あれから10年ほどが経ち、左右の畑はすっかり荒れ地になった。

今では夜になると、あの畑の方角からフガッ、フガッ、と豚の鳴き声のような鼻息が時々聞こえてくるようになった。その鼻を鳴らす音を聞くと、あの夜に出会った肥満体の馬の姿が脳裏に浮かんでくる。馬の姿が浮かぶと猪の姿が浮かび、猪の姿が浮かぶと馬の姿が浮かんでくる。

私の融通の効かない脳みそはあれ以来、猪と馬を関連付けて考えるようになってしまったのだった。