さて。PANDORAツアーも無事終ったところで。
ちょいちょいリクエストのあった
曲のセルフ解説ってやつをやります。

まぁ、音楽の楽しみ方はひとそれぞれ。

曲や歌詞の解釈も人それぞれだと思うので、

そういうのを見るのがあんまり好きじゃないというひとは見ないことをお勧めします。


※以下の記事はPANDORAというアルバムについてのネタバレになるので、
【自分で色々想像して楽しみたい!】という方は続きは読まないで下さい




















よいですか?





まずはじめに、パンドラというお話のおさらいから。

人類の様々な愚行と彼らを信じ続けた”先見の神”プロメテウス
それに業を煮やした神々の長ゼウスは人々への罰として
"パンドラ(全てを与えられた者)"という名を持つ
男性のみの世界であった地上に初めての女性を作るよう命じる。

ある日、彼女は神々によって作られた『絶対に開けてはならない』箱を好奇心から開いてしまう。
すると中から疫病や、犯罪、様々な負の感情・・・
正にこの世の全ての災いが飛び出し、世界を暗く覆い尽くしていった。

慌てて蓋を閉じるパンドラ。

その際、唯一箱の中に残っていたのがエルピス、すなわち”希望”であった。

災厄の詰まった箱に何故、『希望』と呼ばれるものが入れられていたのか。

希望とは光であり、また闇である。



これはブックレットの文面ですが、まぁギリシア神話のパンドラの箱にほぼ忠実な内容です。



スペシャ特番でも語ったけど
EViLSの3曲とあわせて全15曲のレコーディングを13年1月にやったんだけど。
REC前日にそれまで(仮)でタイトル付けしていた曲の正式タイトルを決めなくてはいけなくて。アルバムの1曲目を飾る曲、として作ったのちの"PANDORA"のタイトルを悩んでいました。

はじめは高速ビートで怒濤で駆け抜けていく様を例えて"VULCAN"という火の神様の名前をつけていたんだけど

なんか、こうコンセプトとして弱いなと思って。
神話の神様の名前の響きが好きだから、何かないかなって調べてたの。
そしたら、パンドラってのが目に留まって。
まぁ、みんなもなんとなくは知ってる話しだよね。

「パンドラって女が、開けてはいけない箱を開けちゃって中からいろんな悪いことが飛び出した」

ここで大体の人の記憶って止まってると思うんだけど
ちゃんと読んでみたら、「最後に"希望"だけが箱の中に留まった」ってなってて。

そこで、俺たちの前フルアルバムの"SEEDS OF HOPE"(以下SOH)ってタイトルと繋がった感じがしたの。

パンドラの箱の中には、「悪」とされるものが詰まっていた。
それもそのはず、その箱は「天罰」そのものだったから。
でも、その中に「希望(予期みたいな意味もあるみたい)」というものが入っていたのはなぜか?すごく不思議な話し。
希望って、いいものじゃないの?普通はそうだよね。

でも、この話しを読むとそうでもないのかなって気もしてくる。
当時、神話の世界では神様たちが絶対で、人間たちは神様の奴隷のようなものだった。
「希望」がないと、人々は辛い毎日に耐えられなくなり自殺してしまう。そうすると奴隷が減って困るから、あえて希望を与えてずっと奴隷として使えるように入れたんじゃないかって話しまである。(ギリシア神話は、同じ題材を色んな作家が書いていて著者によって解釈が異なる)

で、俺らのSOHは震災直後に"純粋に良い意味で"の希望を唄ったアルバムだった。
でも、少し経った今の日本の状況を見たらどうだろう?明るい部分だけを見て、本当に目を向けなくちゃいけない部分を忘れかけてるんじゃないか?日々積み重なっていくそんな思いとリンクして、今回のアルバムタイトルにぴったりだなって感じたのね。
それで、1曲のタイトルを"PANDORA"にして、アルバムタイトルにも採用することにした。
2年前の作品で唄ったことを、もう一度考えるって意味も含めて。




それからジャケットの話し。
今回のアルバムのヴィジュアルデザインの大きなポイントとして
「真のジャケットは買った人にしかわからない」

というコンセプトがあった。
これは、今までも散々語っている通り正規のルートでこのアルバムを手に入れてくれた人たちへのお礼。「ささやかな優越感」をプレゼントしたかったから。

どういう仕組みかというと、意外に単純で
世に出るジャケットデザインは、みなさんご存知のこちら。


オンラインストアなども含め、全ての情報をこのジャケットで統一してます。

だがしかしこれはスリーブ仕様(CDケースを入れる二重ケース)になっていて、
実際に封を開けてスリーブをとると・・・ようやく本当の、
CDを買った人にしかわからない骸骨のジャケットが出て来るというもの。

