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柔と耕作(松田)の新婚日記 25日目 (午前編第2部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日7分割で表記しています。 |
2階の部屋に入ると耕作はポットを机の上に置き、柔はお茶を注いでコーヒーを淹れると
コーヒーを耕作に渡しながら一緒に寄り添ってベッドに座った。
耕作「ありがとね。」
柔「どう致しまして。」
柔「ね~、さっきのお話の続きしても良い?」
耕作「遠慮云々の事かい?」
柔「そう、さっきはあんな風に言ったけど、あなたにはとても感謝してるのよ。」
耕作「今更言わなくても、君のあの時の態度で十分に分かってるつもりだよ。」
柔「分かってくれてたのね、ありがとう~。」
耕作「君の表情やその後話した時にそう思ってたんだ。」
柔「うふ、そうなのね、でも、今でも感謝してるよ。」
耕作「感謝は俺もしてるよ、俺に全て任せてくれてたからね。」
柔「あたしは全然知らなかったけど、あなたは或る程度は分かってそうだったし。」
柔「あの時のあなたはとても頼れる感じだったから。」
柔「あっ、今でも頼れるって思ってるよ。」
耕作「ふふ、態々言わなくても、今迄の話でそれも理解してるつもりだよ。」
耕作「俺としては君に頼りにされてるって言うだけで凄く嬉しいんだ。」
柔「あなたに喜んで貰えてるなら、あたしも嬉しいよ。」
耕作「ところで、これから君の会社に行くんだけど。」
柔「あたしと一緒にね。」
耕作「そう、一緒に行った時に俺だけ君達の部署に残ってても良いのかな?」
耕作「君は残ってても良いって言ってたけど、上司の方は君と同じ考えなのか不安で。」
柔「大丈夫だってば~、あなたの事をまるっきり知らない訳でも無いんだし。」
柔「それにあなたの事を社長も認めてるのは上司も知ってるわよ。」
耕作「君がそこまで言うなら安心して残っていられるよ。」
柔「あっ、でも、部署の朝礼には参加してね。」
耕作「え?部署でも朝礼するの?」
柔「勿論するよ?あなたの会社ではしないの?」
耕作「俺の会社は全体ではするけど、部署ごとにはしないかな。」
柔「そうなんだ、あたしの会社はするのよ。」
柔「と言っても、簡単な連絡事項とか注意する事を伝達するだけだよ。」
柔「あなたはそれを聞いてるだけで良いから。」
耕作「分かった、要は座ったままじゃなくて皆と同じ様に立って聞くって事なんだ。」
柔「そうそう、一人だけ座ってるのって可笑しいじゃない?」
耕作「それはそうだね。」
柔「ひょっとすると羽衣課長があなたに話を振ったりするかもしれないけど。」
耕作「え?俺に話を振るって?どんな風に話を振るのかな?」
柔「あなたがどう思ってるのかとか聞かれると思うよ。」
耕作「うは、それならしっかり話を聞いておかないと不味いな~。」
柔「そう言う事になるね、しっかり聞いててね~。」
耕作「そんな風にやってたら、俺も君の会社の一員になった気分になるかも。」
柔「ずっと居る可能性も有るから、それでも良いんじゃない?」
耕作「あの部署に居る人、羽衣さんも含めてだけど、全員がそれで良いなら俺は構わないよ。」
耕作「ところで、君が出社出来なくなったら、俺も行かなくても良いんだよね?」
柔「どうなんだろう?」
耕作「いや、君が会社に行けない状況って出産間近って事になるでしょう?」
柔「あ~、そう言う事ね。」
柔「その時はあなたにはあたしの傍に居て欲しいから行かなくて良い様にして貰うよ。」
耕作「そうなるのは良いとして、運転する人って俺の代わりは誰かいるの?」
柔「あの子達の誰かが免許を持ってたら、その子に運転を頼むしかないんじゃない?」
