柔と耕作(松田)の新婚日記 17日目 (午後編第3部)
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耕作は項を撫でられているのを感じて目が覚めた。
柔を見ると耕作を見詰めていた。
柔「あ、ごめんね~、起こしちゃった?」
耕作「心地良くて起きたから気にしなくて良いよ。」
耕作「少し擽ったかったけど。」
柔「あは、そこって、あたしもそう感じるけど同じなんだね。」
耕作「ここは殆どの人がそう感じるんじゃないかな。」
柔「そうなんだね。」
耕作「かなり前から起きてたの?」
柔「ううん、あたしもさっき起きたばかりだよ。」
耕作「自然に目が覚めた?」
柔「何でそんな事聞くの?」
耕作「いや、何となく聞いただけだよ?」
柔「そうなんだ、やっぱり無自覚なんだね?」
耕作「何が?」
柔「あなたの~、あ・そ・こ~。」
耕作「え?そうだったの?」
柔「うん、それを太腿に当たってるのを感じて目が覚めちゃった。」
耕作「あ~、またか~。」
柔「気にしなくて良いよ?無自覚でなるなら仕方ないんだし。」
耕作「君に抱き付かれてるのも有ったんだろうな~。」
柔「抱き付かない方が良かったかな?」
耕作「いや、それは気にしなくて良いから。」
柔「今は治まってるみたいだから安心してね。」
耕作「これで何度目だ?」
柔「え~っと、3度目か4度目かな?」
耕作「そんなになのか~。」
柔「ね~、あそこって何でそうなるの?」
耕作「何でってどうして?」
柔「あたしを愛したい気持ちの時は分かるんだけど、寝てるのに何でかな~って。」
耕作「それは、さすがに俺も分からないかな~。」
耕作「睡眠が関係してるのは間違いないと思うんだけど。」
柔「ふ~ん、あなたでも分からないんだね~。」
柔「どこかが悪いからそうなる訳じゃ無いんだよね?」
耕作「その逆だよ。」
柔「逆って?」
耕作「健康な程なるみたいだよ。」
柔「そうなんだ、って事は、あなたは健康なんだね。」
柔「そっか~、健康の証なんだ。」
耕作「少し違う気がしなくもないけど、そう言う事だね。」
耕作「あ、間違っても毎回なるなんて思ったら駄目だからね?」
柔「うん、それは以前あなたから聞いたから分かってるよ。」
耕作「あ、覚えてたんだね。」
柔「だって、あなたに聞いた事は覚えてるって言ったじゃない?」
耕作「そう言えば、そう言ってたね。」
耕作「で、何でこんな話になったんだ?」
柔「あなたがあたしに『自然に目が覚めた?』って聞いたからだよ?」
柔「あなたがそんな事聞かなかったら、あたしも言わなかったと思うよ。」
耕作「なるほど、俺が何も聞かなかったら良かったのか。」
柔「うん、そうだよ。」
耕作「ところで何でまた着けて無いの?」
柔「楽だから。」
耕作「まあ、そう言ってたからね。」
柔「駄目だった?」
耕作「いや、その服なら見えないから良いよ。」
柔「やっぱり見えたら駄目?」
耕作「うん、絶対に駄目。」
柔「ここなら良いの?」
耕作「俺しか居ないしね、ここなら良いよ。」
耕作「だからと言って故意に見せようとしなくて良いから。」
柔「うふ、何で分かったの?」
耕作「俺が喜ぶ事は進んでするって言ってたじゃない?」
柔「あなたはやっぱり喜ぶんだね~。」
耕作「あ~、違う、今の無し。」
柔「え~、何で~、嬉しいんでしょう?」
耕作「時間的な事を考えようね?」
柔「夕方だよ?それに自室だし。」
耕作「もしかして・・。」
柔「あは、バレちゃったか~。」
耕作「今日はしないって話したじゃない?」
柔「そうだったね~、ごめんね~、誘う様な真似して~。」
柔「抱き付いてるからいけないのかもね?起きようか?」
耕作「そうだね、そうするか。」
耕作が起き上がってベッドに座ると柔はベッドから下りて耕作にキスをした。
柔「おはよう~、あなた~。」
