単に他者との区別のためのものである名前。

それ以上に アイデンティティを象徴するもの。


8歳のルシア(と呼びます)には

名前以外にも 受け入れられないことがたくさんあって

周りの大人には ワガママ、母親の甘やかしととらえられていて。


人は 蜜蝋で造る彫像のように 型に流し込んで固めることはできない、とか

2つの国にまたがるバスク地方のように揺らいでるものと

会員証のようにはっきり線引されるもの、とか

暗喩がいっぱいの映画です。


教会で聖ルシアの話を聴いた場面も 天啓を受けたような演出でなくて

サラッと次のエピソードにかわって

すごく不親切(褒め言葉)。


「クラスに女性器のある男の子がいるよ」という 初めてできた友だちや

「死んだら女の子に生まれ変われるかな」というルシアに

「もう女の子よ それもとびきりかわいい」と

話を聴いて受け入れる大叔母に だんだん心をひらいていく。


それでも 一番身近な家族に受け入れてもらえないことに深く傷つくのが

痛々しい。


ルシア役の子どもの 天使のような可愛さと

田舎町の美しい自然を 堪能しました。