柔と耕作(松田)の新婚日記 21日目 (午後編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています。





鴨田の車は暫く走った後に西海大に着くと駐車場に車を入れて止めた。
柔達3人は車を降りると富士子が待つ柔道場を目指した。

柔道場に近付くと表で待っていた富士子が声を掛けてきた。

富士子「柔さ~ん、待ってたよ~。」

柔「お待たせ~、富士子さ~ん。」

柔達は富士子の元へ急いだ。

柔「富士子さん?今日はどうやる予定なの?」

富士子「今日は今迄やって来た事を全部やろうかと思ってます。」

柔「具体的にどうするつもり?」

富士子「時間を掛けて2人ずつ対戦して貰いながら皆で問題点とかを話し合って、
      全員が対戦出来る様に繰り返そうかと思ってます。」

柔「それで良いと思うよ、それでやってみて。」

富士子「分かりました、じゃあ、それで監督に話してみるね。」

柔「じゃあ、あたしは着替えて何時もの様にトレーニングを終わらせておくから。」

富士子「それじゃ、監督と話してくる。」

富士子は監督室へ向かった。

柔は柔道場に入る前に一礼して中に入ると声を掛けてきた部員達に一礼して更衣室へ向かった。

耕作「鴨田、今日も頼んだぞ。」

鴨田「分かってるっす、メインは富士子さんで柔さんはトレーニングの時に撮影っすね。」

耕作「そうだ、それで頼む。」

鴨田「明日までこの時間で良いんすよね?」

耕作「そうだな、週明けは午後から柔の会社の道場で、そこが終わったらここに来る事に
    なると思うんで、その予定にしておいてくれ。」

耕作「編集長には明日にでも俺の方から頼んでおくから。」

鴨田「了解っす、まだまだ柔さんの取材は続くっていう事っすね。」

耕作「そういう事になるな。」

柔が更衣室から戻ってきた。

柔「お待たせ~、じゃあ、やってくるね。」

耕作「ああ、頑張れよ。」

柔「は~い。」

柔は耕作達から少し離れた場所へ移動するとトレーニングを開始したので鴨田は柔を撮影し始めた。

富士子が監督室から出てきて耕作の元へ戻ってきた。

耕作「どうだった?」

富士子「私が話した内容でやってくれとの事でした。」

耕作「対戦している時に指摘とかするつもり?」

富士子「指摘する様な事が有ったらするつもりですけど。」

富士子「基本的には全員で一緒に考えようかと。」

耕作「なるほど、問題点を全員で考える様にするんだね。」

富士子「はい、その方が皆が問題意識を持つ様になると思うんです。」

富士子「それによって自分でも改善点を見出し易くなるかな~って思ったので。」

耕作「それは良い試みだと思うよ。」

耕作「富士子さんだけが指導するんじゃ本人達が何も考えて無いと指導内容が
    上手く伝わらない可能性も有るし。」

富士子「私だけが指導するって言うのは少し違うかなと思ってたので。」

耕作「以前、柔が言ってた皆同じ柔道部員って言うのを覚えてたんだ。」

富士子「そうなんです、だから私なりに考えて皆で問題点を考える様にしようと思いました。」

耕作「それが良いと思うよ。」

耕作「富士子さんと柔じゃ経験年数も違うから同じ様な指導は出来ないから。」

富士子「それは私も十分承知してるつもりです。」

富士子「だから、今後も私では判断出来ない事が有ったら柔さんに聞こうかと。」

耕作「良いんじゃないかな?柔もそんな時は富士子さんの聞きたい事に答えると思うから。」