耕作「それ、今日確認してくれない?」
柔「そうだね、早い方が良いもんね。」
耕作「運転出来る子が何人か居たら、誰があの車の運転に向いてるか確認したいんだ。」
耕作「そう言う事も含めて羽衣さんに話しておいてくれないかな。」
柔「分かった~、何人か居たらあなたが今言った事を羽衣課長に話しておくね。」
柔「あたしには全然分からない事なんだけど、運転の確認とかどうやるつもりなの?」
耕作「一番安全な方法は西海大の駐車場で運転して貰って、それで判断する方が良いかな。」
耕作「その際は鴨田にも同乗して貰って、俺と2人で判断すればより的確に分かると思うよ。」
柔「なるほど、今現在、実際に運転してる人が判断するんだね。」
耕作「それが一番確実性が有ると思うんだ。」
柔「分かった、その事も羽衣課長にお話しておくから。」
耕作「そこまで詳しく話してれば、羽衣さんも納得して安心するんじゃないかな。」
柔「そうだね。」
柔「ね~、あなた?」
耕作「もしかして、君も運転免許を取りたいとかいうんじゃないよね?」
柔「あは、直ぐに分かっちゃうんだね~。」
柔「駄目かな?」
耕作「駄目な訳ないだろう?」
柔「ほんとに良いの~?」
耕作「君が取りたいって言うなら、俺は構わないよ。」
柔「やった~、免許が取れる~。」
耕作「ただ、今は君自身がそう言う時間が取れないだろうから直ぐには無理だろうけど。」
耕作「産休中に取るのも有りかも知れないかな。」
柔「あ~、だよね~、そうするしかないかな~。」
耕作「でも、君の体への負担を考えると、俺としては余りやって欲しくないかも。」
柔「それだったら、桜おねえちゃんにその事を聞いてみて、やっても良いって言ったら?」
耕作「そうだな~、桜さんが許可するなら俺は反対しないよ。」
柔「じゃあ、その事も今度行った時に聞いてみるね。」
耕作「産休自体がかなり先だから、そこまで慌てなくても良い気もするけど。」
耕作「君がその方が良いと思うなら聞いても良いよ。」
柔「ほら、やっぱり早く分かってた方があなたも良いんじゃない?」
耕作「確かに、先々の事でも分かってた方が良い場合も有るね。」
耕作「あっ、そうだ。」
柔「どうかしたの?」
耕作「滋悟朗さんが西海大に行く事を皆に話しておいた方が良いんじゃないかな。」
柔「あ~、その事ね、大丈夫よ、朝の連絡の時に皆に話すつもりだから。」
耕作「そうだったんだね、さすが、気が利くね。」
耕作「どれ、そろそろ着替えるかな。」
柔「うふふ、あなた?バスローブのままだったのね。」
耕作「そうなんだよな~。」
耕作「でも、玉緒さんも滋悟朗さんも何も言わなかったから気にはならなかったかな。」
柔「2人とも気が付いてたみたいだけど、余り気にして無かったね。」
耕作「普通は気が付くよ、こんな格好だし。」
耕作「じゃあ、着替えるから。」
耕作「君はそのままで行くつもりじゃないよね?」
柔「勿論よ、こんな格好で行ったら何て言われるか分からないもん。」
耕作「着替えようか。」
柔「は~い。」
柔と耕作は着て行く服を選ぶと手早く着替えた。
柔「バッグも用意出来たし、行きましょうか。」
耕作「ポットとかどうする?」
柔「そのままで良いよ。」
耕作「分かった、下りようか。」
柔「そうね。」
耕作が下に行こうとした時、柔が耕作の腰に手を回してきたので耕作も柔の腰に手を回して
寄り添う様に下に下りて行った。
下に下りた2人は玄関へ行き奥に声を掛けた。
柔「行ってきま~す。」
耕作「今から、出掛けてきます。」
奥から玉緒が返事した。
玉緒「気を付けて行ってらっしゃい。」
柔「は~い。」
柔と耕作は玄関を出て木戸を潜り表に出ると大通りを目指して腕を組んで歩いて行った。
