柔と耕作(松田)の新婚日記 17日目 (夜編第1部)
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2階の部屋に入ると耕作はポットと急須を机の上に置いてベッドに座った。
柔は桜を机の椅子に座らせるとお茶を注いでコーヒーを2杯入れ桜と耕作に
渡して耕作に寄り添って座った。
耕作「コーヒー、ありがとね。」
桜「コーヒー、すまないな、柔ちゃん。」
柔「いえいえ、どういたしまして。」
桜「ここに来るのは初めてだな、2人はここに居るのか?」
柔「うん、そうだよ、寝る時はこのベッドで寝てるの。」
桜「そのベッド、狭くないか?」
柔「慣れてるから平気だよ。」
桜「もしかして抱き合って寝てるのか?」
柔「えへへ、そうだよ~。」
桜「何嬉しそうにしてるんだよ~、羨ましいじゃないか~。」
桜「旦那さんは何時もこんなに寡黙なのか?」
柔「そうなの~、2人だけの時は良くお話するんだけどね。」
桜「そうなのか。」
桜「旦那さん?人見知りって訳じゃ無いんだよな?」
耕作「そうです、一応記者やってるから、それは無いですよ。」
桜「ほう、記者って新聞記者か何かか?」
耕作「はい、スポーツ新聞の記者です。」
桜「あ~、それで柔道と繋がるのか。」
耕作「そうなんです、柔とは柔道の取材で殆ど一緒に居ましたから。」
桜「そう言う事なのか、漸く何で2人が結びついたのか理解出来たよ。」
桜「柔ちゃん?」
柔「はい、な~に?桜お姉ちゃん。」
桜「柔道で色々賞を貰ってるはずなのに、何でここにそれが無いんだ?」
柔「あ~、それは全部おじいちゃんの部屋に置いて有るよ。」
桜「何で滋悟朗さんが持ってるんだ?」
柔「何でだろう?自分が貰ったと思ってるのかも?」
桜「いやいや、さすがにそれは無いだろう?」
柔「でも、大半はおじいちゃんが表彰式で貰ってるよ?」
桜「え?何でまたそう言う事になってんだ?」
柔「色んな事情で、あたしが会場から出ちゃってたからなの。」
桜「そうなのか、もしかして、それに旦那さんが関係してるのか?」
柔「全部じゃないけど、ある程度は関わってるかな?」
桜「おい、旦那さん、何をやってたんだ?」
柔「あ~、桜お姉ちゃん、主人は悪くないんだよ、あたしがお願いしたりしたから。」
桜「そうか?それなら良いが。」
桜「ところで結婚式はどうだった?」
桜「家にも招待が来てたみたいなんだが、親父が握り潰してたっぽい。」
柔「そうなんだ、何でなんだろう?」
桜「その頃は丁度病院が慌しかったからじゃないかな。」
柔「それなら仕方ないよね。」
桜「それに柔ちゃんは今日会うまで、私の事を忘れてたみたいだしな~。」
柔「あ~、ごめんね~、ほんとに忘れてしまってたの~。」
桜「まあ、良いよ、ああして来てくれて思い出してくれたんだから。」
柔「ほんとにごめんね~。」
桜「もう良いよ、謝る事でも無いんだし。」
桜「ところで2人は初めてだったんだろう?」
柔「何が?」
桜「こら、恍けるな、初夜の事だよ。」
柔「あ~、その事ね~、あなた?言っても良い?」
耕作「ああ、良いよ。」
桜「本当に何でも相談するんだな。」
柔「そうなの~、それでね、確かに初めてだったけど、結婚式の前に済ませちゃってたの。」
桜「何?本当なのか?」
柔「うん、帰ってきて結婚の許可を貰った翌日だったかな?」
桜「そうだったのか、良く家族が許したな?」
柔「おじいちゃんが良いって言ってくれたの、おかあさんもおとうさんもだけど。」
桜「ちょっと待て、家族全員が勧めたって事なのか?」