富士子「私の柔道経験は柔さんの半分にも満たないですし、まだまだ勉強しないとと思ってます。」

耕作「でもさ、試合経験で行くと柔と富士子さんじゃそこまで差は無いと思うよ。」

富士子「いえいえ、そんな事は無いですよ。」

富士子「第一、柔さんは国際大会とかにも出てましたから。」

耕作「まあ、そうなんだけど、試合数から行くとそこまで差は無いよ。」

富士子「それはそうだと思いますけど・・。」

耕作「俺が言いたいのは、富士子さんにはもっと自信を持って貰いたいって事なんだよ。」

富士子「自信ですか・・。」

耕作「だって、他の選手を抑えて国際大会に出てるんだよ?」

耕作「余り柔道経験も無いのに、そこまで出来てるって凄い事なんだから。」

富士子「そうなんですか?」

耕作「富士子さんが今のままの状態で自信を持てずに試合に臨んでいる事は、他の選手もだけど
    相手に対してもに失礼だと思うんだよね。」

富士子「確かに、出る以上は全力を尽くして対戦しないとそうなりますね。」

富士子「今迄対戦する方にそう言う気持ちでやって無かった気もします。」

富士子「今後はそういう気持ちで試合に臨む様に頑張ります。」

柔「そうだよ、今迄は自分の事しか考えて無かった気がするから。」

耕作「あっ、終わったんだね、お疲れさん。」

富士子「柔さん、お疲れ様でした、やっぱりそうだったのか~。」

柔「その富士子さんがあたしと対戦した時だけは、あたしを倒そうと思ってやってたよね。」

富士子「そうなの、敵わないまでも何とか倒そうと思ってやってた。」

柔「富士子さん?その敵わないと思った時点で自分にも相手にも負けてるって事に気付いてね。」

富士子「あっ、そうなんですね。」

富士子「分かりました、今後は相手をどうやれば倒せるかって事だけを考える様にします。」

柔「そうそう、そうやって行けば自分がどうとか考える暇も無くなるから。」

富士子「しかし、松田さんってやっぱりコーチに向いてる気がしますよ。」

柔「でしょう?あたしにとってはコーチみたいな存在でも有った気がするよ。」

耕作「それはアドバイスをしてただけだと思うんだけど。」

富士子「そういうアドバイスをする事がコーチの役割でも有るんですよ。」

耕作「以前も誰かにそう聞いた気がする。」

祐天寺監督が監督室から出て柔達の所へやって来た。

祐天寺「柔さん、今日もよろしくお願いします。」

柔「こちらこそよろしくお願いします。」

祐天寺「富士子君、早速始めて貰って良いかな?」

富士子「はい、勿論です。」

柔「じゃあ、行ってくるね。」

耕作「2人とも頑張って。」

柔「は~い。」

富士子「はい、分かりました。」

柔と富士子は祐天寺に促される様にして部員達の待つ場所へ向かった。

耕作「鴨田、頼んだぞ。」

鴨田「了解っす、任せて下さい。」

富士子が部員達に今からやる練習内容を説明した。
富士子が対戦する2人を選出すると他の部員達は座ってそれを見守った。

柔と富士子が見守る中で対戦が始まった。

対戦する2人は自分達が苦手にしている技を何回も掛け合い最終的には寝技に持ち込んで
お互いに相手に寝技を掛け合い片方が押さえ込んでそこで終了した。

その後2人を囲んで問題点等の話し合いが持たれた。

柔も富士子も話し合っている最中は口出しを一切しなかったが話し合いが一段落すると
最初に富士子が皆に話し、最後に柔が話すという流れで話し合いを進めそれが終わると
次の対戦相手を選出して先程と同じ様に対戦した後話し合いをする流れを繰り返した。