柔「また、タクシーなの?」
耕作「仕方が無いよ、車とかバイクを持ってる訳じゃ無いから。」
柔「だよね~、当面はこれで良いか。」
耕作「何か方法を考え無いといけないかな。」
柔「さすがにあの車を使う訳にはいかないだろうし。」
耕作「それはそうだよ、君の会社がリースした車だから。」
柔「バスとか電車は使わないのね?」
耕作「乗り継ぎが面倒なのと、後、君が一緒だから。」
柔「何であたしが一緒だと使わないの?」
耕作「ほら、もう自分の事を忘れてるし。」
柔「あたしの事って?」
耕作「あれから時間が経ってるとは言え、君は有名人なんだから。」
柔「あ~、そう言う事か~。」
柔「あたしは別に構わないんだけど~。」
耕作「ほ~、変われば変わるもんだね。」
柔「あたしって何か変わってるの?」
耕作「以前の君だと、そう言う事って苦手じゃなかった?」
柔「それはね~、でも開き直ちゃったから。」
柔「アメリカでの事も有ったしね。」
耕作「慣れてしまったって事なのか。」
柔「そう言う事になるかな。」
耕作「あのタクシーで行くか。」
柔「お任せしま~す。」
耕作はタクシーを停めて柔を先に乗せ自分も乗ると柔の会社を目指した。
柔の会社に近付くと手前でタクシーを停めて、そこで降りて会社を目指して歩いた。
耕作「昨日、君が使った裏口から入るとかは駄目だよね?」
柔「駄目よ~、朝はちゃんと正面から入って皆に顔を見せないといけないの~。」
耕作「そうだよな~。」
柔「そのうちに慣れてくるから。」
耕作「どうも色々有ったから、あそこに入る事自体が苦手なんだよな~。」
柔「もう~、婚約のお話をしに来たから、てっきりそう言うのは無くなってると思ってたのに。」
耕作「それはね~、以前に比べたら幾分ましになってるって程度だよ。」
柔「あたしみたいに開き直れば平気になるって。」
耕作「それもそうか、君を見習うとするかな。」
柔「さて、入りましょうか。」
耕作「かなり早めに来てるから、出社してる人も余り居ないんじゃない?」
柔「そんな事は無いと思うよ?」
柔「早めに来て色々と用意を済ませたりしないといけないからね。」
耕作「そうなのか。」
耕作「まあ、良いか、君が言った様に開き直るとするよ。」
柔「そうそう、その気持ち、大事だよ~。」
2人は鶴亀トラベル神保町支店に入って行った。
入って直ぐの所で受付の女性が準備をしていた。
柔、耕作「おはようございます。」
受付女性「おはようございます、って、柔さんじゃないの~。」
受付女性「お客様かと思っちゃったよ?」
柔「うふ、ごめんね~、驚かすつもりはなかったのよ。」
受付女性「いえ、気にしないで?しかし、何時も仲が良くて羨ましいよ。」
柔「そう言われると嬉しけど、余り見せ付ける様な事はしないから、安心してね。」
受付女性「そう言わずに、大いに見せ付けてやって構わないわよ。」
受付女性「皆、羨ましくて、結婚考えてる人も出て来てるくらいだし。」
受付女性「かく言う、私もその一人なんだけどね。」
柔「そうなのね、良い人が見つかる様に祈ってるから。」
受付女性「頑張って探すから。」
柔「頑張ってね~。」
受付「柔さんも柔道部、大変でしょうけど、頑張ってね。」
柔「うん、出来る限り頑張ってみるよ。」
柔「それじゃ、余り邪魔しても悪いから。」
受付「ご主人も頑張って下さい。」
耕作「はい、分かりました。」
柔と耕作は受付を後にすると受付の人が笑っていた。
柔と耕作は担当部署に向かう間も出会う人に声を掛けられ、その度に会釈して応じた。
柔と耕作が部屋に入るとまだ誰も来ていなかった。
耕作「まだ、誰も来てないね。」
柔「あたし達が早過ぎたからね。」
耕作「ところで、さっきの受付の人、何で笑ってたのかな?」
