柔と耕作(松田)の新婚日記 21日目 (午後編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を5分割で表記しています。
実家の前でタクシーを降りた2人は木戸を潜り玄関から中へ入った。
柔「ただいま~、戻ったよ~。」
耕作「ただいま戻りました~。」
奥から玉緒が返事してきた。
玉緒「2人ともお帰りなさい。」
玉緒「上で休んでなさ~い。」
柔「は~い、そうするね~。」
柔と耕作は玄関を上がって台所へ行きポットにお湯を入れてカップと急須を持つと
2階へ上がって行った。
2階の部屋に入ると耕作はポットを机に上に置きベッドに座った。
柔はお茶を注ぎコーヒーを淹れて耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「お疲れ様~。」
耕作「君こそお疲れだったね。」
柔「あなた~?」
耕作「これだろう?」
耕作は先ほど焼き付けした写真を柔に渡した。
柔は渡された写真を見るなり声を上げた。
柔「え~、あたしって、あの時はこんな顔をしてるんだ~、恥ずかしいな~。」
耕作「恥ずかしがる事は無いと思うよ、俺にとっては凄く魅力的な顔なんだから。」
柔「あなたがそう言うなら良いかな?喜んでくれてる訳だし。」
柔「しかし、ほんとにあなたやキョンキョン達が言ってた様に何を望んでるかが
直ぐに分かる様な表情をしてたのね~。」
耕作「だろう?誰に見せても君が何を望んでるか直ぐ分かると思うよ。」
柔「これ、あなたに渡しておくね、例のスクラップ・ブックに入れてて良いよ。」
耕作「ほんとに俺が持ってても良いの?」
柔「あたしが持ってるよりあなたが持ってる方が良いと思うよ。」
耕作「分かった、ちゃんと保管しておくから。」
柔は耕作に写真を渡した。
耕作は写真を受け取ると立ち上がって何時の間に置いたのか机の上に並べて置いてある
スクラップ・ブックを1冊取り出して、その間に挟み元の場所に戻すと柔の傍に座った。
柔「何時の間にそこに置いてたの?全然気が付かなかったよ~。」
耕作「旅行に出掛ける前に全部出して並べておいたんだ。」
柔「一言言ってくれても良かったんじゃな~い?」
耕作「いや、君も気が付いてると思ってたんだ。」
柔「最近は余り机に向かって座った事が無いからな~。」
耕作「そう言われれば、戻ってきて一緒に住む様になってからは俺が座る事が多かったね。」
柔「うふ、そうだね~、あなたの原稿を書く時の専用になってるもんね。」
柔「不思議な感じね。」
耕作「何が?」
柔「あたしが学生の頃に使ってた机を今はあなたが使ってるって言う事がなんだけど。」
耕作「それは君が学生の頃は俺とこうなるって分かって無かったんだから当然じゃないかな。」
柔「それはそうなんだけど、何だか不思議な感じがするの。」
柔「あなたがあたしと一緒になる事が決まってて、あなたがその机で原稿を書く為に
置いて有ったって気がしてるのよね~。」
耕作「ここに有る殆どの物が君と俺が一緒になる為に置いて有ったって事?」
柔「うん、そんな気がしてるの。」
耕作「なるほど、そう思うのなら確かに不思議な感じに思っても可笑しくはないね。」
柔「でしょう?あなたが言ってた必然って言うの?そうなんじゃないかって思えてきた。」
耕作「全ての事が必然か~、確かにそう考えるとそうなのかもって思えるよね。」
柔「あ~、あたしって幸せなんだろうな~、あなたと一緒になって。」
耕作「幸せにするよ、何時でもそう思える様に。」
柔「うふ、ありがとう~、でも、こうしてる時点で既に幸せなんだけどね。」
耕作「一緒に居るって事で?」
柔「そうなの~、あなたが隣に居るって言うだけでね~。」
耕作「それは俺も同じかな、君がこうして寄り添って座ってる時点で。」
柔は耕作をじっと見詰めて静かに目を瞑った。
耕作はそれに応える様に片手を頬に添えると長めのキスをした。
柔「はぁ~、素敵なキスありがとう~、幸せ気分がアップしたよ~。」
耕作「俺も同じ気持ちだよ、素敵な表情ありがとね。」
