鉄拳と言えばパラパラ漫画の第一人者、ノートか教科書の隅っこで遊ばれていたものを、ほとんど芸術にまで高めてしまった。


 NHKの朝ドラ『あまちゃん』の中にも、映画『潮騒のメモリー』の筋説明で登場する。


 微妙な線のずれが織りなす揺れすらも、柔らかさを演出しているように見えるのは、穿ちすぎだろうか。


 おじさんは、お笑い芸人が生活が安定したのを見るのが一番嬉しい。


 有名大学卒業者であったり、ほかでも十分勤まりそうな者が、売れるかどうか定かでない世界に飛び込み、苦労しているのを見ると、馬鹿野郎だなと思う。


 いつぞやドキュメントも観たが、ほとんど引きこもってパラパラ漫画を描き続けていると言っていた。


 おじさんの年になると、幾ら顔を塗っても、塗った顔の裏に極めて繊細な精神を垣間見るので、折れてしまわないか心配である。


 いくらでも需要はあるだろう。ブームとはそういうものだ。ただ、飽きられるとポイと捨てられるのもブームだ。


 おじさんは鉄拳の感性と技術がブームを一過性に終わらせないと信じている。