原題は「通路にて」。

統一後の 旧東ドイツの巨大スーパーマーケットで働き始める
クリスティアン。
おそろしく無口で不器用で 挨拶のひとつもできない青年。
彼の自信のなさが これまでの人生によるものだと わかってくる。

詮索せず うるさく言わず ぶっきらぼうに肯定してくれる
初老の先輩たちが 彼の自己肯定感を後押ししてくれる。
一見 人妻マリオンとの関係がメインのように見えるかもしれないが
わたしには ゆるく優しい人たちが いいなぁと思った。

東ドイツ時代を懐かしむびブルーノ。
急激な西側文化に 嫌な思いもさぞかししたことだろう。
昔からの友人が近くにいるのに 助けを求めるひと言が言えたら…。

「美しく青きドナウ」にのせて
無機質な倉庫を無骨なフォークリフトが動き回る冒頭はアートのよう。

裕福でも華やかでもない 普通の人たちの生活が 1番美しいのだな。