耕作「おはよう、目覚めのキスありがとね。」
柔「飲む?」
耕作「頂こうかな?」
柔「分かった~。」
柔はお茶を注いでコーヒーを淹れると耕作にコーヒーを渡しながら寄り添って座った。
柔「あなたの健康を祝ったコーヒーだよ~。」
耕作「ありがとね、何を基準に健康って言ってるんだか。」
柔「うふふ、それはね~、あなたの~、言わないでおくね。」
耕作「そうしてね、乙女が軽々しく口にする事じゃ無いよ?」
柔「もう乙女じゃないよ?誰かのお陰で・・。」
耕作「こらこら、今でも君は立派に乙女なんだって。」
柔「そうなの?そっか~、あたしは今でも乙女なんだね。」
耕作「だから下ネタは言わない様にね。」
柔「下ネタって?」
耕作「あれ?知らなかったの?」
柔「意味は知らないよ?」
耕作「下って言うのが下半身の事を指して、ネタって言うのは種を逆さにして言った言葉なの。」
柔「何で種を逆さにして言ったの?」
耕作「いや、さすがにそれは俺にも分からないけど、江戸時代の頃に言われ始めたんだって。」
柔「ふ~ん、何でかは分からないんだね。」
柔「それで下ネタの意味は?」
耕作「あ、そっちは言ってなかったか。」
耕作「えっと、エッチな話をする事かな?」
柔「あ、そうなんだ。」
柔「って事は、あたしがキョンキョン達にお話した事も下ネタになるのね?」
耕作「そう言う事になるかな?」
柔「なるほど、まあ、あれは皆が聞きたいって言ったから良いのかな?」
耕作「ほんとは良くないんだけどね。」
柔「え~、だって、キョンキョン達が聞きたいって言ったからだよ?」
柔「それにあなたもお風呂に一緒に入ってお話したらって言ったじゃない?」
耕作「あ、そうだった、俺が勧めたんだったね。」
柔「そうだよ~。」
柔「そう言えば、キョンキョン、どうなったのかな?」
耕作「ここの電話番号は知ってるんだよね?」
柔「うん、知ってるよ。」
耕作「それなら大丈夫じゃないかな?」
柔「何で?」
耕作「上手くいって無かったら電話を掛けてきてるはずだから。」
柔「あ、そっか、だよね。」
耕作「明日、結果は聞けるから心配しなくて良いんじゃない?」
柔「それもそうだね、明日が楽しみだな~。」
耕作「原稿を出した後で良いんだよね?」
柔「10時に待ち合わせだから、その方が良いと思うよ。」
耕作「原稿どうするかな~。」
柔「今書いたら?」
耕作「そうするか。」
柔「今日はどんな風に書くのかな~?」
耕作「楽しみにしてるの?」
柔「うん、今日からは違うあたしを~って書くのかな~って。」
耕作「何で書いてもいないのに君に分かるんだろう?」
柔「一心同体だからじゃない?」
耕作「なるほど、それなら分かるよ。」
柔「早く書こう~?」
耕作「分かったから、急かさないでね。」
柔「は~い。」
耕作は立ち上がって机の上にカップを置くと椅子に座り原稿を書き始めた。
柔は耕作の肩の辺りに抱き付いて肩越しにそれを眺めた。
柔「ほ~、あたしが新たな試みとして指導者の育成に取り掛かってるか。」
耕作「間違って無いよね?」
柔「正確には間違いだけどね~。」
耕作「あ~、アメリカに居る頃からやってたからか。」
柔「そうで~す。」
耕作「でも、あの時は明確に指導者にしようと思って無かったんでしょう?」
柔「それはこの前お話したはずだよ?」
耕作「あ、言ってたね、自分の代わりにって。」
柔「うん、折角教えても誰かがそれを引き継いでくれないと忘れられちゃうからね。」
耕作「それは有るね、だからマイケルをそうし向けてたのか。」
柔「そう言う事なんですよ。」
耕作「高校には三浦、西海大には富士子さんって言う訳なんだ。」
柔「あなたの言う通りですよ。」
柔「富士子さん自らが考える様に誘導しているか~、あなたはそんな風に感じたの?」
耕作「そうだね、終わり掛けの寝技の宿題とかそうじゃない?」
柔「そう言われればそうだね。」
