古いシチズンQ&Q手巻き腕時計を修理② | silvervineのブログ

silvervineのブログ

ブログの説明を入力します。

シチズンQ&Q手巻きキャラクター腕時計の分解・清掃・組立②

 
 
前回はケースからムーブメントを取り出す手順がメインでしたが今回はムーブメント内の作業となります。
引き続き分解を続けて行きます。
 
ムーブメント裏側の分解
 
前回の3針を取り外す所で針にかなりのゴミが付着していました
稀に絡まって動作不良を引き起こしている場合もありますので確認が必要です。
しかし今回はゴミを除去しても症状は改善されません
別に要因がある様です。
また、風防が割れている個体等は小さな破片がムーブメント内に入り込んで動作不良を引き起こしている場合もあります。
 
ゴミが針に巻き付いています
 
 
作業に戻ります
 
作業上リューズを戻します
裏側
 
カレンダー機構が無いので部品点数は少なくシンプルな印象です。
ツツ車、日の裏車等を外して行きます。
外した部品は表裏や方向性があるのでスマートフォン等で工程ごとに写真を撮ることをお勧めします。
このムーブメント部品は一部プラスチックで出来ていました。
裏面は以上です。
 
 
ムーブメント表側の分解
 
ムーブメントをひっくり返して表側の部品を外して行きまます。
ムーブメントには以下の様な刻印がありました
FUJITIME CORP
NO 0 JEWELS
UNADJUSTED 
ムーブメントの型式を示すキャリバー番号は見当たりません。
アンクル、ガンギ車、テンプの一部がプラスチック、人工ルビー等も無く、高級機というよりは大量生産用の印象があります。
 
 
輪列受を外す
 
輪列受を取り外すためネジ3本を外す。
外す際に歯車固着の場合、一気に負荷が無くなるので香箱内のゼンマイが勢いよく戻ります。
今回輪受を外した時点でゼンマイが勢い良く戻って来ました。
部品故障では無く固着である事が判明しました
表側 
輪列受、香箱受の2枚構造でシンプルです。
 
 
固着していると輪列受に部品がくっついてきて元の状態が把握しずらくなります
 
 
アンクルをもとの位置に戻して写真を撮っておくと組立の際、状態を把握しやすい
 
 
 
各歯車を外す
 
今回は4番車→ガンギ車→アンクル→2番車→3番車の順に外しました。
 
4番車
 
ガンギ車、アンクル
 
 
2番車
 
3番車
テンプ部は地板にくっついて取れなかったのでそのままにしています
 
 
 
香箱受を外す
 
 
香箱(1番車)を取り外すため香箱受をネジ1本で外す。
 香箱受が外れ、香箱とリューズ周りの部品が見えてきました
 
 
香箱を外した状態
 
 
香箱からゼンマイを取り出す事ができますが、専用工具が無いと戻す時に苦労します。
このムーブメントの香箱はゼンマイが見えるので、カバーを開ける必要は無く清掃出来ます。
 
 
 
リューズ周りを外す
 
続いてオシドリ、カンヌキ、裏押さえ等を外して行きます
コハゼバネでしょうか?外します
 
 
バネを固定していた部品をネジ1本で外します
 
 
裏押さえをネジ1本で外します
 
 
カンヌキを外します
 
 
オシドリを外します
 
 
リューズを抜いてキチ車とツヅミ車を外します
 
 
各歯車には方向性があるので覚えておきます
 
 
ほぼ地板だけになりました
 
 
外した部品の清掃
 
今回はプラスチック部品もありますのでベンジンでの清掃は金属部品のみにしました。
ベンジンで洗浄する理由は部品に固着している油を除去する為です。
ベンジンに金属部品を浸しハケ等で清掃して行きます
素人が趣味レベルで修理するのはこのぐらいが限界でしょうか?
 
 
清掃の注意点
 
印刷された金属部品などは洗浄しない
日車、曜車(カレンダーディスク)や文字盤等は掃除すると印刷が剥がれたりしますので汚れいてもよほど動作に影響なければ触らない様にしています。
 
 
ホコリに注意する
部品に微量でもホコリがつくと別トラブルになる可能性があります。
組立時にはブロワー等でこまめに清掃しつつ組立てる様にしています。
 
サービスガイドがあれば正しい分解手順や注油箇所等を把握できるのですが今回はキャリバー番号もわからないので過去の経験だけで作業を行います。
 
 
 
注油と組立
 
前回の清掃も含まれるのですが注油も含めて工具とスキルで大きく変わる行程なのであまり踏み込んだ話はしません。
休日の趣味レベルでやっているので正解では無くご参考レベルと思って下さい。
 
 
 
注油と組立の注意点
 
注油は専用の工具とオイルがあり、さまざまな種類と価格があります。
 
オイルを差すオイラーですが手始であればAmazonで500円程度で販売しているオイラーで良いかと思います。
本数があるのは先端の幅に種類があり、オイルの塗布量を調整出来る様になっています。
 
オイルは量販店で売っている機械油では無く時計用専用オイルを使用します。
こちらもネット検索で比較的簡単に入手できます。
多少高価ですが数年は使えるので問題無いと思います
オイルは粘度が違うので注油箇所で使い分けます
私は低粘度、中粘度、高粘度の3種類を使用しています
 
有名なキャリバーだとネット検索でサービスガイドが確認できます。
分解方法やオイルの種類と注油箇所、また注油量等が細かく記載されています。
 
サービスガイドが見つからないキャリバーでもオイルの種類と注油箇所は他キャリバーと共通点がありますので、ある程度応用出来るかと思います。
ただ注油禁止場所や、特有の構造上粘度が違う場合もあり判断が難しい反面もあります。
 
 
 
組立の注意点
 
基本的に分解の逆の手順で戻して行きます。
サービスガイドがない場合、スマートフォンなどで撮影した情報を頼りに戻していきます。
注意点としては輪列受を取り付ける際に各歯車がホゾ穴に入っている事を確認してからネジで締め付ける様にしましょう。
輪列に少しでもガタがあったり、違和感が有れば歯車が入ってない可能性大、そのまま取り付けると部品の破損に繋がります。
 
 
組立て後ゼンマイを巻くとテンプが動きだしました
 
このままゼンマイを一定量巻いて開放状態になるまで動作させ正常性確認を行います。
 
今回はここまで。