朝日新聞の読者の皆様へ


 皆様はお気づきではないかも知れませんが、皆様が将来を託せる豪華客船と信じてお乗りになっている朝日新聞という船は、実はレーダーも、自動操舵システムも無く、夜空の星を頼りに運行している老朽船なのです。心無い連中は、未だに風を頼りに水主の手で漕いでいるだの、手旗信号で意思の疎通を図っているだのと噂し合っています。


 皆様の中にはお父上の代から朝日新聞を購読していたので、何も疑うことなく今でも朝日新聞の読者でいらっしゃる方が多いと思います。


 しかしながら、周りで視ている私どもからすると、ずいぶん旧式の船で、しかもとても頼りない船長とスタッフで航海なさっていると感じます。



朝日新聞社社旗 出典 アンサイクロペディア



 たしかに老朽船とはいえ、外観は立派です。船体全体を白く塗装し、朝日をイメージした真っ赤な太陽を左下辺に配し、そこから放射状に赤い光線が伸びるザインはえもいわれぬ美しさを感じます。皆様がそこに何か郷愁に似た気持ち抱かれるのはよく理解できます。


 しかし、船は所詮、海というとても危険な自然物の上に浮いているだけの人工物にすぎません。嵐に遭遇することもあれば、ベタ凪に遭うこともあるでしょう。また、海賊に襲撃される危険性も皆無ではありません。せめてレーダーだけでも装備されていたら、あるいは、エンジンだけでもスピードが出せるものに交換されていたら、もう少し安全な航行ができると拝察しますと、幾度かご助言申し上げましたけれども、船のオーナー様や歴代の船長様を筆頭に一甲板員に至るまで耳を貸そうとなさいません。


 戦前、既に老朽の兆しが見られた船体は、終戦までは大きく右に傾いていましたが、戦後は傾きを直そうとして失敗され、今度は左に大きく傾き、その後はどうやら修復を断念されたご様子です。


 それ以降、船員採用に当たっては、姿勢が左に傾斜し、進行も自分では真っ直ぐ歩いているつもりでも、左へ左へ曲がる人を採用し、船体を直すのではなく、初めから左傾斜に強い人員を採用するようになりました。他の追随を許さない見事な発想の転換です。


 その甲斐あって、乗組員も乗客も感覚が麻痺し、自分が妙な姿勢を取っていることに気が付かなくなっています。


 それに何故か、操舵をしなくても、昔はロシア(失礼、ソヴィエト連邦でした)や北朝鮮(失礼、朝鮮民主主義人民共和国でしたか?)に勝手に着き、今は中国や韓国へ勝手に着くという便利な船になっているそうですね。


 そして現在、四方から波を受け、船体も穴が開く寸前のようです。船長は波が一時的なものと判断され、当面を凌げば何とかなるとのお考えのようですが、もともと船体そのものが有する傾き故に生じたものであり、沈没するまで終わりはないとお考えになるべきです。


 いずれにしても、真っ直ぐに進めないのは私どもからすれば致命的欠陥で、乗客の皆様には一日も早い降船をお勧めする次第であります。
 
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