柔「うん、そうだよ。」
桜「まあ、何と言うか、大らかと言うか・・。」
桜「それで初めては上手く出来たのか?」
柔「え~、そんな事も聞くの~?」
桜「あ~、話したく無かったら別に良いよ。」
柔「ううん、良いよ、主人が上手くリードしてくれたから出来たの。」
桜「ほ~、旦那さんは経験が有ったって事なのか。」
柔「違うよ、主人も初めてだったって。」
桜「良くそれで上手く行ったもんだな。」
柔「それはね~、事前にお風呂に一緒に入って確認してたの、お互いの体を。」
桜「そんな事をしてたのか、確かにそうしてた方が良いな。」
桜「なるほどな~、今お腹の中に居るであろう柔ちゃんと旦那さんの分身は
その時に仕込まれた可能性が高いな。」
柔「そうなの?」
桜「柔ちゃんから周期を聞いての判断なんだけど、間違いなくその辺りだと思うよ。」
柔「そうなんだね~、何だか嬉しくなってきちゃった。」
桜「喜んでばかりもいられないよ?」
桜「脅すつもりじゃないけど、出産って相当にエネルギーを使うからね。」
桜「そう言う事だから、旦那さん、しっかりと柔ちゃんを支えてあげなよ。」
耕作「はい、そのつもりです、覚悟も出来てるつもりです。」
桜「良い返事だね~、本当に柔ちゃんは良い旦那さんと一緒になれて幸せ者だよ。」
柔「ありがとう~、桜お姉ちゃん。」
桜「ところでまだ柔道はやってるのか?」
柔「えっとね、今日からなんだけど受け身の練習を止めたのと人を相手にして無いのと
トレーニングでは上下動の激しいのは止めてるよ。」
桜「ふむ、柔ちゃん、中々勉強してるみたいだな。」
桜「今はそれで良いと思うよ。」
柔「今やってるのも駄目になるのって何時位からなの?」
桜「どうだろうな~、人にもよるが柔ちゃんが初産って事を考えると、さっきも言ったが
1ヶ月過ぎた辺りからは止めた方が良いな。」
柔「そうなんだね。」
柔「逆にやっても良い運動ってどう言うのが有るの?」
桜「そうだな、ウォーキングはやった方が良いな。」
桜「後は上半身を鍛えるのと、ゆっくりしたスクワット位なら良いと思うよ。」
柔「そうなんだね、分かった、それをやる様にするよ。」
桜「通院始めたら、その時に分からない事は聞いてくれ。」
柔「うん、そうするね。」
柔「桜お姉ちゃん?こんな事聞いても怒らないでね?」
桜「何だい?」
柔「桜お姉ちゃんは誰か付き合ってる人とか居るの?」
桜「何だ~、結婚してる余裕か?」
柔「あ~、ごめんね、そう言うつもりじゃないんだけど。」
桜「分かってるって、今は居ないよ。」
柔「以前は居たんだ。」
桜「ああ、居たけどな、振られちまったよ。」
柔「何で~、桜お姉ちゃん、きれいで優しい人なのに、何で振るんだろう?」
桜「ほら、私ってこんな口の利き方だろう?」
桜「それが嫌だったみたいなんだ。」
柔「どうして、そう言う表面的な事しか見ないんだろう?」
柔「桜お姉ちゃん、凄く優しいのに。」
桜「まあ、仕方が無いさ、そう言う人も居るって事だよ。」
桜「私も縁が無かったと思ってスッパリ諦めたから気にもして無いよ。」
柔「その時にお父様は何て仰ってたの?」
桜「親父か?親父は喜んでたな。」
柔「どうしてなの?」
桜「娘を嫁に出したくない男親は結構居るぞ?」
柔「そうなの?」
桜「柔ちゃんのご両親は良く出来てるから、旦那さんと一緒になるのを認めたんだろうな。」
柔「そんな事は無いと思うけど。」
柔「桜お姉ちゃんは結婚する気は有るんでしょう?」
桜「そうだな~、最近まではそんな気も薄れてたけど。」
桜「柔ちゃんを見てると結婚しても良いのかもって思ったよ。」
