農道を走っていると、見通しの良い田んぼの中にシロハラクイナを見つけました。路肩に車を停めて、しばらく様子を観察することにしました。

 

いつものシロハラクイナなら、人の気配を感じると警戒して、すぐに草むらやヤブの中へ逃げ込んでしまいます。ところが、今回のシロハラクイナは少し様子が違いました。

 

警戒しているようには見えるものの、なかなかその場から離れようとしません。それどころか、前へ進んだかと思えば戻ってきたり、何か戸惑っているような動きを繰り返しています。

親鳥の後ろには、3羽の小さな雛がついていました。

 

 

「雛がいるのなら、なおさら早く逃げそうなのに……」と思いながら見ていると、親鳥は前へ進んだり、また戻ったりしています。雛たちも親鳥について行こうとしながら、どこか落ち着かない様子です。

 

 

しばらく観察を続けていると、ようやくその理由が分かりました。

なんと、もう1羽の雛が後ろに取り残されていたのです。

 

親鳥は、先に進んだ3羽の雛と、取り残された1羽の雛との間を行ったり来たりしていたのでしょう。まるで「みんな揃ったかな」と確認しているようにも見えました。

 

やがて、4羽目の雛が無事に親鳥たちのところへ合流しました。

 

 

 4羽の雛が揃うと、親鳥は安心したように歩き始め、雛たちもその後を追っていきます。そして親子はそろって、隣の田芋畑の中へと姿を消していきました。

 

 

普段なら、こちらの姿を見つけるとすぐにヤブへ逃げ込んでしまうシロハラクイナ。この日は、4羽の雛を守りながら、家族全員が揃うのを待っていたのでしょう。

 

野鳥を観察していると、ほんの数分の出来事の中にも、いろいろなドラマがあります。

 

今回のシロハラクイナ親子との出会いも、忘れられない一場面になりました。