問題のある組織は、問題が発生すると〝第三者委員会〟なるものをつくり、第三者委員会の結果を待ちたいという言い訳をする。その第三者委員会なるものが、公平・公正に事実を見極め結論を出す組織なら文句は無いのだが、あとで述べる様に、朝日新聞という新聞社が悪知恵に長けていて、今では第三者委員会と言えば、金を払って有利な結論を出してくれる組織と瞬時に連想する習い性となってしまっている。

 

 

 近頃、唯一まともだと思った第三者委員会は、日大がアメフト部の暴力タックル問題で立ち上げた第三者委員会である。もちろん、罪を認定したから立派だと言っている訳ではないことは、理解して頂けると信じる。

 

 

 一方、駄目なというより、第三者委員会を噴飯物のクッション組織の意味に変えてしまったのは、朝日新聞の第三者委員会である。興味のある方は、色々とお考えになっている様子をゆっくりご覧ください。

 

 

 http://www.asahi.com/shimbun/3rd/3rd.html

 

 

 吉田清治の書籍が単なるフィクションだと本人が認めた後も、長く当該書籍を強制連行の強い証拠として慰安婦問題に関する記事を飽くことなく発信し続けた事に対する第三者委員会、思わず嗤ってしまう朝日をより良くするための第三者委員会も存在する。

 

 

 まともな言論機関としてどうあるべきか、提言などが大真面目に語られているけれども、要するに捏造をせず、恣意的な隠蔽をせず、事実を隠さず伝えるという、マスコミの基本を思い出せばいいのである。思い出せと言われても、社の歴史でそんな時は一度も無かった? あらら、左様でしたか。

 

 

 もう一つは日本体操協会に於ける宮川紗江選手が勇気を出して開いた会見で、塚原夫妻のパワハラ問題を明らかにした発言の後に設置された第三者委員会、そして山口真帆暴行事件後に運営のAKSが設置した第三者委員会である。

 

 

 もちろんこれらの第三者委員会は当該組織がより良くなるために設置した任意組織で、結果が出たとしても、如何なる法的拘束力をもつものでもない。そこで犯罪が疑わしい行為が明らかになった時は、弁護士などは告発する義務があるはずである。

 

 

 まあ、委員会のメンバーの陣容を見るだけで、単なるポーズやパフォーマンスではなく、反省を踏まえて、改善するために設置したと思われるものや、加えて、今後の活動の指標を得るために設けていると思われるものが存在する一方、反省ポーズで結果が出るまでの期間、質問を体よく断れるというクッションとしての意味合いが強いものもある。

 

 

 いずれも後者の第三者委員会と判断したが、どれがより悪い第三者委員会かは、見方によって異なるだろう。しかし、いずれもかなりの駄目加減を有した組織である。朝日は別格として、体操協会もAKSのもいずれ劣らぬ駄目ぶりである。

 

 

 幾つも検証できないので、財団法人日本体操協会から観てみよう。

 

 

塚原夫妻 デイリースポーツ

 

 公正公平な視点で検証して頂くため、弁護士5名からなる第三者委員会を立ち上げたということだが、弁護士だけなら構成要件というものをまず定義することをおざなりに進めることはできないだろう。

 

 

 構成要件とは、刑法犯罪に適用される概念で、簡単なもので見てみよう。例えば

 

(看守者等による逃走援助)

 刑法101条、法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させた ときは、一年以上十年以下の懲役に処する。

 

 ① 「法令により拘禁された者」を

 ② 「看守又は護送する者」が

 ③ 「逃走させ」ること:逃走させる行為、逃走を容易ならしめる行為

『刑法 構成要件レジュメ』より引用

https://bexa.jp/upload/materials/11_419cf00e3a28cf58719b86603a564717.pdf 

 

 上記の①~③までのすべての要件を満たしている事が必要である。

 

 これがもし交通事故に遭遇し、運転していた者は負傷し身動きが取れず、護衛の警官(看守)が気を失い、拘束していた手錠の鍵を奪われ、手錠を外して逃亡されてしまったとすれば、誰がどんな罪になるかと考えると、逃げた者が逃走罪という罪を犯したことは言うまでもないが、法律が予定している〝逃走の援助〟という意味では、おそらく誰も訴追できないだろう。

 

 

 この様に刑法はシビアに要件が定められており、偶然のアクシデントにより拘束者を逃がしてしまったという事で、手錠の鍵を持っていた点は批難されるべきだが、例えばそれが裁判に被告人として出廷する為に車で向かっていたのなら、法廷内では手錠を外すシーンを観るので、鍵を身につけていたとしても致し方ないと思える。

 

 

 この様に、弁護士ばかり集めた委員会では、刑法の条文と同様に要件が吟味され、すべて充足していないとパワハラとは認定されないであろう事は容易に想像がつく。

 

 

 そこで塚原夫妻は、めでたくパワハラの認定からは免れた。いま自分たちは第三者委員会からパワハラでは無いとお墨付きをもらったのだから、すぐに復職して従来通りのやり方で進めようと思っているだろう。だがそれで体操協会は良くなるのだろうか。定義を厳しくしてすべての要件を充たしていないから、パワハラでは無い、とする協会の狙いが見事に当たった一例だろう。

 

 

 しかし、国民の大部分は違和感をもったのではないか。訴追して公判を維持できることをお願いしているのではない。一般国民がこれは酷い可哀想だと思った感情に近い答申が出るのがいい第三者委員会というのではないか。別に誰も塚原夫妻を刑務所に入れて欲しいと言っている訳ではない。

 

 

 法律家ばかりの悪い面が出たのが体操協会の第三者委員会である。陪審員制度がとれない日本で、裁判員制度が取り入れられた意味を、もう一度、考えてみてもいいかも知れない。

 

 第三者委員会 報告書

 

4/04から書き始め、投稿日に完成

 

 

by 考葦(-.-)y-~~~