙手一投足
ザクザク
砂利道を踏む靴底だけが
今
確かなる
感触を胸に伝える
青年は
無邪気に笑おうとして
引きつった頬に気付いた
自ら創り出したように
見せかけてくれる世界で
自分は
創られていくものだと
思い出しながら
指先に唾をつけ
孤独にかざした
風の路傍で
今また
腰を上げて
包む世界との
対話を始めるところだ