全員が対戦し終わると、今度は柔と富士子を囲む様に皆座り込んで話し合いを始めた。
他の部員が挙手して富士子と柔に質問している様だった。

一通りの質問が終わったのか柔と富士子に正対する様に他の部員達が並んで一礼して終了となり
祐天寺の話が始まった時点で柔と富士子は耕作の元に戻ってきた。

耕作「2人ともお疲れ様だったね。」

柔「待たせちゃったね~。」

富士子「すみません、結構時間が掛かってしまいました。」

耕作「いや、君達と他の部員達の事が第一だから、俺達が待つのは当り前さ。」

耕作「それに見てても飽きる事が無い位、皆真剣にやってた気がするよ。」

柔「そうなの、良く分かったね、皆真剣に相手に勝とうとしてたよ。」

富士子「そうでしたよね、あれは私も見習わないと。」

柔「そうだね、同じ部員でも真剣にやる事で相手もその気になるから。」

柔「全員が常にそういう気持ちを持つ事は大切だと思うよ。」

祐天寺が柔達の所へやって来た。

祐天寺「お疲れ様でした、今日は皆が真剣にやってるのを見て頼もしく思いました。」

柔「監督も長い時間お疲れ様でした。」

富士子「時間が掛かってすみませんでした。」

祐天寺「いやいや、時間の事は気にしなくても大丈夫だから。」

祐天寺「皆が上手くなりたいと思う事が大事だよ。」

祐天寺「富士子君、これからもよろしく頼んでおくよ。」

富士子「はい、頑張ります。」

祐天寺「それでは、また明日お願いします。」

柔「はい、こういう形でするのは明日までですけど、来週からは合同でする事になりますので、
  その時はよろしくお願いします。」

祐天寺「それは楽しみですな、お待ちしてますよ。」

祐天寺「それでは失礼します。」

柔「お疲れ様でした。」

祐天寺は監督室に戻って行った。

富士子「柔さん?着替えましょうか。」

柔「そうだね、じゃあ、あなた、行ってくるね。」

耕作「ああ、行ってらっしゃい。」

柔と富士子は更衣室へ向かった。

鴨田「富士子さんも指導者らしい考えをする様になったっすね。」

耕作「鴨田から見ても、そう見えるんだな。」

耕作「確かに最初の頃からするとしっかりと如何すれば良いかが分かってきてると思うよ。」

鴨田「そうっすよね。」

鴨田「しかし、柔さん、富士子さんに殆ど話し掛けなくなったっすね。」

耕作「そうだな、柔の性格からすると口出ししたくなる様な事でもジッと耐えてた気がする。」

鴨田「そうなんすか?」

耕作「そうさ、何でも無い事でもつい口出ししたくなるんだ、柔は。」

耕作「でも、今回は富士子さんに独り立ちして貰いたいから一切口出ししてないんだよ。」

鴨田「確かに、富士子さんに聞かれるまでは話し掛けて無かったっす。」

耕作「今回の件では富士子さんの成長もだけど柔自身の成長でも有った気がするよ。」

鴨田「2人とも成長してるって事は大成功っすね。」

耕作「結果的にはそういう事になるな。」

柔と富士子が部員達と一緒に更衣室から談笑しながら出てきた。
部員達は柔と富士子に挨拶をして先に帰って行ったのを見届けると
柔達は耕作の元に戻ってきた。

柔「お待たせ~。」

富士子「お待たせしました。」

耕作「お帰り。」

鴨田「お二人ともお疲れ様っす。」

柔「鴨田さんもお疲れ様でした。」

柔「富士子さん?」

富士子「はい、柔さん、何ですか?」

柔「明日の練習は富士子さんの好きな様にやって構わないから。」

柔「事前にあたしに話さなくて良いよ。」

富士子「私が考えた事をそのまま実行して良いの?」

柔「うん、富士子さんはもう大丈夫だと確信したから、完全に任せるよ。」

富士子「分かったわ、今日帰ったら練習方法をじっくりと考えて見るわね。」

柔「そうしてね。」

柔「あなた?それで構わないでしょう?」

耕作「ああ、練習方法を考える事に関しては、もう富士子さんは独り立ち出来ると思うよ。」

富士子「2人にそう言われると責任重大だわ~。」

柔「大丈夫だって、富士子さんは十分に考える事が出来るよ。」

耕作「富士子さん?自信を持ってやって良いから。」

富士子「あ、そうでしたね、自信を持ってやらないと部員達が不安になるんだった。」