桜「ただな~、家は私しか居ないので入り婿になるからな~。」
柔「あたしも一人娘だったけど嫁いだよ?」
桜「あ~、それそれ、良く滋悟朗さんが許したなって親父も言ってたよ。」
柔「えっとね、あたし達に子供が2人以上出来たら1人を養子にって事で納得して貰ったの。」
桜「そうだったのか、それなら滋悟朗さんも首は横に触れないな~。」
柔「桜お姉ちゃんの旦那様になる人ってお医者さんじゃないと駄目なの?」
桜「そんな事は無いさ、医者の嫁とか旦那が医者じゃないといけない決まりとか無いし。」
柔「そうだよね~。」
柔「早く良い人が見つかると良いね。」
桜「あ~、今は無理だと思うよ。」
柔「どうしてなの?」
桜「あの病院がそこそこ忙しいからな。」
柔「そうなんだ、でも、今日はあたししか居なかったよ?」
桜「当たり前だろう?あんな早い時間に来る人なんか殆ど居ないよ。」
柔「あ、早過ぎたら駄目なの?」
桜「いや、駄目って事は無いけどな。」
桜「普通は家事とかを終わらせて来るから、もっと遅い時間にしか来ないよ。」
柔「あ~、確かに、1人で食事の後片付けとかお洗濯、お掃除してたら遅くなるよね。」
桜「そう言う事だな。」
柔「ね~、桜お姉ちゃん?もし彼氏さんか婚約者さんが出来たら会わせてくれないかな?」
桜「何で、柔ちゃんに会わせないといけないんだ?」
柔「何でって言われても、もしその人と結婚するならお知合いになっておきたいかなって。」
桜「そうか、まあ、同じ町内でも有るし、柔ちゃんとは知らない仲じゃ無いから良いよ。」
桜「そう言う人が出来たらここに連れてくるから、それで良いんだろう?」
柔「ありがとう、桜お姉ちゃん、無理言ってごめんね。」
桜「柔ちゃんの旦那さんにも会わせて貰ってるから、謝る必要なんか無いさ。」
桜「ところで、旦那さんにちょっと聞きたいんだが。」
耕作「はい、何でしょう?」
桜「柔ちゃんと四六時中一緒に居る印象だけど、仕事してるのか?」
耕作「それはですね、柔の密着取材を命じられまして、柔が休暇中は一緒に行動して良いと言う
許可を貰っているので常に一緒に居る状態なんですよ。」
桜「何だ?そう言う事も新聞社では有るのか?」
耕作「いえ、特例中の特例だと思います、普通なら有り得ませんから。」
桜「そうだろうな、で、その期間は何時までなんだ?」
耕作「今週末までで、来週からは柔も会社に復帰しますから。」
耕作「それ以降は柔道の練習のみの取材に変ると思います。」
桜「そうなのか、柔ちゃん、寂しくなるんじゃないか?」
柔「正直に言うと、ちょっと寂しいかなって思ってるよ。」
柔「でも、午後からの柔道の練習の時は来てくれるから、それだけでも十分と思ってるの。」
桜「柔ちゃんは昔から正直だからな~、やっぱり少しは寂しいか。」
桜「柔ちゃんさ、アメリカに2週間行ってた時って会社を休んだんだろう?」
柔「うん、そうだよ。」
桜「帰って来てからも休んでたのか?」
桜「さっき、旦那さんが復帰とか言ってたから気になったんだが。」
柔「帰ってきて会社に呼び出される形で行ったら新婚旅行を含めて3週間休みを貰えたの。」
桜「何~、えらく気前の良い会社だな?」
桜「普通、1か月以上も休みをくれる会社なんて早々無いぞ?」
耕作「あ、それはですね、柔の入った会社が柔の柔道の実績を考慮に入れて
入社させてくれた様な物なんですよ。」
桜「宣伝効果を狙ったって事なのか?」
耕作「下世話な言い方をすれば、そう言う事になりますね。」
耕作「そう言う事も有って、今回、俺達が結婚すると言う事が全世界規模で