柔「あ~、あれね~、あなたが真面目に受け答えしてたからだと思うよ。」
耕作「それで笑うって可笑しくないかい?」
柔「あなたが真面目に答えたのが単に可笑しかっただけだから、気にしなくて良いよ。」
耕作「そう言うもんなのかな。」
柔「女性はそう言うのでも笑っちゃうもんなの。」
耕作「君もそうなの?」
柔「そうよ?向こうに行った時に何でもないのに笑ってた事有ったでしょう?」
耕作「・・・、言われてみれば、そんな事も有ったか。」
柔「気にしても仕方が無いんだから。」
柔「取り敢えず、席に座ってて良いよ。」
耕作「そうするけど、君は何をするの?」
柔「あなたの為に美味しいコーヒーを淹れてくるのよ~。」
耕作「そうなのか、すまないね。」
柔「一寸待っててね。」
耕作「分かった、でも、慌てなくて良いから。」
柔「分かってま~す。」
柔が部屋を出て行くと耕作は自分の席に座って柔を待つ事にした。
耕作「(相変わらず、甲斐甲斐しくて愛おしく感じるな。)」
耕作「(他の皆は何時頃来るんだろう?)」
耕作「(昨日話した感じだと打ち解けるにはもう少し時間が掛かりそうだな。)」
耕作「(柔は既に打ち解けてるみたいだったけど。)」
耕作「(ああ言う所は柔の或る種の才能なんだろうな。)」
部屋のドアが開いて柔が戻ってきた。
柔「お待たせ~。」
耕作「早かったね。」
柔「そう?普通に淹れただけなんだけど。」
柔「はい、どうぞ。」
柔は耕作にコーヒーを渡して自分の椅子に座った。
耕作「ありがとね。」
柔「ほんとはあなたの隣に座りたいけど、さすがにここでは出来ないね。」
耕作「それはそうだよ、会社でそう言う所は見せられないって。」
柔「もう少し慣れてきたら見せても良いかな~って思ってるのよね~。」
耕作「駄目だって、会社の中でそう言う事は控えないといけないよ。」
柔「やっぱり、駄目か~。」
耕作「普通に会話する位が関の山だよ。」
柔「だよね~、仕方ないか~。」
耕作「ところで他の人達は何時来るんだい?」
柔「もう少ししたら来ると思うよ。」
柔「でも、直ぐに全体朝礼に行かないといけないけど。」
耕作「結構早めに朝礼するんだね。」
柔「全体の後に部署ごとにするからね。」
耕作「なるほど、だから全体は早目にするのか。」
部屋のドアが開いて陽子と雅と恵美が入ってきた。
陽子、雅、恵美「おはようございます。」
柔「おはよう~。」
耕作「おはようございます。」
柔「3人とも~、そんなに丁寧に挨拶しなくても良いよ。」
陽子「いえ、先輩にそんな事は出来ません。」
雅「そうですよ、ここでの先輩であるばかりか柔道では大先輩なんですから。」
恵美「そうそう、礼を欠く様な真似は出来ません。」
柔「そう言うだろうな~とは思ってたのよね~。」
柔「仕方ないな~、じゃあ、先輩からのお願いと言っても駄目かな?」
陽子「お願いですか?」
柔「そう、丁寧な挨拶はここではしない様にって言うお願いなんだけど。」
陽子「柔さんにそこまで言われたら拒否出来ませんよ。」
陽子「分かりました、でも、この部屋に居る時だけですよ?」
柔「あ~、この部屋もだけど、柔道場でもそうして欲しいかな。」
陽子「なるほど、私達だけで居る時は堅苦しい挨拶はしないって事ですね?」
柔「そうなの、お願いね。」
陽子「はい、そうする様にします。」
雅「私も同じく柔さんの仰る通りにします。」
恵美「私もそうします。」
柔「頼むね、無理言う様だけど。」
柔「そうじゃ無いと、主人まで堅苦しい挨拶してるのを見るのが心苦しいの。」
陽子「ふふ、柔さんってご主人思いな方なんですね。」
柔「ほら、一応は夫婦だからね?」
柔「ここでは余りそう言う所は見せない様にしてるつもりだけど。」