これも、
希望とは光であり、また闇である。
って言葉とリンクした、物事の二面性を表している。


そして、オープニングを飾る"PANDORA"の一言目は
【そして今、お前は俺の頭の中に居る】
という言葉。これは、一般ジャケットの「外見」から真ジャケットの「骸骨」を通り、盤面のデザインである「」にリスナーが入っていくというイメージ。
そして最後の言葉は
【ただ、俺が何故お前の目前に立っているのか考えてみろ】
これは、対峙した相手の心情(このアルバムの場合、仮に作者である俺、MAHの考え)を読んでみろ、という意味。

そして、色々な歌詞と、その合間に入る・・・ライブでいう「MC」的な文章も含めアルバムが進んでいく。

ここまで色々なことを考え、最初の問いを思い出す。

そして、その脳(CD)を通りすぎた先、つまりCDを取り外したケースの底には

【THINK AGAIN】 (もう一度考え直しだ)

という皮肉が。
これはつまり、「人の気持ちなんて想像したところでわかるはずがない」ということを意味している。

なんとも絶望的なオチだけれども、それは続きで話します。

以上が、ヴィジュアルデザインについて。








長くなるけど、途中でやめたら書く気失せそうなので一気にいきます



ということで、曲解説。



1. PANDORA
これに関しては前述の通り。
頭の中に入って、相手の心を理解しようとしてみようって曲。
イントロでGODRiが叩くDeftonesっぽいDrのフレーズがすごくお気に入り。



2. WHO'S NEXT
近年の歴代首相を言葉遊びで並べ、代わる代わる政権交代していく様を
日本特有の文化である回転寿司に例えた曲。
でも、悪いのはなにも政治家達だけではなくて傍観したり、考えもなく人の意見に左右されてしまう俺たち国民の責任も大きい。。。

ただ、ちゃんと言っておかなきゃいけないこと。俺は音楽家。
別に政治を勉強しまくってるわけでもないし、
でも、自分たちのファンに対して、一緒にこの国のこと考えようぜ!
って言うのは俺みたいなバンドマンもするべき主張だと思う。

俺も自分の政治観はあるけど、みんなに音楽を使って政治的な主張をするつもりも別にない。
SiMのファンだって子が俺と真逆の政治観だったとしても何の問題もない。
「考えること」が重要なのであって辿り着く答えはそれぞれでいい。
その考える"きっかけ"を与えることは、若い子たちをリスナーに持つ俺たちバンドマンのひとつの役目だと思っているから。

この曲のMVを見て、
「何を唄ってるんだろう?」からはじまり
「あぁ、こういうことを唄っているんだ」
「でも、俺はこう思うな」
「うーん、私はこう思う」
そうなればいいなって思ってます。

みんなで、自分たちの生きる国のこと考えよう、って曲です。



3. Pieces of Troops
これも似たようなメッセージだけど、
「群衆の一部ではない」という部分の通りで自分の考えを持とう、ということ。
答えを探すときに近道しようとして他人の言葉ばかりに頼っていると、結局失敗したときに他人のせいにしちゃうんだよね。
全部自分の意思でしたことなのに。
それじゃあ結局自分に返ってきちゃうよ、だから自分を信じて行動しよう、と。



4. BRAiN
脳みその使い方の話し。

「あれはヤバい、止めなきゃ」って思ってるもの
殆ど全て人間がその手、その脳で作り出した代物ばかり。
権力を、金を、何かを動かすエネルギーばかりじゃなく、
死体の山を、処理できないがれきの山なんかよりも
命を、明日を作ることを考えられないものだろうか。
そんな内容。

曲調はハードコアを基本に、ポップパンク的なサビ、ルーツ系DUBSTEPとSiM流レゲエパンクを展開。ただしDUBSTEPパートの「bad bad brain」のメロディーに注目。

この曲からの引用です。

Ramones - Bad Brain


この曲は、あの伝説のレゲエ×ハードコアバンドBAD BRAiNSのバンド名の由来になったとされている、これまた伝説の元祖パンクバンドRamonesの名曲です。両バンドへの敬意を込めて。



5. Blah Blah Blah
話せるはずのなかった人に言いたいこと好き勝手ぶつけられる世の中。
親指ひとつで友達になり、親指ひとつで絶交し、親指ひとつで相手の日常を覗ける世の中。

インターネット、SNS社会はとっても便利だと思う。

けれど、どんな時代になっても結局は「面と向かっての会話」が一番大切。
インターネットで炎上?燃えたって、何が?
実体のない電子空間で、コメント数が跳ね上がっただけ。
直接目を見て文句をぶつけるわけでもなく、ただ指を動かしただけ。
そんなの、本当の意見と言えるだろうか?

手のひらサイズの端末で交わした文字が、本当の会話と言えるだろうか?