中継されたので、その宣伝効果を加味して貰った結果として3週間の
休みが貰えたんじゃないかと。」
桜「何と、全世界に放送されたのか?柔ちゃんが?」
柔「そうなの、桜お姉ちゃんは見てなかったみたいだけど。」
桜「ごめんよ、柔ちゃん、私って余りテレビは見ないんだよ。」
桜「でも、実際に世界規模で宣伝すると、柔ちゃんが休んだ諸経費より遥かに高く付くわな。」
耕作「さっきも言った様に、そう言う事を考慮に入れて貰ったんだと思ってます。」
桜「さっき、新婚旅行も含めて3週間って言ってたが、新婚旅行は行ったのか?」
柔「うん、行ってきて、昨日帰ってきたばかりだよ。」
桜「そうなのか。」
桜「それで、どこに行ったんだ?ハワイか?アメリカ西海岸か?それともヨーロッパか?」
柔「ううん、全然違うよ?主人のご実家の民宿に行ってきたの。」
桜「は?何でまたそんな所に、あ、失礼、旦那さん、気を悪くしないでくれよ。」
耕作「いえ、気にしてませんよ。」
柔「えっとね、主人のご両親に会いたいのと少しでもお役に立ちたかったからなの。」
桜「新婚旅行だろう?」
柔「そうなんだけどね、主人とお話して、それで良いって事になったから。」
柔「でも、行って良かったって思ってるの。」
桜「まあ、柔ちゃんがそう思ってるなら、私がどうこう言う事じゃ無いけど。」
柔「それにあたしの会社で主人のご実家に行くツアーをやってるから、それに貢献しよう
って言うのも有ったの。」
桜「何でまたそんなツアーをやってるんだ?」
桜「って言うか、柔ちゃんって旅行会社に勤務してるのか?」
柔「うん、そうだよ、それであたし達の結婚記念ツアーとしてやってるの。」
桜「そう言うのが有るのか、ところで旦那さんの実家ってどこに有るんだ?」
柔「秋田だよ、郷土料理が美味しかったよ~、あたしも作り方習ってきたの~。」
桜「秋田か、今の季節は良いよな~、ツアーで料理とか習えるのか?」
柔「あたし達が行った時はまだだったけど、今はそう言うのも出来る様になってるみたい。」
桜「ふむ、それは中々良い試みだな。」
桜「私も行ってみるかな?」
柔「桜お姉ちゃんはお休みとか取れるの?それに忙しいとか言ってたけど。」
桜「ああ、家は親父と交代でやってる様なもんだから。」
桜「忙しいと言ったが、そこそこだからな、割と融通は利くよ。」
柔「あれ?おかあさんは代替わりって言ってたけど。」
桜「それは、私の方が診る日数が多いから勘違いしたんじゃないか?」
柔「そうなんだ、おかあさんに間違ってたよって言っておくね。」
桜「ちなみにそのツアーって何時までやってるんだ?」
柔「何時までかは分からないけど、そろそろ終わるかも。」
桜「そうなのか、1人でも申し込めるのかな?」
柔「多分、大丈夫と思うよ。」
桜「明日にでも確認してみるか。」
柔「桜お姉ちゃん、御利用よろしくお願いします。」
桜「こら、ここで営業してどうする。」
柔「えへへ、一応、窓口担当もしてたから、つい癖で。」
桜「柔ちゃん、窓口担当してたのか、その姿を見てみたいな。」
柔「あ、でも復帰したら暫くは窓口には出て無いかも。」
桜「そうか、それは残念だな。」
耕作「もし行かれるなら飛行機の方が余裕持てますから。」
耕作「それと現地ではレンタカーを借りた方が移動に便利ですよ。」
桜「旦那さんまで営業してどうするよ。」
耕作「あ、すみません、行くならって言う事で聞き流して下さい。」
桜「本当に生真面目だね~、でも、その情報は助かるよ。」
桜「私も休めると言っても、そう長くは休めないから行くなら飛行機を使う事にするよ。」
