宮本輝の文章がとても好きで 滑らかに入ってくる。
久しぶりに 長編を一気読みした。
とはいうものの。
最近 女流作家ばかり読むようになったのは、
男性作家だと女性の登場人物が 作家の理想の女性と感じることがあるからだ。
姿形はあっても、まるで外枠だけで 薄っぺらで、
色々思い悩んだり 人間らしい感覚のないような女性だったりで しらけてしまう。
この主人公も 宮本輝の理想の女性なんじゃ?
別の作品でも 似たような人がいた気がする。
真面目で知的だけど 天然なところがある。思慮深く 感情的に騒ぐことが少ない。
そういう人だからこそ、幸運が集まってくるという話なんだけど。
ほかの登場人物も、悪意を心の底にたぎらせているような人は 出てこない。
皆 親切で することが丁寧で 努力家。
そうじゃない人から 離れるようにするから
(娘の茜が 幼なじみの少年から離れるように)
ますます 周りが同類のおっとりさんばかりになる、という感じ。
文之助は 「流転の海」の 熊吾を思わせるような人。モデルがいるそうです。
ズルしたり人を出し抜こうとせず、するべきことをきちんきちんとして
素直な目で自分の好きなこと(物)に 対峙することが 幸せになる近道なのでしょう。
初出は 2007年という事で、低糖質ダイエットを超推してますが
現在の風潮には 合いませんね。