恵美「柔さん?」
柔「はい、何かしら?」
恵美「私達がお願いを聞く代わりと言っては何ですけど、私も一つお願いが有るんです。」
柔「どんなお願いなの?」
恵美「柔さん達が夫婦なのは皆知ってるので、夫婦として振舞って欲しいんです。」
柔「でも、そうする事で皆に悪影響が出ると困るんだけど。」
雅「柔さん、それは見当違いだと思います。」
柔「どういう事?」
雅「夫婦なのにそれを表に出さないと、他の人はお二人の仲が悪いんじゃないかと勘違いして
心配になると思うんです。」
柔「そう言う事か、分かったわ。」
柔「普通に夫婦として振舞う様にするね。」
陽子「それで良いと思います、勿論、私達と居る時だけで良いですので。」
恵美「そうですよ、他の人が居たら、柔さんが言った振る舞いで構いません。」
柔「分かったわ、そうする様に心掛けるから。」
柔「あなた?さっき、あんな風にお話したけど、良いよね?」
耕作「俺としては皆で話し合って決まった事を優先するよ。」
耕作「勿論、君が了承した事に対してだけど。」
柔「そうして貰えると、あたしとしてもありがたいかな。」
陽子「やっぱり、お二人は紛れも無くご夫婦ですよ。」
恵美「そうよね、何事も良く話し合う姿勢は素晴らしいです。」
雅「私達から見ても羨ましくなる位に理想的なご夫婦です。」
柔「そんな大袈裟に言われると何だか照れちゃうよ。」
部屋のドアが開いて温子と美香と真紀と由紀が入ってきた。
陽子「4人とも柔さんのお願いで挨拶は丁寧にしなくて良い事になったから。」
美香「え?よろしいんですか?柔さん。」
柔「そうなの、普通に挨拶してくれて良いから。」
陽子「ただし、あたし達だけの時にって事なので。」
美香、温子、真紀、由紀「分かりました。」
美香、温子、真紀、由紀「おはよう~。」
柔「おはよう、それで良いよ。」
耕作「おはよう。」
柔「あっ、主人にも同じ様に接して貰って構わないからね。」
温子「よろしいんですか?」
柔「そうして貰った方が良いのよ。」
柔「そうしないと、主人も丁寧に挨拶を返さないといけなくなるから。」
真紀「なるほど、そう言う事なんですか。」
陽子「それと柔さん達にはあたし達が居る時だけご夫婦として振舞って貰う様にしたから。」
由紀「私もその方が良いと思ってました。」
柔「皆がそう言うならそうするね。」
また部屋のドアが開いて羽衣が入ってきた。
全員「おはようございます。」
羽衣「おはよう、皆、今から全体朝礼だから。」
柔達「はい、分かりました。」
羽衣「松田さんはここに居て貰って構いませんから。」
耕作「分かりました、ここで待機してます。」
羽衣と柔達は全体朝礼に参加する為に部屋を出て行ったので、耕作は椅子に座って
皆が帰って来るのを待つ事にした。
耕作「(今日以降は毎日こんな感じになるんだろうな。)」
耕作「(毎朝直行してここに来るのは良いとして、編集部にもたまには顔を出さないといけないな。)」
耕作「(取り敢えず、ここに来ない日は編集部に原稿を持って行く様にするか。)」
耕作「(その辺りの事も含めて、帰ったら柔と話さないといけないな。)」
耕作「(さっき、柔は俺が丁寧な挨拶をするのを見るのは心苦しいって言ってたけど。)」
耕作「(余りにも他人行儀過ぎて、俺が皆に馴染むのが遅くなると思ったのかな?)」
耕作「(そう言えば、キョンキョンの後輩達と馴染むのは結構早かった気がする。)」
耕作「(柔は俺とここの皆があんな感じで早く馴染んで欲しいと思ったのかも。)」
耕作「(柔がそう考えてるとしたら、俺はそれに乗らないと柔の行為が無駄になるな。)」
部屋のドアが開いて皆が戻ってきた。
耕作「お疲れ様でした。」
羽衣「いや、そこまで大した話は有りませんでしたから。」
