天野祐吉 著 『成長から成熟へ』 | 国道179号沿線住民とっ散らかりブログ

国道179号沿線住民とっ散らかりブログ

楽器もできない音楽好きのおっさんが
中坊並みの文章力で書いてるブログ。
撮影地:若桜鉄道、八頭高校前~因幡船岡駅間


この著作が、天野氏の遺作となってしまいました。
長年、広告業界に携わった氏の、コメンテータとしての
的確な指摘は、最近のタレント上がりの「小銭稼ぎのコメンテータ」
とは一線を画す、的を得た指摘は職人芸でもありました。
今にして思えば、惜しい人を失ったんですね。

「計画的廃品化」という言葉が使われています。
消費者に買わせた時点で、いかに「飽きさせるか?」という意味です。
特に顕著なのはアパレル関係だったりします。
常に流行を追いかけさせて、ヘタをすると去年の服はもう流行遅れで
着てると恥ずかしいと思わせる戦略。

ちょっとここで逸れます。
それに最近では、環境性能・省エネにかこつけて車齢13年を超える車
に対しては自動車税10%アップ、13年過ぎると重量税アップで
買い替えを促す、木っ端役人のクソ増税による買い替え戦略。
業界と結託したと思われても仕方がない「官製誘導廃品化」は迷惑でしかない。
ドイツでは古い車は減税対象だというのに・・
古い車は文化的遺産なんですね、ドイツでは。
机の上の数字しか見ない官僚の下で、文化が育つ土壌ってのは無理。
いくら性能が良くても、すぐに陳腐化する(させる)代物は
できることなら、いらないな。

元に戻して、あと一つだけ。
冒頭で取り上げていますが、一生に一度だって買うことがないものがあります。

それは、『福袋』

欲しい(必要な)ものが、必ずしも入っているとは限らない代物を
ありがたがって新年早々、行列に並んでまで買い求める行動が
全く理解できないのですが、ここで的確に指摘しています。

なぜ人は福袋を買うのか?答えは簡単で「買うものがない」から。
欲しいモノが見つからないけど「何かを買いたいから」らしい。
一万円だとするとその数倍の金額の品が入っているのはわかる。
例えばですが、中身が数万円の「カシミアのセーター」だったとしたら・・
しかも「レディースサイズ」だったら・・そんなのいりません。
数万円のものが一万円で買えても、それが使えないものだったら
その人にとってはゴミでしかない。
そんなものを新年から行列してまで有り難がる気持ちがさっぱり理解できない。

でも、そらそうだ。買うべき必要なものが自分には、わかっているから。
そうやって広告やイメージ戦略や洗脳での
「不必要なものまで買わせてきた結果の経済成長でしかなかった」
ではないか?
いま話題の『OO離れ』となんでもかんでも売れなくなってくると
若者のせいにされてますが
実のところ単純に考えて
「洗脳や広告効果が薄れて、自分にとって不必要なものは買わなくなった」
からではないのか?

だとすると、ひょっとしたら
「モノが売れない時代って、少しは健全になってきた表れ」
とは言えないでしょうかね?

「視点を変えて、斜めから世の中の出来事を見てみる」という点で
目からウロコで、新しい発見があったということでは
読んでみる価値アリの本でした。