7/24 サッカー選手と屋根裏部屋 | simablo9

7/24 サッカー選手と屋根裏部屋

「僕はね、将来大きくなったらサッカー選手になるんだ!」

最近の男の子はやはり野球よりもサッカー選手に憧れるのでしょうか。もはや定番と言われている将来の夢、詳しく調べていないので定かではありませんが、健全な子供なら一度くらいはプロスポーツ選手を夢見るものだと思います。

わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい。なんて風にお父さんなら思うのかもしれないですよね。実際僕の父もそんな風な事を言っていたような言っていなかったような。

僕は自分の小さかった頃の記憶が全く残っていません。ところどころ曖昧な記憶が無くも無いですが、実際当時の自分が一体どんな事を考えていたのか、そんな事はビタイチ記憶に残っていません。

もし幼き日のあの頃に将来なりたいと夢を持っていたとするならば、きっと今はその将来に当たるくらいの時期になっているのかもしれません。仮にそうだとしたら、きっと僕はその頃の将来の夢を叶える事は出来なかったんだと思う。だって夜な夜な新宿でイッヒッヒ、なんて言ってる事を幼き日のピュアだった頃の僕が夢見ているはずがないですからね。

子供の頃に見ていた夢、それを将来大人になって実現出来ている人って実際どれくらいの割合でいるんでしょうか。プロ野球選手やサッカー選手になっている人達はきっと小さな頃からそうなりたいとそのスポーツを続けて夢を叶えているのかもしれない。でもきっと実際には子供の頃の夢をどこかで諦めた、若しくは僕のようにその夢自体をすっかり忘れてしまった人の方が遥かに多いんじゃないかと思う。

先日の事でした。

その日僕は久々に部屋の片付けをしていたんです。僕の部屋は元々綺麗なほうではないのですが近頃の忙しさもあってかかなりの無法地帯、もう散らかりに散らかってしまっていたんです。その時僕は何故か決意しました。

「ここはまとめて思いっきり大掃除をやってやろう」

珍しく部屋を片付けようなんて思ってしまった僕、休日でもないのにどうしてそんな事を思ったのだろう?謎は深まるばかりですがとにかく僕は決意してしまったんです。なぜ?ホワイ?

鉄の意志の元で片付けを始める僕、まるで何かにとりつかれた人の様に部屋を綺麗にしていきます。そして約2時間後、僕の部屋はすっかり清潔、キレイでオシャレな部屋に様変わりしたんです。

もうすっかり満足!やっぱりやって良かった!と思うどころかその時の僕はどうかしてた、なんかよく分からないけどもっと掃除したいなんて血迷ってるとしか思えないような願望が漲ってきてしまったんです。助けて!僕の中のモンスターがこんなにも大きくなったよ!

もう綺麗になってしまった部屋に掃除する場所なんてもうありません。そこで僕はもう何年も足を踏み入れていない屋根裏部屋を掃除しようなんて暴挙に出たのです。シンジラレナイ

何年も足を踏み入れていない屋根裏です。きっととんでもなく汚くネズミなんて現れちゃって、そこには白骨化した何かが平然と落ちている、そんな世紀末のような光景が繰り広げられているかと思いきや意外と綺麗でした。まあ誰も足を踏み入れなければそう汚れる事もないか。

拍子抜けした僕はそれでも何かしたいと思いそこにあった箱を開けたりしてみました。何かね、昔の教科書とか色々出てきた。

「へ~何だか懐かしいなぁ。」

なんて思いを巡らせながら色々な書物やら卒業文集やらをパラパラとめくるのでした。ただね、その時僕はとてつもなく気になってしまったんですよ。幼き日の僕がどんな事を考えていたんだろう?ってね。

思い立った僕はもう一心不乱にたくさんある思い出の品の中で一番古い物を探し始めました。「きっとこの中のどこかに僕の人格を決めた何かがあるはず!」なんて、よく分からない使命感に追われていたんです。

「中学校?違う!小学校?違う!もっともっと!!」

そんな感じでブツブツ言ってたと思う。散々探し尽くした辺りで僕はスチール製と思しき、何だか凄く古臭い箱を見つけた。これや!この古さはハンパじゃなか!宝石箱や!

恐る恐る箱を開けてみるとそこには何枚かの画用紙、察するに幼き日の僕が描いた絵がその箱の中には納められていたのでしょう。一枚、また一枚とめくりその絵を見ていきます。

僕は元々印象派の描写を得意としていたのかと思わせる程、当時からそのアーティスティックな一面を持ち合わせていたのでしょう。うん。風景なんだか人なんだかさっぱり分からなかった。

一通り絵を見終わった時、その箱の下の方に一枚の色紙が、見るとそこには幼稚園の時の卒園式で皆が輪になるようにそれぞれ将来の夢を綴っていたのです。

「プロ野球選手になりたい!」

「お花屋さんになる」

「いっぱい友達作りたい」

「ケーキ屋さんになっていっぱいケーキを食べたい」

名前を見ても誰が誰だかなんてさっぱり思い出せないのですが、皆つい微笑んでしまいそうになるような、そんな夢いっぱいの色紙でした。幼稚園の子供ってこんなに字が書けてたんだな。と意外な驚きも感じましたね。

でもね、そこで一番気になるのはやっぱり僕のところですよ。幼き日の僕は一体どんな夢を持っていたんだろう?まさか夜な夜な歌舞伎町に行きたい!なんて書いてるはずは無いと思うし、とにかく当時の僕が一体どんな事を考えて、そしてどうやって今に至ったのかを知りたかった。

固唾を飲みつつ僕は探した。僕のいた幼稚園って結構人数がいたみたいでなかなか見付からない。でもね、端からひとつずつ見ていって見つけましたよ。そこには衝撃の事実があってですね。もう僕は屋根裏で天井が物凄く低いのに思わず立ち上がろうとして頭をぶつけましたからね。そこには、

「駐車場のおじさん」

と一言、その一言だけが書いてありました。

もうね。これを見た時にはもう信じられないって言うか、むしろ当時の自分が何を考えていたのかを探っていたはずなのに、結局余計分からなくなったって感じでしたよ。おかしい!駐車場のおじさんって!!

だって冷静に考えてみて下さいよ。駐車場のおじさんですよ?その色紙の中心にはでっかいフォントで「しょうらいのゆめ」って書いてあるのに!皆野球選手とかサッカー選手とか普通の事書いてあるのに僕だけでしたからね。そんな枯れ腐った職業だったのは。

でもね、よくよく考えてみたんです。僕って今もそうですけど、昔から結構怠け者だったんですよ。大人になった今もとにかく楽して稼いで何もしたくない!と公言しているくらいの世捨て人ですからね。

当時の僕から見て、もしかしたら駐車場のおじさんっていうのは皆相当暇そうにでも見えたんじゃないだろうか、きっと座ってるだけでお金をもらえるなんて思っていたんじゃないだろうか。

だとしたら僕は幼き日から何ひとつ変わっていないのかもしれないです。うん。駐車場のおじさんも悪くないかもな。

要するにですね。きっと僕は昔も今も全然変わってないって事なのかもしれないですね。生まれてから26年、もう少しで27年経っても僕は、駐車場のおじさんも悪くないかもな。なんて思っちゃってるんですよ。よし、次に転職する時は「駐車場のおじさん」で検索してみよっと。