俺たちの時間は限られている。
会うべき人には、会いに行こう。
目を見て、話そう。

ちなみにMVは、そういう世界に没頭する人間が、「蜘蛛の巣(WEB)」に捕われてしまうというもの。



6. Boring People, Fucking Grays
宇宙人のお話し。
まぁ、この歌詞はネタです。笑

ただ、何を信じるかは自分次第であって
デマに騙されちゃいけないねって曲です。

個人的にかなり好きな曲。



7. DUBSOLUTiON #4
フルアルバムに必ず収録されるDUBシリーズの4曲目。
鍵盤ハーモニカ奏者の代表格Augustus Pabloの名曲"JAVA"へのオマージュ。
今作のテーマでもあるルーツ系DUBSTEPと、EDM感も含んだアレンジをしました。

志半ばで亡くなってしまった仲間へ。



8. We're All Alone
coldrainの"We're Not Alone"へのアンサーソング(笑
というと大げさだけど。

俺は、みんな本質は孤独だと思う。
でも、だからこそ孤独を忘れさせてくれる誰かを探し求める。
俺にとってそれはバンドメンバーだったり、お客さんたちだったり、coldrainだったりHEY-SMITHみたいなバンド仲間たちなんだと思う。

まぁ、実は言いたいことは同じなんだけどね。
俺なりに書いてみたって感じかな。
ちなみにMasatoには事前にこの曲のことは話しました。笑

他の曲とも繋がるけど、
いくら他人を知ろうとしたって結局は理解しきれるはずなどない。
例えば君が俺のブログを、ツイッターを全部読んでたって、
俺がこのブログを書き終わってから何をするかなんて誰にもわかるはずがない。

まぁ、寝るんだけど。笑

でも、俺が「このあとは買い物にいくぜ♪」
って書いてたらそれはそれで信じるでしょ?

他人の理解なんてそんなもの。
でも、それでいいんだよ。そんなものだから。
その上で、それでも、だからこそ、俺たちは相手の気持ちを考えてあげる優しさを忘れないようにしなきゃね。わからないからって諦めるんじゃなく。



9. Rosso & Dry
女性というのは、恐いですね。
だって黙って立ってるだけで、いわば嘘なんだから。
本心を探ろうと瞳を覗き込んだらカラコンだし(●ω●)
目大きいなぁと思ってよく見たらアイラインだったりね。
でも、わかっていても結局騙されちゃうんですよね。えへへ
かといってスッピンだったら、それはそれでちょっとなぁと思うし。
でもほぼノーメイクでもかわいい子はいるし。
まぁ、簡単にいうと本当に男って馬鹿なんですよね。笑

結局転がされるのね。
でも、いいんじゃないですかね。
お互い楽しければ。(なんだそれ
正直、かわいけりゃあなんでもありっしょ!(台無し

外見のアレはまぁ、オシャレのうちだし
俺だってただのムチムチ系アラサーだし(泣)
ていうかライブでアイメイクしてるし(笑)

ただ、中身は偽っちゃいけませんね。
強がって言い放った言葉は、自分に返ってきますからね。

ちなみにRosso & Dryは、俺がいつも飲んでいるカクテルの名前です
チンザノっていうベルモット(香りのついた白ワイン)のロッソとドライ2種類を混ぜたやつ
ロックで、レモンを落として飲むんですけど。
まぁ酒と酒を合わせたものなので少し強いかもしれないです。15~18%くらい?
飲みやすいんですけどね。でも好みが別れるので特にオススメはしません。笑



10. Keep it Burnin'
思ったことはちゃんと伝えよう、と。

この曲では愛について唄っていますが・・・
愛に限らず、何にせよ。
思ったことを、伝えようと決意したころには手遅れになっていることもよくある
相手の気持ちを考えつつも、後悔する前にしっかり言葉にしようぜって感じですね。

当然、2番に出て来るのはドラ●もんのことです。笑



11. March of the Robots
Rage Against The Machine - Freedom



RATM風のイントロから、一気にレゲエへ、パンクへ、スカへころころ曲調が変わっていく曲。

寿司や、ステーキが出て来たりしますが、
与えられた指令をこなすロボットのように生きるのではなく
自分の考えで、選択し、生きていこうと。

思いを口にしようという曲です。



12. Dreaming Dreams
夢を追いながら生きるっていうことについて。
何度も言ってることだけど、
夢ってのは辛いからやめるとか、
好きだ、楽しいから続けるとか、
そういう生半可なものではない。

いまだに、毎朝起きるたびに不安に押しつぶされそうになる。
この状況がいつまで続くか?

それでも、戦い続ける。
これまでの10年も、これからのうん十年も。



13. Upside Down
その、これまでの10年を振り返った歌詞。
赤裸々すぎるほどに、書いたつもり。
これは歌詞読んでもらえればそのまんまって感じかなぁ。

俺にとって本当に大事な曲です。







以上。

まぁ、ここで書いたことを含め
歌詞読んでもらって、ブックレットの挿絵とそこに書いてある文章とかも含めて総合的に読み解いてみて下さい。

それをどうとらえて、どう自分の生活に落とし込むかはみなさん次第です。

俺たちの大事な作品。

願わくば、大切にしてやって下さい。






長い!!!!!!

(いつものこと)