羽衣「松田さん、ここに居る時も普段通りにして貰って構わないですよ。」
耕作「そう仰って頂くのはありがたいんですが、一応けじめは付けたいと思ってるので。」
羽衣「まあ、そんな風に堅苦しく考えないで下さい。」
羽衣「自分の会社に居るつもりで結構ですから。」
耕作「分かりました、そうまで言って頂けるなら、普段通りにします。」
羽衣「そうして下さい。」
羽衣「では、手短にここの朝礼を始めたいと思います。」
全員「はい。」
羽衣「昨日から松田さんと一緒に居る訳ですが、今、松田さんにも言った様に皆も
普段通りに仕事をして下さい。」
全員「分かりました。」
羽衣「仕事をしながらであれば、松田さんに何か聞きたい事が有ったら聞いて構いませんので。」
陽子「それは何時でも聞いて良いという事でしょうか?」
羽衣「そうですね。」
羽衣「ただ、松田さんもここではご自分の仕事をされるでしょうから、その邪魔にならない様に
心掛けるのを忘れない様にお願いします。」
全員「はい、分かりました。」
羽衣「私からは以上ですが、他に誰か連絡事項は有りますか?」
全員「特に有りません。」
柔「課長?少しお話が有るんですけど。」
羽衣「ここでは出来ない様な話ですか?」
柔「はい、そう言う事も含んでいます。」
羽衣「分かりました、それでは私の部屋で聞く事にしましょう。」
羽衣「柔さんを少しの時間借りますけど、構いませんか?」
陽子「はい、構いません。」
羽衣「松田さんもよろしいですか?」
耕作「はい、構いませんので。」
羽衣「それでは、柔さん、私の部屋へ。」
柔「お時間を取らせてすみません。」
羽衣「構わないですよ。」
羽衣と柔は羽衣の部屋に入って行った。
陽子「じゃあ、皆、それぞれに仕事を始めて下さい。」
全員「はい。」
陽子以外全員が席に着いてそれぞれに仕事を始めた。
陽子は耕作の傍に来ると小声で耕作に話し掛けた。
陽子「松田さん?」
耕作「今、柔が羽衣課長と話してる事に付いてかな?」
陽子「そうなんです、良く私の聞きたい事が分かりましたね?」
耕作「俺に聞きたい事ってそれ位かなって思ったんだ。」
陽子「そうでしたか、それで何かご存知なんですか?」
耕作「それに付いては、柔が戻ってきたら皆に話すと思うよ。」
陽子「分かりました、では、戻ってきたら聞いてみます。」
陽子「それにしても、松田さんって先読みが凄いですね?」
耕作「柔と色々話してるうちに、そう言う事ばかりしてたので出来る様になったかな。」
陽子「そうなんですか、どんなお話をされてたのか気になります。」
耕作「それは追々話す事にするよ。」
陽子「分かりました、今後の楽しみにしておきます。」
陽子「お時間を取らせて申し訳ありませんでした。」
耕作「いや、気にしなくて良いよ。」
陽子「では、失礼して仕事を始めます。」
耕作「頑張って。」
陽子「はい。」
陽子は自分の席に着くと仕事を始めたが他の皆が陽子に耕作と何を話してたのかを聞いていた。
耕作「(小声だったから余計に気になったのかな?)」
耕作「(という事は、俺は皆の興味の対象って事なのか?)」
耕作「(そう言えば、昨日も色々聞かれた気がする。)」
柔が羽衣の部屋から出てきて自分の席に座ると耕作に話し掛けてきた。
柔「あたしが産休に入った時のあなたの処遇と運転の代わりをどうするかを話してきたよ。」
耕作「それで代わりは了承されたのかな?」
柔「うん、それでこれから偶に運転させても良いって許可を貰ったよ。」
耕作「そうか、それなら今日にでも適性を調べないといけないか。」
柔「じゃあ、皆に聞いてみるね。」
耕作「その前に滋悟朗さんの事を話しておいた方が良いよ。」
柔「あっ、そうだね、分かった。」