柔「あ~、それ書いちゃ富士子さんにあたしの意図がバレるから駄目だよ~。」
耕作「あ、ごめん、宿題を出した意図は書いたら駄目なんだ。」
柔「そうだよ?単に宿題を出したとだけ書けば良いんだから。」
柔「今回は富士子さん絡みで何の為にやったとか書いたら駄目だからね。」
耕作「それはかなり制約が掛かって厳しいな~。」
柔「何で駄目なのか理由を言うね。」
耕作「拝聴させて貰おうかな。」
柔「他の部員にあたしの意図が分かると他の部員が富士子さんを見るんじゃなくて
あたしを見る様になるからなんです。」
耕作「良く意味が分からないんだけど。」
柔「あたしが富士子さんにさせてるって分かったら、あなただったらどう思う?」
耕作「それは・・、富士子さんじゃなくて直接君に色々聞いた方が早いってなるよね。」
耕作「あ~、そう言う事なんだ。」
柔「そうなの、富士子さんを見て貰わないと意味が無いの、今回の件は。」
耕作「分かった、富士子さんの為でも有るんだね。」
柔「そう言う事なんです、今後は富士子さんしか居ない場合も有り得るからね。」
耕作「君の言う様に君の意図は書かない事にするよ。」
柔「土曜日の原稿は書いても良いよ?」
耕作「君の意図を?」
柔「うん、その頃には皆は富士子さんを頼りにする様になってるはずだから。」
耕作「凄い自信だね、そこまで成長させるって事だね?」
柔「そうしないといけないと思ってるから。」
柔「合同練習になった時は、あたしは自分のチームを優先しないといけないから。」
柔「西海大の方には関われないと思うのよね。」
耕作「そうなんだ、てっきり西海大の方も見るのかと思ったよ。」
柔「合同でやる場合は一切関わらない様にしようかと思ってる。」
耕作「あくまで君は富士子さんとしか話さないって事?」
柔「うん、富士子さんと雑談してる中で質問に答える程度かな?」
耕作「なるほど、君の影が富士子さんの後ろに見えない様にって事か。」
柔「ちょっと違うかな?」
耕作「どう違うの?」
柔「富士子さんにあたし離れして貰いたいから。」
耕作「あ~、君に依存しない様にって事なんだ。」
柔「最終的には独立して欲しいのよね、それは試合に関してもだけど。」
柔「柔道以外では今の親交は保つけど、柔道に関してはライバル?」
耕作「なるほどね~、そこまで考えてたのか。」
耕作「確かに、一度闘ってるしね。」
柔「あたしとジョディーの関係かな?そうなって欲しいの。」
耕作「あ~、それの方が分かり易いよ、最初からそう言ってくれれば直ぐ分かったのに。」
柔「ごめんね~、話してるうちに思い出したの。」
耕作「忘れてたの?ジョディーが可哀想だよ?」
柔「そうだね、ジョディーに謝らないと。」
耕作「もうカナダだけどね。」
柔「今度の国際大会前にはこっちに来るだろうから、その時にでもかな?」
柔「皆、それまで元気にしてると良いな~。」
耕作「大丈夫じゃない?皆猛者だから。」
柔「猛者と言ってもね~、精神まで猛者じゃ無いからね~。」
柔「ジョディーは別だけど。」
耕作「確かに、鋼のハートを持ってるのってジョディー位か。」
耕作「ふ~、苦労したけど何とか終わった~。」
柔「ごめんね~、制約掛けちゃって、お疲れ様でした。」
柔「コーヒー淹れようか?」
耕作「頂くよ。」
柔はコーヒーを淹れて耕作に渡すとキスをした。
耕作「コーヒーありがとね、でも、今のキスは何?」
柔「あなたに無理させたお詫びだよ~。」
耕作「あ、原稿でって事ね、分かった、ありがとね。」
耕作「そう言えば、確定したら皆に知らせるって言ってたけど、どうやるの?」
耕作「ジョディーは連絡先分かってるけど、他の人は分かって無いよね?」
柔「クリスティーはジョディーが伝えてくれるでしょう?」
耕作「テレシコワとマルソーは?」
柔「あの2人を結婚式に呼んだのはだ~れだ~。」
耕作「あ~、虎滋朗さん、君のお父さんか。」
