今日(10月7日)は1日中気分が悪かった。



 斉藤一人さんの 『天国言葉』を唱えても、ホ・オポノポノの言葉を繰り返しても心が晴れない。



 何故だ。いくら考えても、原因が分からない。



 少々風邪気味ではあるのだが、それが原因とも思えない。



 夜、諦めて大量の書きかけのブログを整理しようとして椅子に座ったとたん、もしかしたらこれが原因かも知れないと閃いた。



 それは2年ほど前に、友人から相談を受けた娘の夫のDVに関するものである。



 相当激しい暴行を受けながら、実家に帰ってはまた戻ることを繰り返していたらしいが、ついに、よそに愛人ができたようだし、子供と帰ってきたいと言うが、どうしたらいいかというものであった。



 おじさんは、専門家でも何でもないが、DVのことはある時期、調べる必要があって多少の知識はあったので、「遠慮せずに帰ってこいと言ってやれ」とアドバイスした。



 子供が就学前につき、転校の手続等は必要ないということなので、どんなことがあっても娘一人で行かせては駄目だ、荷物を取りに行くときは、必ず自分が着いていくようにと、きつく念を押した。



 男が迎えにくるという事はその時は念頭になかった。愛人問題の結着が実家へ帰るということだと思い込んでいたからだ。


 それから半年ほど経ったある日、別の件、おじさんの本業に関する件で来たときに、娘さんは元気かと聞いたら、死んだという。



 「えっ!!!???」



 友人が言うには、それから何日かして、夫が迎えに来たらしい。そこで、これまでにないほど平身低頭、土下座して涙を流し、二度としないと誓ったそうだ。おじさんはそれが手だ、と天を仰いだものの、それは分かっていたんだが、娘が強行に帰るというので、しぶしぶ了承したというのだ。



 娘が戻ってから数日後、警察から連絡があり、娘と幼い孫二人の遺体が車から見つかったという。



 排気ガスを引き込んでの覚悟の自殺だった。



 結局、男は復讐のために義父の前で屈辱に耐え、今までにないほどの暴行を加えたのだろう。


 
 おじさんは自分のしたアドバイスの中途半端さにホゾを噛みながら、「そいつをぶち殺したい」と口走った。



 「俺も、ずっとその事を考えていた」という友人の言葉に、自分の何十倍もの苦しみ悲しみと屈辱に耐え、怒りを抑えきった友人の前ではいかにも軽い言葉だったと自分を恥じた。



 こちらで葬儀を出してもいいと先方の親に言うと、先方の親は大きな迷惑を被っていると友人に言い、DV野郎は何も言わず、悲しみに打ちひしがれる悲劇の夫を演じていたらしい。



 結局、葬儀は先方でし、遺骨はどうしたのかは聞いていない。



 娘さんは、家を飛び出したものの、親の猛反対を押し切って戻った手前、もう帰るところがないと思い込んだのかな。



 親の愛はそんな薄っぺらいものじゃないのに……。それでも、何かあれば帰ってこいと、言っていれば、こんな事にはと友人は悔やんだ。



 そのDV男、そいつはうまく新しい女を拵え、また暴力をふるうだろう。



 以上が、無意識の内におじさんの心が晴れなかった原因である。



 次にそれが表に出てきた、いや表面に出ず気分だけを晴れなくした原因の方を話さなくてはならない。



 実はこの間から数十冊読んでいる怪談実話に、DV男が内縁の妻の両手両足を骨折させ、幼い子ともども餓死させた、という話が収められており、奥さんは冷蔵庫まで這って残り少ない食料を自分は食べず、子供に与えていたというのを読んで、おじさんの憤りが頂点に達してしまったのだ。



 そのDV男は警察の捜査でも行方が知れず、人知れず殺されているのだろうと思われた。


 というのは、トリックの種を先に教えるような真似はしたくないが、語り人が男が殺される場面の映像を観たというのが、この怪奇譚(たん)の眼目だからである。



 語り人の友人が付き合っている男のDVに耐えきれず、語り人のアパートに転がり込み、例によって涙の謝罪があったのだろう、語り人の制止を聞かず、友人はDV男の元へ戻ってしまった。



 その後、DV男が殺されるビジョンを観た語り人が、あれから連絡がないので友人に連絡をしたところ、連絡が付かない。そこで警察に通報し、親子の死体が発見されたというものである。



 怖いと言うより、腹が立ってしまう部類の話だった。



 しかし、考葦おじさん、ちょっと怪奇実話に中毒気味で、まだ続けて読んでいる。

 

 今日の話で学ぶべき教訓は、DVは自分で何とかしようとしてはいけない、ということだ。自分が立ち直らせようとも考えない。自分にしか出来ないというのが、悲劇の原因を作っている被害者側の心性である。



 DV野郎は話す猛獣だと思えばいい。殺すか近づかないかしか、手はない。