柔「さて、この気持ちのままお昼を作りに行こうかな~。」
耕作「もうそんな時間か。」
柔「朝ゆっくりしてたからね。」
耕作「じゃあ、下に下りようか。」
柔「そうだね~。」
柔「ポットとかはこのままでも良いよね。」
耕作「良いと思うよ。」
柔「分かった、じゃあ、行きましょう~。」
柔は立ち上がると耕作の手を引いて立ち上がらせて一緒に下に下りて行った。
下に下りた2人は台所へ向かった。
台所に着くと耕作はテーブルを前にして座り、柔はお茶を2杯注ぐと片方を耕作に
渡しながら隣に座った。
耕作「ありがとね、まだ始めないんだね。」
柔「お昼はおかあさんが決めた物を一緒に作ろうと思ってるからね~。」
耕作「そういう事か。」
耕作「まあ、朝は君が作った訳だから、それで良いのか。」
柔「そうなの~、お昼はおかあさんに任せようかと。」
柔「決してお料理を考えるのが面倒だからとかじゃないからね?」
耕作「分かってるよ、君は材料を見ただけで何を作るか決められるんだから。」
柔「うふ、覚えてくれてたのね~。」
そこへ玉緒がやって来た。
玉緒「あら、もう下りてきてたのね。」
柔「おかあさん?お昼は任せるから。」
玉緒「そうなの?分かったわ。」
柔「お手伝いはするよ。」
柔は立ち上がると玉緒の傍に行き料理について話し始めて用意に取り掛かった。
玉緒は柔に指示しながら自分でも作り始めると柔も指示された物を作り始めた。
柔は時折玉緒に話し掛けながら調理を進めていたが、それを作り終えると次に
作る物を玉緒に聞き指示された物を作り始めた。
そこへ滋悟朗がやって来た。
滋悟朗「もう出来上がりそうぢゃな、ここで待つとするかの。」
玉緒「そうして下さい、ここで食べる様にしますから。」
滋悟朗が耕作の向かいに座ると柔が調理の手を止めてお茶を注ぎ滋悟朗に渡した。
柔「これを飲んで待ってて、もう出来上がるからね。」
滋悟朗「すまんのう。」
柔は再び先ほどの調理の続きを始めて暫くすると調理を終えた。
玉緒「出来ましたよ。」
柔「あなた?食器をお願いしても良いかな?」
耕作「構わないよ、どれを出せば良いの?」
柔「大き目の平皿と茶碗とお椀かな?」
耕作「分かった。」
耕作は柔に言われた食器を順番に出して柔に渡すと、柔は玉緒と手分けして渡された食器に
料理を載せてご飯と吸い物を入れてテーブルに並べていった。
玉緒「お待たせしました。」
滋悟朗「おお、出来たか、いただくとするかの。」
4人「いただきます。」
滋悟朗「柔よ。」
柔「な~に~、おじいちゃん。」
滋悟朗「来週から、よろしく頼んでおくぞい。」
柔「会社の柔道部の事なら任せておいて、心配いらないから。」
滋悟朗「心配なんぞしとらんぞ、お前の思う様に指導すれば良いからの。」
柔「分かったよ、あたしの教え方で指導するね。」
滋悟朗「松ちゃんよ。」
耕作「はい、何ですか?」
滋悟朗「お主も練習には行くんぢゃろう?」
耕作「勿論、そのつもりですよ。」
滋悟朗「記事にするんぢゃな?」
耕作「それが俺の務めだと思ってますから。」
滋悟朗「柔の事、よろしく頼んだぞ。」
耕作「はい、お任せ下さい。」
柔「あなた?よろしくね~。」
耕作「分かってるよ。」
玉緒「おとうさん?例の柔達の部屋の件ですけど。」
滋悟朗「どうなったんぢゃ?」
玉緒「来週早々にも取り掛かってくれるそうですよ。」
滋悟朗「おお、そうか、早目に出来上がりそうぢゃな。」
柔「来週からなんだ~、どの位で出来上がるんだろう。」
耕作「来週にでも確認すれば良いんじゃない?」
柔「それもそうだね、そうするよ。」
滋悟朗「これ位にしておくか、最後の練習に行く用意でもするかの。」
玉緒「分かりました。」
4人「ごちそうさまでした。」
滋悟朗は自分の部屋へ戻って行った。
柔「お粗末様でした。」
柔「後片付けするね。」
玉緒「お願いね。」
柔「は~い。」
玉緒も自室に戻って行った。
柔と耕作は一緒に食器を流しへと運ぶと耕作は椅子に座った。
柔はお茶を耕作の湯飲みに注いだ。
柔「直ぐ終わるから待っててね。」
耕作「ありがとね、ゆっくりで良いから。」
