実はおじさんは、斉藤一人さん関連の書籍を読む傍ら、怪奇実話集を20冊ほど読んでいたんだ。


 この手の本を専門に出している出版社のものらしいが、なかなかの出来である。



 偉そうに言うわけではないが、だいたいこの分野の書き手の文章で、練れたものを見たことがないので、期待せずに読んでいたら、文学的な文章だなと思うものにたまたま出会ってしまった。



 ブックワンじゃなければ、手に取る機会もなかっただろうに、話自体もかなり怖い上に、書き手の筆力がプラスされ、相当に読み応えがあった。



 ひとりさん効果なのか、おじさんは傲慢にも、この歳では、もう新たに気付くことはほとんどないと思いこんできたのに、どんどん日常的な場面での気づきが多くなった。その一つが、このたびの実話怪談の筆者達の力量を素直に読み取れたことだ。



 ブックワンや他の古本屋で、10冊程度、数回購入し、合間合間に読んでいたら、もうストックが2冊になってしまっていた。



 幸い、1冊100円~150円なので、本の出費としては安く抑えられ、ツいていたと思う。



 多くの良書?の出版社は竹書房である。



 実話なのによくこれだけ集められるなと感心する。



 肌が秋の雰囲気を感じ取っているのに、季節はずれの紹介で誠に申し訳ない。



 一つ一つの話はそれほど長くないので、紹介するのはたやすい事だが、やはり、落語のオチを先に言うようなイけてない真似はしたくないので、やめておく。



 今、手元にある『「超」怖い話 遺宅』は加藤一氏の筆になるものだが、位牌と壁でかなり恐ろしい展開を見せる話を書かれている。その話を書くに至った経緯も一つの独立した、しかも長文の恐怖譚になっていて恐ろしい。



 おじさんが何よりも怖いのは、シリーズ全てに共通する事だが、どれもが脚色なく書かれているため、ほとんどの話が終了していないことだ。



 えいっ! と霊力の強いヒーローが現れて、除霊するなり、封じるなり、浄霊するなりしてくれると安心だが、実話に登場するそれは、多少効果があるかなといった程度の霊能力者だし、素人の体験者が語る纏まりのない話が、プロの書き手によって、ある程度脈絡を保ちながら、読者に提示されるだけである。



 何ひとつ解決していないし、怪奇現象のあった場所もそのままである。読者はすっきりしない気持の持って行き所がない。



 怪異な場所は日本中、解決されないまま、そんじょそこらに転がっている。怪異譚の時となんら変わることなく。



 う~ん。これが怪談というものか。