集団ストーカーの恐るべき所は、単に仄めかしのようなものからエスカレートして、器具を使用するものになっているようです。


 集団ストーカーの被害者の方々の苦しさとは比べるべくもありませんが、かつて、おじさんはストーカーという言葉が日本に浸透していない時代に、ストーカー被害に遭ったことがあります。


 犯人は女性で、すぐに見当がつきましたが、物事がおかしな方向にねじ曲がり、おじさんが非道いことをして犯人が被害者だという前提で、見知らぬ人(差出人空白)から反省を促す手紙が届いたり、何とかしてあげないと彼女は死にますよ、といった男からの電話がかかってきたりしました。


 もちろん、こちらは対処の仕様がないので、無視を決め込みましたが、おじさんの知人という知人に電話をかけまくり面談し、その知人から事実確認の電話が来るというメインの流れがあり、その傍流に妙な男からの電話が入るというのが定常化しました。


 おじさんがあまりに無視をし過ぎたせいか、電話の内容がどんどん過激になり、その都度、人を変え、最後は、おまえの女を預かっている。この女はこのままでは始末されるか、売り飛ばされる。誰か助けてくれる人はないかと訊いたら、おまえの名前を出したので電話した、というような趣旨でした。


 誘拐か拘禁といういう前提となる事実を確認することも出来ないし、仮に事実であっても、おじさんには彼女を助ける義理もその手だてもない、と言ったところ、おまえは冷たい人間だな、と言って電話を切りました。


 まあ、この話と同じ頃、知人から件の確認の電話が入り、何時会った?と訊けば、〝誘拐〟の電話があった同じ晩だという。どうやら、どちらが先か知りませんが、拘束が解かれ自由の身になっておられたか、知人と面会した後で誘拐されたようです。


 それからその人は、一人芝居のような喜劇を半年間ほど続け、登場人物は10人を超えていたでしょう。それで自然に沙汰止みになりました。後で訊いたところに拠りますと、あるおじさんの知人の所へ行き、そのままその知人と仲良くなったようです。


 おじさんは、当時、これを人に説明するのに、どれほど歯がゆい思いをしたでしょうか。非常に手間がかかりました。職場や取引先、親戚・友人・知人・先輩・後輩見境なしに、自分をヒロインとしたストーリーを捏造し、必然的におじさんが悪者になってしまい、そこからの説明になるので、本当に面倒でした。


 最初のうちは、彼女は頭がおかしいんだとしか言いようがなかったから、誤解も解けませんでしたし、もどかしい思いもしました。


 あの時を思い出せば、おじさんが歩いているとその当人が向こうから無表情に歩いてきたり、電車の中でふと周囲を見ると、その当人が乗っており、その手首に包帯が巻かれている、といった具合で、犯人はあの女だと分かっていましたが、人に説明すると、偶然が数回重なっただけだろうとか、気のせいじゃないかといったリアクションが常でした。


 おじさんも同じ説明をするので、ツボを心得、差出人不明の手紙が来て、内容が当人に関することだとしたら、これはおかしくはないか? と言うと、初めて、それは妙だなと真剣に耳を傾けてくれるようになりました。今なら「ストーカー」に付き纏われている、と言えば誰でも瞬時に了解してくれる事を、あの時はいくら話しても、信じては貰えませんでした。


 長々と自身の体験を述べたのは、あの時のおじさんの様な状態が、今の集団ストーカーの被害者たちだと言いたかったからです。


 病院へ行っても統合失調症と診断されるそうです。


 統合失調症: 何らかの原因でさまざまな情報や刺激に過敏になり
         すぎてしまうと、脳が対応できなくなり、精神機能の
         ネットワークがうまく働かなくなることがあり、
         これをそう呼んでいるようです。


 なかなか便利な病名ですね。何々症候群並みの包容力です。