私事で恐縮だが、運動機能がかなり回復してきたと感じる。綺麗な歩行にはほど遠いが、2本杖を利用している身としては、歩行速度がまどろっこしく感じる。

 

 

 同病で現役を続けられている人の奥様のお話を伺うと、最近、転倒される事が多く、先日も顔に打ち身の痣をつくり、あばら骨の上にも痣をお作りになったらしい。「骨折じゃなくて良かったですね」と私も家内も口々に同様のことを言ったものの、奥様にしては、お風呂とかトイレとか、なかなか不安の種は尽きないそうである。

 

 

 件のご主人というのは、同じ脳梗塞という病のお仲間だが、おじさんよりも早く歩けるし、杖も不要のようである。おじさんのように仰々しくノルディック・ポールを使うこともなければ、階段もOKだし、車の運転もOKである。

 

 

 そう考えると、速く歩く事も大切だが、転倒にも注意しなければならないと思う。お酒の量は健康なときと比べると、少なくなっていると想像するが、少量の酒でも、酩酊の度が転倒を誘発しているのではないかと人ごとながら心配する。

 

 

 だが、注意はしない。人それぞれにプライドがあり、昔、若い頃。あるスナックで、酒とタバコどちらか止めろと言われたらどうする? と聞かれたことがあり、おじさんが「う~ん」と答えに窮していたら、突然、カウンターの隅から、「タバコを止める」とハッキリ言われたことがある。その人は普段は優しい印象の東北出身の人だったが、あまりに強い口調に驚いたことがある。

 

 

 以来、おじさんは肝に銘じている。『酒飲み』に酒を止めろと言うのは、死ねと言うに等しいのだと。酒乱は酒乱なりに苦しみながら酒を呑んでいるのだと。

 

 

 件のご主人の場合は、他人に迷惑を掛ける寸前で、言い換えれば、奥様への迷惑だけで何とか収まっていたので、おじさんは軽々に注意しないのだ。奥様は言って欲しいと思われたかも知れないが、それは夫婦間の問題だと捉えるべきだと思うので……。

 

 

by 考葦(-.-)y-…