農耕地に一羽のタカブシギが佇んでいました。

普段なら忙しく歩き回りながら採餌をしている鳥ですが、この個体はほとんど動きません。よく見ると、どうやら脚を怪我しているようでした。

車を横付けしても逃げる素振りはありません。警戒心の強いシギとしては不自然なほど無反応でした。

 

 

 翌日も様子を見に行きましたが、タカブシギは同じ場所にいました。2日連続でほとんど移動していないようです。怪我のために十分な行動ができないのでしょう。

 

 鳥見を続けていると、いやが応にも傷ついた野鳥に出会います。

かわいそうだとは思いますが自分にはなす術がありません。

 

 ここ数ヶ月の間にも、脚を引きずるシギや翼を傷めた鳥など、多くの傷病個体を見てきました。びっこを引きながらも懸命に生きようとする姿を見るたびに、いたたまれない気持ちになります。

観察を終えてその場を離れる時も、後ろ髪を引かれる思いがします。

 

 そして数日後、再び現地を訪れると、その鳥の姿はありません。

元気になって飛び立ったのか、それとも別の運命をたどったのかはわかりません。しかし、残念ながら楽観的な想像ばかりはできません。その後のことを考えると、何とも言えない気持ちが残ります。

 

 以前、友人がこんなことを言っていました。

「そんなかわいそうな鳥たちに出会いたくなければ、鳥見をしないことだ」

確かにその通りかもしれません。しかし、それでは何の解決にもなりません。

 

 自然の中で生きる野鳥たちは、美しい姿ばかりを見せてくれるわけではありません。厳しい現実もまた自然の一部です。

鳥たちのたくましさに感動する一方で、その過酷な世界を目の当たりにし、複雑な思いを抱くこともあります。

 

 今回出会ったタカブシギの行方はわかりません。

せめて最後まで精いっぱい生き抜いてくれたことを願うばかりです。