柔「うん、それでも直ぐ終わるけどね。」
柔は鼻歌交じりに片付けを始めた。
柔「部屋も早目に出来そうで良かったね。」
耕作「そうだね、部屋が出来たら上の荷物を下ろさないといけないな。」
柔「それが有ったわね、どうするの?」
耕作「鴨田に頼んで俺と2人で下ろすから心配しなくて良いよ。」
柔「鴨田さんにはお世話になってばかりだね、何かお返ししないと。」
耕作「それについては、俺が何か考えるよ。」
柔「出来れば、あたしも一緒にお返ししたいな~。」
耕作「分かった、そう出来る様に考えるから。」
柔「終わったよ~、上に上がろう~。」
耕作「お疲れ様、そうするか。」
耕作は湯飲みを柔に渡し、柔はそれを洗うと所定の場所に直し耕作と一緒に上に上がった。
2階の部屋に入ると耕作はベッドに座り、柔はお茶を注ぎコーヒーを淹れて
耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「ここが空いたらジョディー達が来ても泊める部屋が出来るよ。」
耕作「確かに、ここと居間に泊める事が出来るね。」
柔「国際大会前に出来上がるかな?」
耕作「滋悟朗さんの話だと余裕で間に合いそうだよ。」
柔「それなら良かった~、ジョディー達にゆっくりして貰えるね~。」
耕作「そうだね、まあ、ジョディーとクリスティーは下に寝て貰う事になるだろうけど。」
柔「あ~、そういう事を言うんだ~。」
耕作「君もそう思ってたんじゃない?」
柔「やっぱり分かっちゃった?でも、ジョディーが大きいからとかじゃないからね。」
耕作「それは俺も同じだよ、ジョディーは下の方が落ち着くだろうと思ったからだけど?」
柔「あたしも同じ事を思ってたよ。」
耕作「相変わらずの一心同体ぶりだね。」
柔「うふふ、そうだね~。」
耕作「今日は昼寝をしておいた方が良いかも。」
柔「どうしてなの?」
耕作「また、最近、昼寝してないでしょう?」
耕作「この前みたいな事にならない為でも有るんだけど。」
柔「そうだね、あなたの言う通りにするよ。」
柔「折角の夜なのにあたしが倒れちゃったら台無しだから。」
耕作「夜の事を心配するんだね。」
柔「だって~、今夜はあれだから~。」
耕作「良し良し、具体的に言わないのは良い事だよ。」
柔「えへへ、褒められちゃった~。」
柔「あなたが言ってくれたからね~、あたしは乙女だからって。」
耕作「じゃあ、寝る寝ないは別にして横になろうか。」
柔「あなたも一緒にだよね?」
耕作「勿論さ。」
柔は立ち上がって耕作からカップを受け取ると机に上に置きベッドに横になった。
耕作も柔に寄り添う様にして横になると柔が抱き付いてきた。
柔「うふふ、こうやって一緒に横になるのも久し振りかも。」
耕作「お昼はって事だよね?」
柔「そうだよ~、朝は今朝も一緒に寝てたし。」
耕作は柔の頭を撫で始めた。
柔「うふ、寝るまでそうやっててね~。」
耕作「そのつもりだよ、さあ、目を瞑って。」
柔「うん、そうするね。」
柔は目を瞑ると頭を撫でられて気持ち良さそうにしていたが何時の間にか寝入ってしまった。
耕作「やっぱり眠かったのか。」
耕作「ゆっくりおやすみ。」
耕作「俺も久し振りに少し寝るかな。」
耕作も目を瞑って柔の息遣いを感じているうちに眠ってしまった。
耕作は柔が体を動かした所為で目が覚めた。
耕作「(寝過ごしてはいないみたいだけど、今何時だ?)」
耕作は机の上の時計を確認した。
耕作「(まだ13時半か、余裕は有るな。)」
耕作「(柔を起こさない様にしないと。)」
耕作「(そうか、柔、帰ってから着替えて無かったのか。)」
耕作「(さすがに、この服装では大学に行けないから着替えさせないと。)」
耕作「(とりあえず、何も言わずにおくか、自分で気が付くか見てみよう。)」
耕作「(待てよ?西海大って男子の柔道部は無いのかな?)」
耕作「(女子しか見た事なかったな。)」
耕作「(柔が試合した時も女子部員しか居なかったし。)」
耕作「(柔道部が女子しかないなら、このままの服装でも構わないか。)」
