かつて同じ場面を見たことがある。小泉首相が郵政改革で日本を売った時である。いずれも国策で作られた組織で、それが古くなって旧態依然とした部分が国民の目につくようになっていた事も共通している。
組織は時間が経過すると色々ひずみが生じるのは建物と同様である。ただ建物と異なるのは、修理しても近代的な利便性は得られないと所有者が判断すれば、金銭的な事情が許せば建て替えも視野に入れられるけれども、組織はそうはいかないという点であろうか。
警察を例に取れば、古い組織ではあるが、それなりの役割を果たしている。方や農協はかつて各市町村に一つ設立され、今は市町村の統合や農協自体の統合で、県に1個乃至数個という所まで数を減らしている。警察は公的機関、農協は民間組織という違いはあるが、農協は手を着けても警察をどうにかしようという話は聞かない。農協は腐った組織だから親玉である全農を解体しようというのであろうか。あるいは個々の農協は健全だが、全農は腐敗が目に余るというのだろうか。
全農というのは正式には全国農業事業協同組合連合会といい、全国各都道府県に存在する農協を都道府県単位で束ねる組織が00県農業事業協同組合連合会、それを全国で束ねるのが全農という組織図となっている。県に一つならその県単位の連合会は不要であり、そのまま全農の一支部となっているのではないかと想像する。
全く調べもせずに書いているのだが、今、政府が手を着けようとしているのは、全農の解体である。TPPの抵抗勢力であることは確かであり、仮にアメリカがTPPを批准したとしても、残しておくと摩擦が起きそうだと考えたのだろう。〝規制改革推進会議が提言〟なさったものを受け、政府が動くという大義名分・体裁は整っている。
三橋氏は早くから農業そのものを壊すおそれのある全農解体に反対しておられる。
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今回その要旨を再度、ブログで述べておられる訳である。TPPをよしとする人々は解体に賛成かも知れないが、ぜひ食料安保の視点を取り入れて頂きたい。これが外国や外国企業を利するために提言されたものなら、なおのこと阻止しなければならないし、もし知らずに安易に民間企業に制限を加えようとするのなら、明らかな憲法違反である。
by 考葦(-.-)y-~~~