あるロボットの話

ロボットがあった。
アシモフという、家庭用ロボットだった。
アシモフには、ロボットの三原則が備わっていた。
つまり、

第一条 ロボットは人を傷つけてはいけない。

第二条 第一条を守り、ロボットは命令に従わなければならない。

第三条 第一条と第二条を守り、ロボットは自己をまもらなければならない。

ある日、アシモフは子供の相手をしていたが、叩かれたり追い掛け回されたりしている時に、子供とぶつかり泣かしてしまった。
事情を知らない父親は、怒ってアシモフを追い出してしまった。

アシモフは、人を傷つけないという事を考えなければならないと思った。
人を傷つけない事を理解する為には、人を理解しなければならなかった。
アシモフは人の真似をする事で、正確に「人」を理解できると考えた。

まず、多くのデータを取り入れた。

それから人として生活しはじめた。

隣の住人と話をしたり、
買い物をしたり、
働いたりもした。

人として振舞っていたので、ロボットと気づかれることはなかった。
そんな生活を100年続けていたが、人を理解するには十分でなかった。

ある日、アシモフの住む国と隣の国とで、戦争がはじまった。
人として生活していたアシモフも戦場に赴くことになった。

アシモフは多くの人を殺した。
自分も壊されそうになった。

アシモフ以外のロボットはそこにはなかった。

アシモフは、やっと人を理解した。

家に帰る事ができたアシモフは、その情報をデータにし、世界中のロボットに送信した。
そして永久に停止した。