柔「もし行ったら久保田城って言うお城が良いって向こうの方が言ってたよ。」
桜「ほう、そう言うお城が有るのか是非行ってみたいな。」
柔「桜お姉ちゃんはお城とか興味有るの?」
桜「ああ、良いぞ~、お城巡りとか最高だよ。」
柔「そうなんだね、きっと気に入ると思うよ。」
桜「何か、既に行く事が決定されてる感じだな。」
柔「あ、そう言う意味じゃ無いから、行くならって事だよ。」
桜「いや、是非、行ってみたいから、明日、柔ちゃんの会社に問い合わせてみるよ。」
桜「ちなみに柔ちゃんの会社は何て言うんだ?」
柔「鶴亀トラベル神保町支店って所に勤務してるの。」
柔「そこの羽衣課長さんが担当だから、あたしの名前を出せば優遇してくれるかも。」
桜「そうか、良し、決めた、今週行ってくるから頼んでみるかな。」
柔「え~、もう決めちゃったの?」
桜「即断即決が私の信条なんでな。」
桜「それに来週以降は柔ちゃんも通院を始めるだろう?その前に行かないと。」
柔「あ、そうだったね、気を付けて行ってきてね。」
耕作「俺も両親に話しておきますよ。」
桜「あ~、そうだった、旦那さんのご両親がやってらっしゃるんだったな。」
桜「出来れば料理は色んな物を習いたいって話しておいてくれないか?」
耕作「構いませんよ。」
柔「桜お姉ちゃんって、料理は得意なの?」
桜「柔ちゃん、良く聞いてくれた、料理はな~、不得意な方なんだよ。」
柔「そうなんだね、でも、安心してね。」
柔「主人のお母様の教え方は分かり易いから覚え易いと思うよ。」
桜「そうか、それは助かるな~。」
柔「向こうで素敵な出会いとか有ると良いね。」
桜「いや、さすがにそれは無いだろう?」
柔「分からないよ~?あたしの友達の友人は向こうで、そう言う方を見つけたんだよ。」
桜「へ~、そう言う事も有るんだな。」
桜「まあ、それは二の次だな、まずは料理を習う事が一番だから。」
柔「うふふ、頑張ってね、桜お姉ちゃん。」
玉緒「あなた達~、用意出来たから下りてらっしゃ~い。」
柔「あ、は~い、直ぐ下りるから~。」
柔「桜お姉ちゃん、用意が出来たみたいだから下りようか。」
桜「そうだな。」
柔「あなたも行こう?」
耕作「分かった、ポットとかどうする?」
柔「そのままで良いよ。」
耕作「分かった。」
柔達3人は下に下りて行った。
下に下りた柔達は台所へ行くと玉緒が食事の用意を済ませていた。
柔「あ~、お手伝いしたのに~。」
玉緒「桜さんを1人にする訳にも行かないでしょう?」
柔「あ、そうか、じゃあ、持って行くのは手伝うね。」
玉緒「お願いね。」
柔「あなたも良いでしょう?」
耕作「勿論だよ。」
桜「私も手伝いますよ。」
玉緒「お客様にそんな事はさせられないわ。」
桜「良いですよ、お客様って程でも無いんだし。」
玉緒「そうですか?それじゃあ、すみませんけど。」
4人は料理他を手分けして持つと居間へ向かった。
居間では滋悟朗が何時もの様にテレビを見ていた。
滋悟朗「おお、出来たか。」
滋悟朗「うん?桜ちゃんぢゃないか、久しぶりぢゃの~。」
桜「御無沙汰してます、お久しぶりです。」
滋悟朗「親父殿は元気にしとるか?」
桜「はい、相変わらず元気にしてますよ。」
滋悟朗「そうか、それは何よりぢゃの~。」
滋悟朗「まあ、座りなさい。」
桜「はい、そうさせて貰います。」
柔達4人は持って来た料理他を座卓の上に並べると銘々の場所に座った。
滋悟朗「桜ちゃんはここで食事するのは初めてぢゃったな?」
桜「そうですね、上がらせて頂いたのも初めてです。」