柔「そうそう、その事を常に考える様にしてたら大丈夫だから。」

富士子「じゃあ、これで失礼します、帰って色々と考えないと。」

柔「気を付けて帰ってね~。」

富士子は柔達に会釈すると柔道場を出るときに一礼して自分のアパートへ帰って行った。

柔も柔道場を出る際に一礼すると耕作達と一緒に駐車場へ向かった。
駐車場に到着した柔達3人は車に乗り込むと鴨田は柔の実家を目指して車を出した。



暫く走った後、柔の家に到着して柔達を降ろした鴨田は会社へ戻って行った。
柔と耕作は木戸を潜り玄関に入った。

柔「今、戻ったよ~。」

耕作「ただいま戻りました。」

奥から玉緒が声を掛けてきた。

玉緒「2人ともお疲れ様~、上で休んでなさ~い。」

柔「は~い、そうするね~。」

柔達は玄関を上がって台所へ向かいお湯を沸かしてポットに入れて、それを耕作が持ち
柔は急須とカップ2つも持って2階へ上がった。




部屋に入ると耕作はポットを机に上に置きベッドに座った。
柔はお茶を注いでコーヒーを淹れると耕作に渡しながら寄り添って座った。

柔「あなた~、長い時間お疲れ様~。」

耕作「君こそ長い時間見てるだけは疲れたでしょう?」

柔「あ~、やっぱり、あなたは分かってたのね。」

耕作「それはね~、話し掛けたくて堪らないってのが丸分かりだったよ。」

耕作「でも、良く堪えてたと思うよ。」

柔「そうなの~、もう色々と話し掛けたくて堪らなかったよ~。」

耕作「明日からは富士子さんに完全に任せたんだから、その事は考えない様にしないとね。」

柔「そうだね~、あたしは週明けから始まる会社の部員達の事を考えないといけないし。」

耕作「そういう事だよ、来週からは自分が出来る事を考えないと。」

柔「分かってま~す。」

柔「ただ来週だけは柔道部員達の力量を見極めるってしないといけないから。」

耕作「まあ、君だったら1日で見極められそうだけど。」

柔「そうなのよね~。」

柔「でも検査が終わるまでは見極めを理由に個別指導を避けないといけないけど。」

耕作「それは仕方ないよ、確証も無いのに対戦出来ない理由は話せないんだから。」

柔「うん、それは分かってるつもり。」

柔「今後は西海大でやって来た練習内容を参考にするしかないかな。」

耕作「それで十分だと思うよ。」

柔「色々アレンジはしていくつもりだけどね。」

耕作「君の閃きに期待してるよ。」

柔「余り大きな期待はしないでよ?」

耕作「大丈夫だって、君なら俺の期待以上の事をやってくれると確信してるから。」

柔「あ~、そんな事言われるとプレッシャーが~。」

耕作「ま~た、嘘ばっかり、全然そんな事を思ってもいないのに。」

柔「あは、バレちゃった?」

耕作「だって、顔が笑ってたじゃない。」

柔「えへへ、あなたに期待されてるのが嬉しくて仕方なかったの~。」

耕作「そうだと思ったよ。」

柔「今夜はご褒美が待ってるからね~、尚更だよ~。」

耕作「あれってご褒美になるんだね?君にとっては。」

柔「それはね~、あなたに愛される事はあたしにとってはご褒美みたいなものなの~。」

耕作「なるほどね、それは心を込めて愛さないといけないな~。」

柔「大丈夫!あなたが何時も心を込めてるのは知ってるよ。」

耕作「そうなんだけど、より心を込めてっていう意味ね。」

柔「あは~、それは凄く楽しみだな~。」

耕作「ところで明日の練習内容はもう考えないんだよね?」

柔「うん、富士子さんに任せるって言ったからね。」

耕作「そうは言っても、万一間違った方向に考えて来てたらどうするつもり?」

柔「その時は軌道修正出来る様な事を富士子さんにそれとなく話すつもりだから安心してね。」

耕作「さすがだね、瞬時に判断を下せる所が。」

耕作「やっぱり、柔道に関しては君に任せておけば安心だ。」

柔「それはね~、あたしの一番自信が有る事だからね~。」

柔「あっ、違った二番目だった。」

耕作「じゃあ、一番目は何だい?」

柔「それは~、あなたを愛してる事だよ~。」

耕作「それは俺もだよ、君を愛してる事が一番目だから。」

柔「うふ、あなたも一緒なんだね~。」