柔「そうで~す、だから、おとうさんに知らせれば2人には伝わるはずだよ。」
耕作「そうだね、ジョディーと虎滋朗さんに知らせれば良いだけか。」
柔「あなた?君のじゃないよ?」
耕作「あ、俺達のだね。」
柔「うふ、そうだよ~、あなたにとってもおとうさんなのよ~。」
耕作「そう言う所は君の方がしっかりと認識してるよね。」
柔「そうだね~、あなたのお父様とお母様にはお世話になったからね~。」
柔「やっぱり、あれじゃない?」
耕作「あれって?」
柔「あなたって、あたしの家族は全員名前で呼んでるからだと思うよ。」
耕作「確かに、名前で呼んでるね、以前からそうだったのがそのまま続いてる感じかな。」
柔「だから、実感が沸かないんだと思うよ。」
耕作「なるほど、君が言ってる事で納得したよ。」
耕作「あ、そろそろご飯の用意の時間じゃない?」
柔「そうだね、下りてみようか。」
耕作「うん、そうしよう。」
耕作はポットを持ち柔はカップ2つと急須を持つと下に下りた。
下に下りた柔と耕作は台所へ行ってみたが玉緒はまだ来ていなかった。
耕作はポットを食卓の上に置いて座り、柔はカップと急須を洗って直した。
柔「まだ、少し早いのかな?」
耕作「そうかも知れないね。」
玄関から声が聞こえた。
桜「ごめんくださ~い。」
柔「あ、桜お姉ちゃんだ、どうしたんだろう?」
柔「ちょっと行ってくるね、あなたはここに居てね。」
耕作「分かった、行ってらっしゃい。」
柔が玄関へ行くと玉緒が桜の応対していた。
柔「桜お姉ちゃん、こんばんは、どうしたの?」
桜「あ、柔ちゃん、こんばんは。」
桜「家の親父がお返しを持って行けって言うから持って来たんだ。」
玉緒「そんな気を遣わなくても、宜しかったのにね。」
桜「いえ、そう言う訳にはいきませんよ。」
玉緒「ここではお話も余り出来ませんから居間の方へ。」
柔「居間にはおじいちゃんが居るんじゃ?」
玉緒「おとうさんは自室に居ますよ。」
柔「そうなんだ。」
玉緒「さあ、桜さん、どうぞ上がって下さいな。」
桜「いえ、渡したら帰ろうかと思っていたんですけど。」
玉緒「遠慮なさらずにどうぞ、それともまだお勤めが有るんですか?」
桜「それは、もう終わってますので。」
玉緒「それじゃあ、よろしいんじゃありませんか?」
柔「桜お姉ちゃん、どうぞ上がってね~。」
桜「じゃあ、少しだけお邪魔します。」
玉緒と柔は桜を連れて居間へ向かう途中で台所を通った。
耕作「こんばんは、午前中はお世話になりました。」
桜「こんばんは、この時間も居たんだね。」
耕作「はい、そうです。」
柔「あなた?一緒に居間へ行ってて?」
耕作「分かった。」
玉緒「さあ、こちらへ。」
桜は玉緒に促される様に耕作と一緒に居間へ向かった。
柔は台所でポットと急須と湯呑を用意するとそれを持って居間に行った。
柔が居間に着くと玉緒と桜と耕作が座卓を前にして座っていた。
柔はお茶を注ぐと皆に渡して耕作の傍に座った。
玉緒「小学校の時は柔を連れて行ってくれて本当に助かりましたよ。」
桜「親父に言われたからなんですけどね。」
玉緒「それにしても立派になって跡を継いでたんですね。」
桜「両親がどうしてもって言うもんだから仕方なくなんですよ。」
桜「私より柔ちゃんの方が立派になってるじゃありませんか。」
柔「そんな事無いよ?」
桜「何がそんな事無いだよ、何とか言う賞を国から貰ってただろう?」
柔「あ~、あれはおじいちゃんが貰ってたみたい。」
桜「は?何でまた?」
柔「あたしは主人と一緒に空港に行ってたから貰って無いよ?」
桜「駆け落ちでもしたのか?」
玉緒「ふふふ、違いますよ。」
桜「あ、違いましたか。」
柔「主人が飛行機に遅れそうだったので一緒に付いて行って見送りしてきたの。」
桜「そうだったのか、結婚する前の話しなのか?」
柔「うん、そうだよ。」
玉緒「少し席を外しますね。」