柔「な~にを考え事してるのかな~?」
耕作「あ、起きたんだね、おはよう。」
柔「うん、今、起きたとこだよ、おはよう~。」
柔「何を考え事してたの?」
耕作「何だと思う?」
柔「今夜の事~。」
耕作「残念でした、違うよ。」
柔「う~ん、もしかして、あたしの服装の事?」
耕作「凄いね、当たりだよ。」
柔「あたしの服装のどんな事を考えてたの?」
耕作「そのまま西海大に行っても大丈夫なのかって考えてた。」
柔「大丈夫じゃない?あそこって女子しか居ないから。」
耕作「あっ、やっぱり、柔道部は女子しかないのか。」
柔「今迄何度も行ったけど、男子なんて一人も居なかったでしょう?」
耕作「うん、君の試合の時も女子部員しか居なかったね。」
柔「あそこに男子柔道部は無いみたいだよ。」
耕作「そうだったのか、それならそのまま行っても問題はないか。」
柔「男子が居たら問題だもんね、この服装だと。」
耕作「ふふ、ちゃんと分ってるんだ。」
柔「それはそうよ、さすがにこの服装では男子学生の前には出られないよ。」
耕作「じゃあ、着替えなくても大丈夫だね。」
柔「そうね、でも、あなたが着替えさせたいと思ってるなら着替えても良いよ?」
耕作「いや、そのままで良いと思うよ。」
柔「な~んだ~、折角、あなたに着替えさせて貰おうかと思ってたのに~。」
耕作「いや、さすがに、これから学校に行くのに君の艶めかしい姿を見たら
気になってちゃんとした取材が出来なくなるから。」
柔「うふ、嬉しいな~、あたしの事を気にしてくれてるのね~。」
耕作「それはそうだよ、何時でも君の事を想ってるんだから。」
柔「あたしも何時でもあなたの事を想ってるも~ん。」
耕作「以前から柔道してた時もそうだったみたいだしね。」
柔「うふふ、そうだよ~、あなたの事を想うと集中出来てたからね~。」
柔「でも、一番集中出来たのは、あなたの姿を見る事が出来た時かな~。」
耕作「それに関しては十分に分かってるつもりだよ。」
耕作「これから先はずっと一緒だから、その辺りの心配はしなくて済むから。」
柔「そうなのよね~、だからこの前みたいな試合が出来たんだと思うの。」
耕作「1年後は体力と筋力を元に戻す事が第一になってくるけど。」
耕作「気力に関しては心配してないよ。」
柔「あなたが一緒に居てくれるからね~、そこは全然不安は無いよ。」
耕作「そろそろ出掛ける用意をしようか。」
柔「うん、そうするね。」
柔は抱擁を解くと起き上がりベッドから下りて持って行く物を用意した。
柔「じゃあ、下に下りて外で待ってようか。」
耕作「そうだね。」
耕作は起き上がるとポットを持ち、柔はカップ2つと急須とバッグを持って一緒に下へ下りた。
2人は下に下りて台所へ行き持ってきた物を流しの横に置き、柔は急須とカップ2つを
洗い所定の場所に直すと奥に声を掛けた。
柔「出掛けてきま~す。」
耕作「行ってきます。」
奥から玉緒が返事をした。
玉緒「気を付けて行ってらっしゃい。」
柔と耕作は玄関を出て木戸を潜り表に出た。
柔「まだ来てなかったね。」
耕作「もう少ししたら来ると思うよ。」
耕作「今日は一応最終チェックをするんだよね。」
柔「そうだね、富士子さんが完全に一人で出来るかのチェックだね。」
柔「当然、あなたもチェックするのよね?」
耕作「俺が合格を出さないといけなかったんだよね?」
柔「そうだよ、あなたが合格を出さなかったら明日また最終チェックしないといけなくなるから。」
柔「だからと言って甘々での合格とかは無しだからね。」
耕作「勿論、それは分かってるよ、しっかり判定するから安心して。」
柔「よろしくで~す。」
柔「あ、鴨田さん来たみたい。」
鴨田は2人の前に車を止めた。
鴨田「お待たせっす、今日も早いっすね。」
柔「以前は待たせた事が多かったからですよ。」
鴨田「じゃあ、乗って下さい。」
柔「は~い。」
耕作は後部ドアを開けて柔を先に乗せ自分も後に続いて乗り込んだ。
鴨田「それじゃ、西海大に向かうっす。」
柔「よろしくお願いしま~す。」
耕作「頼んだぞ。」
鴨田は西海大目指して車を出した。