耕作「一心同体なんだから、当たり前じゃないか。」

柔「だよね~、あなたも同じ事を思ってくれてて嬉しいな~。」

柔は耕作を暫く見詰めるとそっと目を瞑った。
耕作はそれに応えて優しく長めのキスをした。

柔「うふ、ありがとう~、素敵なキスだったよ。」

耕作「こういう話の流れで君がそうするのが直ぐに分かったよ。」

柔「あは、バレバレでしたか~。」

耕作「何時ものパターンだったから。」

柔「お互いの事を確認したから?」

耕作「そうそう、以前から同じ状況では必ずキスしてたし。」

柔「そうだったね、でも、あなたって、ほんとにキスが上手くなったって思うよ。」

柔「あなたにキスされたら、あなたの事しか考えられない位ウットリするんだから~。」

耕作「それは俺も同じかも、君とキスする時は君の事しか考えてないよ。」

柔「今はそれに加えて~・・。」

耕作「は~い、そこまでにしようね~。」

柔「あ~ん、最後まで言わせてくれても良いじゃな~い。」

耕作「言わなくても直ぐに分かったから。」

柔「あなたが分かったんなら、それで良いか。」

柔「じゃあ、少し早いけど晩御飯の用意をしようかな~。」

耕作「もうそんな時間?」

柔「だから、少し早いけどって言ったじゃない?」

耕作「あ、そうだった、じゃあ、下りようか、ポットとかはこのままで良いから。」

柔「そうだね、一杯しか飲んでないし。」

柔「じゃあ、行こう?」

柔は立ち上がると耕作に手を伸ばし、耕作は柔の手を掴んで立ち上がると手を繋いだまま
下へ下りて行った。



下に下りた2人は台所へ行き耕作がテーブルを前にして座ると柔はお茶を2杯注いで
片方を耕作に渡しながら隣に座った。

耕作「今夜はどうするの?」

柔「やだ~、ここでそのお話をするの~?」

耕作「何か勘違いしてるね?料理の話だよ?」

柔「あは、そうだよね~、ここでするお話だと。」

柔「今夜作るお料理はおかあさんと話してから決めようって思ってるよ。」

耕作「お昼は任せてたけど、夜は一緒に考えるんだね。」

柔「うん、そのつもり。」

柔「おかあさんにばかり負担は掛けられないし。」

耕作「最近は余り負担は掛けて無いと思うけど。」

柔「そうなんだけどね、お掃除とお洗濯は任せっぱなしになってるから。」

柔「それにこれから先、そう遠くない時期にあたしがお手伝い出来なくなりそうなのも有るし。」

耕作「それもそうか、ただ、それは仕方ないんじゃないかな?」

耕作「それに関しては玉緒さんも理解してくれてると思うよ。」

柔「うん、勿論、そうなのは、あたしにも分かってるよ。」

柔「だから、余計に今出来る事はやっておかないとって思うの。」

耕作「君がそう思うなら俺は全力で君の事をサポートするつもりだからね。」

柔「ありがとう~、あなた~、頼りにしてるよ~。」

玉緒「まあ、まあ、何時も仲が良いわね~。」

柔「あ、おかあさん、聞いてたのね。」

玉緒「あれだけ大きな声で話してたら嫌でも聞こえるわよ?」

柔「それもそうか、あ、おかあさん、今夜は何を作るの?」

柔は立ち上がって玉緒の所へ行くと今夜のおかずに付いて話し合った。

柔「分かった、じゃあ、作り方を教えるね。」

耕作「もしかして向こうで習ってきた料理?」

柔「そうだよ、今日は材料も有るから。」

玉緒「それじゃ、早速始めましょうか、よろしく頼むわね。」

柔「うん、任せて。」

玉緒は柔に作り方を聞きながら料理を始めたが、柔も材料を切り揃えるのを手伝った。
2人は時々話しながら調理を進めていって色々な種類の料理を作って行った。

柔「あなた?食器を用意してくれないかな?」

耕作「分かったよ、それを出せば良いの?」

柔「大き目の深皿とお椀と茶碗、それと小さめに深皿をお願いね。」

耕作「分かった。」

耕作は最初に大きめの深皿を食器棚から出して柔に渡すと柔は玉緒と一緒に出来上がった料理を
それに入れていった。
耕作は次に小さめの深皿を柔に渡し、柔はそれに今作っている料理を入れていった。
更に耕作は茶碗とお椀を出して玉緒の渡すと、玉緒は茶碗にご飯をよそいお椀に汁物を注いで
テーブルの上に並べていった。