桜「あ、はい、どうぞ。」
玉緒は席を外した。
桜「気を遣わせたかな?」
柔「どうなのかな?」
桜「ところで旦那さん、何でまたさっきみたいな状況になってたんだ?」
耕作「あ、それはですね、柔の授賞式を見に行ったまでは良かったんですけど。」
耕作「良く良く時間を見たら飛行機の時間にギリギリだったので柔と一緒に空港へ
向かってしまったんです。」
桜「そのまま一緒に行けば良かったんじゃないか?」
耕作「いや、さすがに付き合ってもいない女性を連れて行くとか出来ませんよ?」
桜「う~ん、話が良く見えんな~。」
柔「桜お姉ちゃん、あたしが順を追って説明するね。」
桜「そうしてくれ、何がどうなってるのか状況が掴めないから。」
柔「あたしと主人が出会ったのは今から7年前なの。」
桜「その時から付き合ってたんじゃなかったのか?」
柔「ううん、その時から空港に行く迄は単なる知り合いって言う関係だったの。」
桜「おい、旦那さん、何で付き合おうとしなかったんだ?」
耕作「いや、出会った当時は柔がまだ高校生だったからさすがに付き合うとか無かったですよ。」
桜「あ、そうか、まだ柔ちゃんは高校生だったのか。」
柔「うん、そうだよ、あたしは高校2年だったの。」
桜「ところで何で知り合う事になったんだ?」
耕作「それは診察の時に話した様に柔が柔道をやってると知って、そこに惚れ込んだんですよ。」
桜「柔ちゃんに惚れたんじゃなかったのか?」
耕作「正確には柔の柔道の素質に惚れ込んだんです。」
桜「あ~、そう言う事か、それで柔ちゃんにも惚れたとか言ってたな。」
耕作「そういう事なんです。」
桜「じゃあ、何で惚れた時に付き合おうとしなかったんだ?」
耕作「柔にはやらないといけない事が有ったので、俺はその邪魔は出来ないと思って
惚れている事も黙っていたんです。」
桜「う~ん、今一良く分からんな。」
桜「柔ちゃんは旦那さんの事は好きだったのか?」
柔「えっとね~、出会ってから何年位経ってたかな?」
柔「確か、3~4年経った頃位に好きなんだって言う自覚はあったよ。」
桜「じゃあ、何で告白しなかったんだ?」
柔「告白して駄目だったらって思うと出来なかったの。」
桜「あ~、そう言う所は小学生の頃から変わって無いんだ。」
柔「小学生の頃に何か有ったの?」
桜「柔ちゃん、好きな人が~って言ってたけど、言えなかったって泣いてたじゃん。」
柔「え?そんな事が有ったんだ。」
桜「覚えて無いのか、まあ、忘れた方が良いわな。」
桜「それで告白したのは何時なんだ?」
柔「さっき空港へ一緒に行ったって言ったでしょう?その時なの。」
桜「それって、もしかして今年じゃ無いのか?」
柔「うん、そうだよ、まだ半年も経ってないかな?」
桜「ちょっと待てよ、って事は付き合って無いが知り合いとして7年一緒に居ただけで
今年告白してつい最近結婚したって事で良いのか?」
柔「うん、その通りだよ。」
桜「2人を繋いでいたのは柔道って言う認識で良いのか?」
柔「うん、そうなの、柔道で繋がってたの。」
桜「それにしては凄く気心が知れた関係に見受けられるんだが?」
柔「あたしがね、主人に会いにアメリカに行って、そこで2週間一緒に暮らしてたの。」
桜「え?柔ちゃんと旦那さんって同棲してたのか?」
耕作「あ、いえ、一緒に居ただけって言うのが正しいです。」
桜「わざわざ、会いに行ったって事は、柔ちゃんはそれなりの覚悟を決めて行ってたんだよな?」
柔「うん、そのつもりで行ったんだけどね。」
桜「旦那さんは何もしなかったのか?」
柔「結婚の許可を貰うまでは何もしないって言ってたの。」
桜「ほ~、中々男気が有るじゃないか、旦那さん。」
柔「それでね、アメリカに居る間、2人で良くお話してお互いの事を理解出来たの。」
桜「あ~、だから、病院でも必ず話し合ってたのか。」
柔「うん、そうするって2人で決めたからね、その通りにしてるの。」
