定額小為替というものがある。小為替は「こがわせ」と読み、為替の意味を述べると時間がかかり、本筋に辿り着くまでに力を使いはたしそうなので、省略して定額小為替の一般的な使い方を述べる。なお、小為替は株式会社ゆうちょ銀行が発行している。
郵送の際には現金を同封できないので、定額小為替を必要な額面だけ買って送り、受け取った者はそれを郵便局(ゆうちょ銀行)で換金するというものだ。
郵政民営化が実施され、局員の態度は、昔の郵政省時代と比べ、幾分良くなったという意見があり、おじさんもそれは否定しないが、あまり知られていないところで、とんでもない事をやっている。そのうち誰か言ってくれるだろうと思っていたが、誰も言わないので、物申すことにした。
そもそも普通郵便で現金を送る事は法律で禁じられている(郵便法17条 末尾参照)。ご存じない方も多いようなので、この機会に覚えておこう。ただ、大きな罰則のようなものは見当たらない代わりに、もし途中で紛失したり盗難に遭っても補償はされない。
民営化以前は、定額小為替の種類は50円、100円、200円、300円、400円、500円、600円、700円、800円、900円、1000円、2000円、3000円、10000円の14種類あり、手数料は1000円以上は1%、900円以下は10円であった。
ところが、民営化後は最大額面が1000円となり、手数料はすべて100円になった。小為替自体専売の筈なので、この10倍以上もの値上げは、専横と言ってよいほどの暴挙である。
それで現在発行されている小為替はというと、50円から500円までは50円単位、それと750円、1000円の12種類である。
最近、HPを見ると、皆様のご要望にお応えして、50円単位で作りましたなどとほざいているが、100円の手数料を出して50円の小為替を買う人がそれほどいるとは思えない。前の通り10円にすれば50円の小為替も売れるはずなのである。
何も難しいことはない」。50円の小為替に100円手数料を取るという、不健全な価格設定を改めればいいだけのことである。それを頭がとち狂っているのか、価格をそのままに50円を残し、しかも50円単位でちまちまと小為替を作るという阿保な選択をしたのだ。
そもそも、民営化以後の価格設定を考えた連中は、こんな定額小為替なんか早晩、廃れるに決まっている、だから、いくら少額で不便であっても、手数料とのバランスが不合理であっても、使わなくなったら、それはそれでいいんだと思っていたに違いない。
ところが、あに図らんや、知らないところで、専門職が多く利用していたのだ。
おじさんは他人様の戸籍をよく取る専門職なので、昔から定額小為替を買っていた。戸籍を追いかけると我々は言っているが、その市区町村にどのような戸籍(除籍)があるか、事前には知り得ない。よって、不足しない様に多めに入れておくのだが、5000円入れるとして、かつては50円の手数料で済んでいたものが、1000円5枚で100×5=500円の手数料がいる。
仕方なく、今も買っているが、おじさんは1000円以外の小為替は買わないことにしている。3000円を送る場合、手数料300円を支払っているので、事実上、3300円の現金が出ている事になる。この手数料300円を依頼者から請求すべきかどうかというのは、我々にとっての永遠の課題だが、それはともかく、ゆうちょ銀行はこういう歪んだシステムを臆面もなく実施するという所だという事は記憶に留めておこう。
世の中には面妖な事が多々存在する。株式会社ゆちょ銀行様の定額小為替はその代表的な一つである。そのような決定をした彼らに問いたい。今の額面構成で、100円の手数料を支払ってまで50円の定額小為替を買わなければならないケースを教えてくれ。
さらに市区町村にも申し上げたい。手数料は切手もしくは収入印紙でよい、として欲しい。同時に、民間の業者がこれに代わるスマートなシステムを考案して貰いたい。
言い忘れたが、定額小為替を同封したからといって、郵便法違反じゃなくなるだけで、郵便物の紛失や盗難の際に補償されるわけではないから気をつけてね。
参考
郵便法第十七条
(現金及び貴重品の差出し方)
現金又は郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を
郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規
定によるものを除く。)の郵便物としなければならない。
郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規
定によるものを除く。)の郵便物としなければならない。