滋悟朗「そうぢゃったかの~。」
柔「おじいちゃん?お料理が冷めちゃうよ?」
滋悟朗「分かっとるわ、それぢゃあ、頂くとするかのう。」
全員「いただきます。」
桜「遅くなりましたけど、滋悟朗さん、柔ちゃんの結婚おめでとうございます。」
滋悟朗「すまんな、まさか、こんなに早く嫁に行ってしまうとは思うとらんかったわ。」
桜「良い旦那さんに嫁いで良かったんじゃないですか?」
滋悟朗「そうぢゃの~、松ちゃんは柔の事を良く知っておったからのう。」
滋悟朗「そうぢゃ、桜ちゃんや、柔の事、よろしくお願いするぞい。」
桜「はい、お任せ下さい。」
滋悟朗「桜ちゃんはもう結婚しとるのか?」
玉緒「おとうさん?そう言う事を聞くのは失礼ですよ?」
滋悟朗「あ~、そうぢゃったな、すまん、忘れてくれ。」
桜「構いませんよ、私はまだ結婚はしてませんから。」
滋悟朗「そうぢゃったか、すまん事を聞いてしもうたの~。」
桜「気にしないで下さい、私も聞かれるのは親父で慣れてますから。」
柔「あれ?桜お姉ちゃん?さっき、お父様の事は違う事を言ってなかった?」
桜「柔ちゃん、親とはそういう物なんだよ。」
桜「表面上は駄目になって喜んでても、内心は結婚して欲しいって思ってるんだよ。」
柔「ふ~ん、複雑なんだね~。」
玉緒「桜さんは親御さんのお気持ちを分かってらっしゃるのね。」
桜「今言った事は母親から聞いたんです。」
玉緒「桜さんは器量良しだから直ぐに見つかりますよ。」
桜「いや、そんな事は無いと思いますけど。」
柔「大丈夫、必ず見つかると思うよ、だって、桜お姉ちゃんなんだから。」
桜「おいおい、その確信に満ちた言葉はどこから出てくるんだ?」
柔「あたしがそう思ってるから大丈夫なの~。」
桜「あはは、そう言う所は小学生の時から変わって無いんだな。」
玉緒「おとうさん、耕作さん、桜さん、お替りは如何ですか?」
滋悟朗「お願いしようかの~。」
耕作「お願いします。」
桜「私は結構ですから。」
玉緒「分かりました、柔も手伝ってね。」
柔「は~い。」
玉緒は滋悟朗と耕作の茶碗を受け取ってお替りをよそうと柔に渡し、
柔はそれを滋悟朗と耕作に渡した。
滋悟朗「すまんの~。」
耕作「ありがとね。」
桜「柔ちゃんはちゃんと手伝いしてるんだな。」
柔「うん、出来る事はね~。」
桜「今のうちにやっておくと良いよ。」
柔「あ、そうだね。」
滋悟朗「何故今のうちなんぢゃ?桜ちゃんや。」
桜「あ、先々で子供が出来たら手伝い出来なくなるかな~って思っただけですよ。」
滋悟朗「ああ、そう言う意味なんぢゃな、もう出来とるのかと思うたわい。」
桜「ふふふ、まだ、確認もして無いのにそれは無いですよ。」
滋悟朗「それもそうぢゃな。」
滋悟朗「それで何時確認出来るんぢゃ?」
桜「そうですね~、4~6週間後ですかね~、ハッキリするのは。」
滋悟朗「そうであったか、まあ、気長に待つとするかのう。」
桜「それが良いですよ、余りせっつくと出来る物も出来なくなりますからね。」
滋悟朗「ああ、それは柔もそう言うておったな~。」
桜「柔ちゃんも言ってたんだ。」
柔「うん、実際そう言うのって多いんでしょう?」
桜「そうだな~、精神的に追い詰めると駄目な例は結構有るかもな。」
桜「そう言う研究をしてる人は居ないけど、親父の経験だと多いみたいだよ。」
柔「そうなんだね~。」
滋悟朗「もう食事はええかな。」
玉緒「よろしいのですか?」
滋悟朗「ああ、風呂に入って来るぞ。」
玉緒「分かりました。」
滋悟朗「ごちそうさんぢゃった。」
滋悟朗は先に席を立つと風呂に入りに行った。