桜「つまり、7年一緒に居た事でお互いを意識してたのを相手に知らせて無くて、空港で
告白した時に初めて2人とも好きだったのが分かったんだ。」
柔「そうだよ~、桜お姉ちゃん、すご~い、その通りなの。」
桜「で、旦那さんはアメリカに行ってしまったけど、柔ちゃんはどうしても会いたくて
渡米して向こうで2週間一緒に暮らしてる間にお互いを良く理解したと。」
柔「うん、そうだよ。」
桜「それでその後はどうなったんだ?」
柔「2週間たってアメリカから戻って来た時に結婚の許可を貰って大急ぎで式の準備をして
8日前位に結婚式を挙げたの。」
桜「ちょっとストップな、戻ってきたのは何時なんだ?」
柔「えっとね~、2週間ちょっと前かな?」
桜「何?戻って来て1週間足らずで、もう結婚式を挙げたのか?早過ぎじゃないか?」
柔「そうしないと、おとうさんが出席出来なかったの。」
桜「おとうさんって行方が分からなくなってた、あの人なのか?」
柔「うん、もうどこにも行かないって、今はフランスに居るけど、そこのお仕事が
終わったら戻って来るんだよ。」
桜「そうなのか~、良かったな~、柔ちゃん。」
柔「ありがとう~、桜お姉ちゃん。」
桜「それにしても、柔ちゃんが帰国してからはえらく慌しかったんだな~。」
柔「でも、主人がちゃんとしてくれたから大丈夫だったよ。」
桜「そうか、良い旦那さんと一緒になって良かったな~。」
柔「そうなの~。」
桜「うん、事情は良く分かった。」
桜「しかし、何でまた急いで子供を作ろうと思ったんだ?」
柔「えっとね、あたしが選手として参加出来るのは次のオリンピックまで位なの。」
柔「でも、次のオリンピックって3年後なの、だから、その前に子供が欲しいって
思って主人ともお話して作ろうってなったんだよ。」
桜「そうか~、3年後だと、その後って事になると柔ちゃん30前だな。」
桜「確かに、それからってなると色々と厳しい面も無い事は無いか。」
柔「でしょう?だから今直ぐってなったんだよ。」
桜「ふ~む、医者として確証も取れてない段階でこう言う事を言っちゃいけないんだが。」
桜「今迄の私の経験からすると柔ちゃんが妊娠してる可能性は非常に高いな。」
柔「ほんと~?桜お姉ちゃん。」
桜「ああ、本当だよ、ただ確認はしないとな。」
柔「そうだね、再来週とそれ以降も桜お姉ちゃんの所に行くから。」
桜「そうしてくれると、こっちとしても嬉しいな。」
桜「柔ちゃんをちゃんと診る事が出来るから。」
桜「おい、旦那さん。」
耕作「はい、何でしょうか?」
桜「今はまだ良いが、1ヶ月後位からは柔ちゃんの事を気を付けてやってくれよ。」
耕作「はい、勿論そのつもりです。」
桜「ところで今はこの家のどこに居るんだ?」
柔「前と同じで2階に居るよ。」
桜「2階か、1ヶ月以降は下に下りた方が良いな。」
柔「あ、その事はおかあさんともお話して一緒に1階の部屋に居る事に決まったよ。」
桜「もう話してたのか、そうした方が良いな、危険性は排除しておかないと。」
玉緒が戻って来た。
桜「じゃあ、そろそろお暇しようかな。」
玉緒「桜さん、お父様には連絡していますから、ここで晩御飯を食べて行って下さいな。」
桜「え?いや、さすがにそれは・・。」
玉緒「大丈夫ですから、お父様の了解も得ていますので。」
桜「親父め~、分かりました、じゃあ、遠慮なくごちそうになります。」
玉緒「そうして下さいな。」
玉緒「用意が整うまで柔の部屋に行ってて下さい。」
桜「分かりました。」
玉緒「柔?桜さんを頼みますよ。」
柔「は~い、分かった~。」
柔「じゃあ、桜お姉ちゃん、上に行こう?」
柔「あなたもね。」
耕作「分かった。」
桜「頼むよ、柔ちゃん。」
柔は桜と耕作を連れて2階へ行く途中に台所に寄ると耕作がポットと急須を持ち
柔がカップ3つを持つと桜と一緒に2階へ上がって行った。