Ameba ニュースから標記のようなショッキングなニュースが流れてきた。西部氏は自身でも公言されているように、東大の学生時代全学連の中央執行委員を務めるが、60年安保後、過激派左翼と決別し、東大教授となった。
西部 邁氏:出典 Ameba ニュース
深い教養で田中美知太郎氏と行ったソクラテスやプラトンなど西洋古典哲学に関する談義は実に面白かった。西部はほぼ聞き役に徹していたが、西部に教養があることは質問の仕方でわかるものだ。
田中美知太郎氏:出典 京都市情報館
一時、小林よしのり氏と意見が合い、対談集などを発表していたが、小林は人と何かを共に出来る人間ではなく、『真正保守』などと言っているらしいが、極端から極端に走る思考癖に、西部もついに小林の批判に晒されることになった。
おそらく自殺であろうという報道に、おじさんは即座に江藤淳を連想した。晩年、江藤は文藝評論家として、言論で厳しく美しい文章を書き残しながら、最愛の妻が最高の読者であったと述懐し、妻の死去の後、自ら命を絶ってしまった。
おそらく、評論家を標榜する人の中には、江藤の文章を文字通りなぞり、論理展開、文章の呼吸などを学んだ人は多かったのではないか。
西部も独特の言い回しの中に、深い哲学の教養が伺え、江藤も西部も、真似をしたくても出来ないから、おじさんは文章の師とすることはなかったけれど、二人の文章を読むことは大好きだった。
結局、この二人の碩学も妻の死と共に自分の生を閉じることを選択してしまった。勿論、例の妄想だが、そうおじさんは考察する。一人の女のためにと言うのは容易いけれど、長きに亘る知識の蓄積も、端から見ればどれほど惜しんでも惜しみ足りない学殖も、妻という良き理解者、良き読者の為だけに積み上げてきたものと言えば、世の批判を浴びるだろうか。自殺はおじさんの哲学から言えば否定すべきものだけれど、批判する気にはならない。とても美しいとおじさんは思うから。
西部邁氏のご冥福をお祈りする。
by 考葦(-.-)y-~~~