とち狂う朝日新聞様がお断りになった文藝春秋社の週刊文春(以下「文春」)なので、どれほど強烈な記事が踊っているのかと思いきや、特別に〝悪質〟なところもない冷静な筆致の記事である。
まず文春は、朝日の自己検証のポイントは3つあるとして、以下の通り整理する。
①吉田証言の真偽。
②元記者・植村隆氏による元慰安婦の記事の〝捏造疑惑〟。
③①の吉田証言につき虚偽を認めたこと。
そこで問題は②だとして、〝検証〟の検証にはいる。91年8月に慰安婦が初めて自らの経験を語ったというスクープをものにした。
だが、植村氏はスクープの半年前に韓国人女性と結婚、その母親が慰安婦支援団体の幹部であり、後にその慰安婦とともに裁判を起こしたことから、義母から便宜を図ってもらったのではないかと疑問視されてきた。
加えて元慰安婦がキーセン学校に通っていたことを隠し、人身売買であるのに強制連行されたように書いたという捏造疑惑も指摘されていた。
この辺りは記事の翌年、宮澤喜一首相が訪韓し慰安婦問題を謝罪。やがて発表される93年8月の河野談話に繋がるこういう一連の動きを見ると、もっと緻密な検証が求められてしかるべきだったと文春は指摘する。
この点に関し、朝日は植村氏に聞き取りを行った結果、事実のねじ曲げはない、義母と縁戚関係を利用して、特別な情報を得たことはないと、仰ったと、朝日は〝検証〟なさるのである。
文春はその後、義母に連絡を取り、彼女の要請に応じて韓国まで出向いて取材している。そこで彼女から「朝日は検証記事について韓国と相談すべきだった」という言葉を引き出している。
この人権派の義母殿は、外国の民間企業である一新聞社が、自らが行った事を検証するのに、自分の国と相談せよというのである。まったく何の識見のない人間だと自ら証明したようなものである。
以上が『朝日新聞「売国のDNA」』と題して纏められた8本の記事のメインの記事で、もう少しボリュームの少ない記事が7本掲載されている。
左翼活動家というしかない松井やより氏、勝谷誠彦によって何時までも名声が衰えることのない『築地をどり』の大名取、若宮啓文氏、『中国の旅』の本多勝一氏、『KYサンゴ事件』の本田嘉郎カメラマン、松井やより氏と、本多勝一氏に憧れて朝日に入社した本田雅和氏等々懐かしいお名前が次々登場しておじさんは感無量である。
言い忘れてはならないのが、『諸君!』で匿名で巻頭コラム「紳士と淑女」を最後まで担当され、休刊前の最後のコラムで名乗られた徳岡孝夫氏の寄稿がある。巻末にひねりの利いた山本夏彦氏のコラムがあり、どちらから捲る派かと一時話題になったこともある痛快なコラムであった。
今回は徳岡氏の文章が読めただけでも幸せだった。皆様もどこかの喫茶店か図書館でご一読を。