エアバッグメーカーのタカタの社長が、ホンダ側の公聴会への出席要請に応じないらしい。このおっさん、一体何を考えているのか。


 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J402020141120
     2014年 11月 20日 09:45 JST

 ロイターによると、『米フロリダ州で9月に起きた交通事故に関する検視報告が18日夜に公表され、エアバッグの破裂で飛び散った金属破片が死亡原因と断定された。』そうだ。


 衝突事故時の安全のために装備された器具が、作動する場面で正常に作動した結果、金属片が飛び散り、守られるべき人を死に至らしめた。おじさんが一番腹が立つのは、こういう正反対の皮肉な事故が起きることである。


 ビルなどには火災などの際に上階から降りられるように、避難装置(ゆっくりと下降するロープ)が設置されているが、かつて女子アナが体験レポートをするとして、生放送中に落下したことがあった。幸い下の安全マットのお陰で大事に至らずに済んだものの、長期の入院を余儀なくされた。


 その目的の為に使われた装置が本来通りに機能しなかったという点では両者は似ているが、エアバッグの方は金属部品が割れ、釘を仕込んだパイプ爆弾のように、金属が守るべき人を撃ち抜いて死なせた点が大きく異なる。後者で言えばロープが独りでにワッカになり、利用者の首を絞めて、地上に降りた時には絶命していたようなものであろうか。


 自動車メーカー各社に与えた損害は計り知れない。噂ではプールしている金が1000億あるから大丈夫だと言ったとか言わないとか耳にしたが、各社リコールにより付け替えるエアバッグは無償の筈だし、ユーザーが次に付け替えるエアバッグを、タカタの製品でいいと言うのかどうかも甚だ疑問である。おそらく余所のメーカーのものを使うようになるだろう。いやそうでなければならない。


 社長か会長か幾つのおっさんか知らないが、当然、出て行けば非難に晒されることになるだろう。だが、もし会社を存続させる気があるのなら、最悪の選択をしたことになる。今後、ユーザーは車選びの際、エアバッグのメーカーを選択肢の中に入れるだろう。タカタの製品かそうでないかは大きな判断材料になり得る。


 1000億など個人にとってはとてつもない額だが、国際的な企業にとってはどうだろう。おそらく瞬時に蒸発する焼け石に水の額ではないか。自動車メーカー各社が選定しているということは、すぐれた部分もあるのだろう。だが、それもおしまい。The end である。アメリカではタカタのエアバッグは禁止されるだろうし、搭載された車にも次々リコールの命令が出るのではないか。信用は築くのは大変だが、失うのは一瞬だということである。


 日本でも自動車メーカーの経営者がこの度の社長の出処進退をよく観たであろうし、ユーザーもおまえの振る舞いを忘れずに語り伝えるだろう。土壇場で腹が据わらない人間は、だいたい普段偉そうにしているものだ。それともメーカーの取り付けに問題があったとでもいうのか。それなら尚更堂々と記者会見に臨み、誠意を見せなければならない。喫緊の場面で、誰が悪いと言っている場合ではないだろう。リコール中にまた死亡事故があれば、今度はタカタの代表者、すなわちあんたに逮捕状が出るかも知れないぞ。


 いずれにしても、タカタは終わった。馬鹿な経営者である……。


 最後に自社のHPに掲げてある文章を載せておこう。

タカタは、車に乗るすべての人の安全を守る、エアバッグシステムのトップサプライヤーの1つです。

 立派な文章である。でも次からは『でも経営者は卑怯な臆病者です。』と付け加えてくれ。

 TAKATAのHPから切り出した画像