柔「出来上がり~、持って行きましょうか。」

耕作「そうだね。」

玉緒「本当に、あなた達は息の合った夫婦です事。」

柔「うふふ、そうでしょう~。」

柔がお盆を用意すると玉緒と耕作は手分けしてその上に茶碗やお椀等を載せていった。

玉緒「それじゃあ、居間へ持って行きましょうか。」

柔「は~い。」

耕作「分かりました。」

柔達3人はそれぞれにお盆を持つと居間へ向かった。



居間には何時もの様に滋悟朗が座って待っていた。

滋悟朗「おお、出来たか、待っておったぞい。」

玉緒「直ぐに並べますから。」

柔達3人は料理を座卓の上に手早く並べてそれぞれの場所に座った。

滋悟朗「いただくとするかの。」

4人「いただきます。」

滋悟朗「柔よ、これは習ってきた料理か?」

柔「そうだよ、でも作ったのはおかあさんだから。」

玉緒「柔も手伝ってくれましたけど。」

滋悟朗「そうかそうか、中々に美味いのう。」

柔「良かった~、向こうのは少し味が濃ゆいからおじいちゃんに合わないかもって思ってたよ。」

滋悟朗「そんな事無いぞ、これ位でも食べられるぞい。」

滋悟朗「新婚旅行で松ちゃんの実家に行くのはどうかと思っておったが、行って大正解ぢゃな。」

柔「そうでしょう?あたしは最初からお料理を習うつもりで行ったんだからね。」

滋悟朗「お前も料理の種類が増えて良かったの。」

柔「うん、そうだね、凄く良かったって思ってる。」

滋悟朗「ところで西海大の方はどうなっておるんぢゃ?」

柔「西海大は富士子さんに任せても大丈夫だよ。」

滋悟朗「ほお、お前が言うておった通り富士子は独り立ちしたんぢゃな。」

柔「うん、もう完全に任せても大丈夫だと思う。」

耕作「後は柔道の奥深い知識まで極めれば他所でも指導出来る様になると思います。」

滋悟朗「やはりか、そこだけは経験年数がものを言うからのう。」

柔「それに関しては合同練習の際にあたしが少しずつ教えていくから心配しなくても大丈夫だよ。」

滋悟朗「なるほどのう、お主に任せておけば安心ぢゃな。」

滋悟朗「これで儂はここの道場に専念出来るというものぢゃ。」

柔「そうだね、お父さんが帰ってきたらここで教える事も出来るしね。」

滋悟朗「そういう事ぢゃな、虎滋朗に実技面は任せて儂は精神面を見るとするかのう。」

柔「それが良いね、おじいちゃんももう余り無理出来なくなってきてるし。」

滋悟朗「な~にを言うとるんぢゃ、無理が出来ないぢゃなくてしないだけぢゃ。」

柔「はい、はい、分かってますよ~。」

滋悟朗「相変わらず、小憎らしい事を言うやつぢゃな、お前は。」

柔「あたしらしくて良いでしょう?」

滋悟朗「そうぢゃな、だが松ちゃんにはべた惚れぢゃがの。」

柔「だって~、夫婦なんだから当たり前じゃな~い。」

柔「おかあさんとおとうさんだってそうなんだから。」

滋悟朗「それもそうか、やっぱり血筋ぢゃな。」

玉緒「そうかもしれませんわね、決心したら一直線て言う所は私やおとうさんと似てますわ。」

柔「やっぱり、おかあさんもそう思ってたんだ。」

玉緒「そうですよ?私はあなた達が必ずこうなると思ってましたから。」

柔「やっぱり、おかあさんには敵わないよ。」

滋悟朗「どれ、今日も美味しい物でお腹いっぱいぢゃ。」

玉緒「もうよろしいですか?」

滋悟朗「柔も言うておったろう?腹八分が良いと。」

柔「あは、覚えてたんだ。」

玉緒「それじゃあ、終わりにしましょうか。」

滋悟朗「良いと思うぞい。」

4人「ごちそうさまでした。」

柔「お粗末様でした。」

柔「後片付けは何時もの様に任せてね。」

玉緒「お願いするわね。」

滋悟朗「儂は少し部屋で寛いだら風呂に入るとするかの。」

玉緒「そうして下さい。」

滋悟朗は自分の部屋に戻って行った。

玉緒「私も部屋に戻りますね。」

柔「うん、そうしてね。」

玉緒も部屋に帰って行った。

柔「あなた?お願いね。」

耕作「任せとけ。」

柔と耕作は食器をお盆の上に載せると台所へ持って行った。



2人は台所に着くとお盆を流しの横に置き耕作はテーブルの椅子に座った。
柔は耕作にお茶を注いで渡した。

柔「手早く片付けるね~。」

耕作「ゆっくりで良いよ。」

柔「うふふ、早く片付けないとね~。」

柔は鼻歌交じりで後片付けを始めた。

耕作「慌てなくても俺は逃げないから。」

柔「分かってるけど、どうしてもね~、気持ちが逸ってるから。」

耕作「まあ、その気持ちは分かるつもりだよ。」

柔「あなたもなの?」

耕作「分かってる癖に聞くんだね。」

柔「うふ、やっぱり同じ気持ちだったんだね。」

柔「終わったよ~、上に上がろう~。」

耕作「分かった、じゃあ、行こうか。」

耕作は立ち上がると柔に湯飲みを渡し、柔はそれを洗って所定の場所に直すと2人は手を繋いで
2階へ上がって行った。