東電の吉田昌郎元所長の所謂吉田調書を何処からか入手し、事実と正反対の趣旨で〝スクープ〟なさった朝日新聞社は、現代文を読解する能力がまるでないことが明らかになった。
新聞社である以上、その社員の文章読解力は一般人より優れていなければならない筈だが、まるで正反対の解釈に到達するとは、あきれて物が言えない。
記事が出たとき、すぐさま週刊ポストはこの問題の第一人者といってよい門田隆将氏に朝日の記事の検証を依頼し、門田氏はその誤りを『慰安婦問題』と同じ構図だと喝破された。そしてそれを記事にしたところ、朝日新聞社が門田氏とポストに訂正と謝罪を求めたことは、先に紹介した。
聞き取りが関係者のほとんどに及び、吉田所長だけでも400頁とも言われているのだから、この『調書』を、1日で読了することは難しいだろう。
しかし、これをもって間違いの原因と弁明させてはならない。例えば、5人が手分けして読んだとして、何処を押すと真反対の結論を導き出せるのだろう。
そう言いながら、おじさんはその答えを知っている。それは彼らの人間というものへの理解度が極めて低く、浅いからである。
人は物を読むときは、無意識に自分を当該人物に投影して読んでいる。この場合は吉田所長だ。そこで冷静に時系列を考え合わせ、この時期は水素爆発の前か後ろか等々を絡めながら読むと、それほど大きな間違いは犯さないものだ。
ところが、朝日の連中は自身の人間力が低く、器が小さいものだから、英雄的行為を理解できない。自分なら一人でも隙を見て逃げ出したい、だから、所員も早くそんなところから逃げ出したい筈だ、という所で止まってしまう。
だが人間は、そこで「待てよ」と踏みとどまって考えるのである。今、この原発をコントロールできる知識と技術を持っているのは自分たちしかいない。自分一人が逃げたとしても残りの技術者でなんとか出来るかもしれない。しかし、彼らが大量に被爆していき技術者がどんどん少なくなり、考え得る最悪の事態を迎えたらどうする。後で調査すると緊急事態の時に自分がある役割を果たせていたら最悪の事態は回避できていた事を知る。そうなれば、自分はおめおめと生きては行けないだろう。また、みんなが勇気をもって踏み止まる中、どさくさに紛れてこっそり逃げてきたと知った妻や子供は喜んでくれるだろうか。おそらくそうはならないだろう。それならば、今逃げ出すよりここで踏み止まり、たとえ死ぬことがあっても、その方がまだ人間としてましだと思い直す。
そして冷静に事故後のシミュレーションをし、付近住民の安全、東北の安全、東日本の安全、日本の安全と推移し、駄目だ、今放置したら、日本が大変なことになる、未来も暗澹たるものになってしまう。たかだか自分の命一つと国及び国の未来を天秤に掛けるわけにはいかない、との結論に至る。結局、最初に思考を開始した時点に戻ってくるのである。但し、今度は己の使命を知り、はっきりとした決意と確信を携えて……。
おじさんはそれこそが人間の人間たる所以であり、何者にも代え難い特質だと思っている。ところが、朝日はじめ左翼かぶれの連中というのは、そこを理解できないのだ。だから程度の低い自分に鑑みて低レベルの解釈をするのだ。それが本音だと。緊急時には本音が優先する筈だと……。
吉田所長が未来に伝え、残したい言葉を見事に真逆に解釈し、大いに貶め、今ああだこうだと弁明と釈明をしている。そもそも、おたくらは人間の解釈が卑しいのだ。いや、正直と言ってもいいかも知れない。自分の胸に問うてみて、被爆しても付近の住民のため、東北の人のために外へ出て冷却水を掛けるなどということは絶対に出来ない。だから、逃げたという思いつきがストンと胸に落ちたのである。
みんなが残りたいというので所長は困ったという趣旨の事を述べた箇所があるそうだが、たとえ食い止められないにしろ、被害を最小限に抑えられるのは自分たちしかいないと、決死の覚悟でそこに居たことが伺える。選に漏れて一時退避した者も、いざというときに代われるのは自分しかいないと、原発内に止まったのである。
これは先の大戦の終盤、一撃必殺決死の特攻隊の隊員と共通するものがある。左翼の人士は、彼らは本音はいやだったに違いない。だから軍が有無を言わさず強制的に送り出しただの、極限の中で判断を狂わされただの、天皇を現人神と信じるよう洗脳されたなどと解釈し、史上最悪の馬鹿げた作戦の犠牲になったという薄っぺらな解釈しかできないのである。
彼らの遺書を読んだことがないのか。心は澄み切って、妻やまだ見ぬ子に、あるいは両親に、僅かな言葉を残し、日本の未来を信じ、国家の礎とならんと飛び立ったのである。
外国人でさえ、日本の強さはこの心にあると理解できるのに、礎の上に乗りながら、勝手気ままに薄っぺらな下衆の極みと言うべき解釈を並べ立て、皆が会おうと誓った『靖国』を否定するのが、朝日に代表される〝良心的〟反日知識人なのだ。
菅元首相の原発事故時の電話が、非常に応対が面倒で対応や指示が遅れる原因となったと、述懐している箇所があるようだが、さもありなん、ゴミのような人間が首相の時に大災害が襲うとおじさんは予言している。先の阪神大震災の村山富市、東日本の菅直人……。彼らは卑怯なくせにプライドだけは高い。村山は恐くて天皇陛下よりもあとに神戸に来た。菅はご存じの通りである。
朝日の慰安婦検証のあと、各メディアが一斉に朝日攻撃をして気持ちが悪いと『週刊ポスト』のあるコラムで、コラムニストが書いていた。〝吉田証言〟が虚偽でも慰安婦そのものが無かった訳ではない、と。
歌舞伎でいう大見得を切ったつもりかも知れないが、誰も慰安婦がなかったとは言っていない。そんな奴が居たらおじさんが貴殿等の代わりに叩いてやる。それでは聞くが、当時の慰安婦の何が悪かったのか言ってみろ。公平ぶった書き方が気に入らぬ。これがポストの基本姿勢かどうかは知らないが、主張は朝日と同じ、本音は朝日びいきなのに、吉田調書でたまたま対立関係になったというところか。
ポストのコラムニストが何と言おうとも、朝日追及の手は緩めぬ。