柔「皆?お仕事をしながらで良いから聞いてね。」
全員「はい。」
柔「今日からになるんだけど、西海大での練習にあたしの祖父も参加する事になったから。」
柔「その事は、今、羽衣課長にお話して上の方の許可を貰う様にしてるの。」
陽子「滋悟朗先生も参加されるんですか?」
柔「そうなの、西海大での指導は祖父が主にすることになるよ。」
柔「あたしはアドバイスする位かな?」
由紀「柔さんは指導されないんですか?」
柔「安心してね、あたしは会社の道場でちゃんと指導するから。」
由紀「そうでしたか~、良かった~。」
柔「それと皆に聞きたい事が有るんだけど良いかな?」
全員「はい、どうぞ。」
柔「皆の中で運転免許を持ってる人って居る?」
陽子「私は持ってます。」
雅「私も持ってます。」
温子「私も最初の会社の時に取りました。」
恵美「私もつい最近ですけど免許を取りました。」
美香「私も最近取得しました。」
真紀「私は今取りに行ってるところです。」
由紀「私は持ってません。」
柔「分かったわ。」
柔「えっと、主人の代わりに運転をやって貰いたいんだけど。」
陽子「私がしましょうか?」
耕作「柔?この後は俺から説明するよ。」
柔「そうだね、任せるよ。」
耕作「誰にやって貰うかを話す前に聞きたい事が有るんだけど。」
陽子「どういった事でしょうか?」
耕作「免許を持ってる人であのタイプの車を運転した事が有る人って居る?」
陽子「ワンボックスカーをですか?」
耕作「そうなんだけど、乗った事が有る人が居れば、その人を優先しようかと思ってるんだ。」
陽子「私はあの手のタイプは乗った事は無いです。」
陽子「皆はどう?」
恵美「私も乗った事は無いです。」
温子「私は何度か有ります。」
雅「私も家の車がそのタイプなので何度か乗ってます。」
美香「私は無いです。」
真紀「私も乗った事が無いです。」
耕作「分かった、じゃあ、今日西海大に行った時に駐車場で運転して貰っても良いかな?」
耕作「乗って貰っても大丈夫かどうかを確認したいんだけど。」
温子「はい、構いません。」
雅「私も構いません。」
耕作「乗った事が無い人で運転してみたいって言う人が居たらしても構わないよ。」
陽子「私、運転してみたいです。」
恵美「私も運転してみたいかも。」
陽子「美香と真紀はどうする?」
美香「皆を乗せてとなると少し怖いので、今回は遠慮しておきます。」
真紀「私も取ったばかりなので、遠慮しておきます。」
耕作「じゃあ、4人に乗って貰って大丈夫か確認させて貰うね。」
陽子「よろしくお願いします。」
耕作「大丈夫そうなら4人とも運転して貰って構わないけど。」
耕作「俺が頼んだ時にやって貰う事になるよ。」
陽子「それで良いと思います。」
温子「ところで、何故、松田さんの代わりになるんですか?」
柔「あっ、それはね、あたしからお話するよ。」
柔「まだ、分からないんだけど、万一妊娠したりしたら産休を取る事になるのね。」
陽子「分かりました、その時の代わりという事なんですね?」
柔「そうなの、あたしが産休になると主人もここに来れなくなると思うのよ。」
由紀「もう妊娠されてるんですか?」
柔「由紀さん、今、万一って言ったよ?」
由紀「そうでした、早とちりしてすみません。」
柔「謝らなくて良いよ、可能性としては高いから。」
柔「詳しくは来週にでもお話するから、それまでは待ってね。」
温子「分かりました。」
柔「あたしからのお話は以上なのでお仕事に専念してね。」
全員「はい。」
柔を含めた全員が再びそれぞれに仕事を始めた。
耕作「(どれ、俺も原稿を書くとするか。)」
耕作も原稿を書き始めた。
暫くの間、全員がそれぞれの仕事に打ち込みキーボードの音が響く時間が経過した。