東日本大震災を扱ったノンフィクション作品、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 』が映画化された。おそらく日本映画史上に残る名作となると思われるが、これを思うとき、民主党政権の時代だったことを思い出してしまう。
また、政府の事故調査委員会が行った故吉田昌郎所長の聞き取り記録ーー後に吉田調書と呼ばれるーーに於ける朝日新聞が犯した無礼きわまりない誤報も思い出す。
朝日新聞がどのマスコミにも先行して非公式に入手した所謂吉田調書を見事に正反対に誤読して発表した。その時、民主党政権という悪夢の舞台装置が整っていた。
朝日の記事に対し、おそらく100名近くの関係者に取材を済ませていた上記書籍の著者門田隆将氏が真っ先に反論した。すると例によって、お得意の訴訟をちらつかせた文章が門田氏の元へ届いたらしい。それは文芸評論家の小川栄太郎氏に対するものと同様と推定される。
朝日新聞が公表している訴状がこれだ(対小川)。
http://www.asahi.com/shimbun/release/2017/20171225.pdf
続いて産経新聞が公式に調書を入手し、すぐさま反論した。続けて事態を重く見たのか、政府は誰でも読むことが出来るように、聴取記録文書を公開した。
各社手ぐすね引いて反論を準備していたところ、卑怯にも、それで自分らの誤読が明らかになると悟ったのか、朝日新聞は(世紀の)誤報を認めて謝罪した。
嗤うのは、件の記者らが社内で評価が上がり、誤読の中心人物が得意げに社内報に書いたらしい。またジャーナリスト何とか賞とか色々と表彰も受けたらしい。
ジャーナリスト何とか賞の選考委員には青木理や著名な面々が就任しておられ、後に朝日新聞社を誤読ではないと擁護なさっていた。贔屓の引き倒しで、これで記者らはジャーナリストではないというお墨付きを得たようなものだ。
お時間があれば、朝日新聞社のと読み比べられてはどうか。専門家の門田氏には及ぶべくもないが、何が違うのかどこでボタンを掛け違えたのかの比較が出来て、いい材料になるのではないか。
『故吉田昌郎氏の聞き取り調書 朝日記者は大まじめに誤読した。』(拙ブログ)
https://ameblo.jp/silvergrayt/entry-11928876561.html
一応、難関と推測される朝日新聞社の入社テストを受けて採用され、中堅のエース格と目される記者に『吉田調書』分析の白羽の矢が立った。
結局、バイアスがかからない、素直な目を持ち続け、自己の意見や感想を述べず、事実のみを伝えるのが報道というものであろう。
こうして、福島原発に関わった人々のおかげで日本は助かったのだと言わなければならない。人は自分の器を超えて物事を理解出来ないのだ。人類の美談を薄っぺらな人間理解で薄っぺらなストーリーに仕上げたのが朝日新聞である。
崇高な利他の行為などまるで理解できない人々を、今更矯正など出来はしない。出来ることは一日でも早く朝日新聞が目に入らない位置(場所)に身を置くことだけである。
ただ、一つ朝日新聞が有利な事柄がある。それは昔の社会党・民社党、そして今の立憲民主党・国民民主党・小沢一郎・山本太郎等、人間理解の浅い人間に対する取材と表現である。我々は買いかぶって過つことがあるが、貴殿らは自分を見ているのだから、間違うことがない。
by 考葦(-.-)y-…